喜瀬実名子のコメント

 

・中学生の食生活と栄養摂取に関する男女の比較

報告者:渡嘉敷 めぐみ

現代人の食生活は、大人子どもを問わず多くの問題が挙がってきているが、中でも、ダイエットや欠食といった食行動は、行動変容が難しい問題だと思う。ダイエットは心理的な問題が関わっており、欠食は生活背景と深く結びついていると考えられるからだ。この研究は、ダイエットや欠食が栄養摂取量に与える影響だけでなく、BMIとの関連も見ているため、女子の正常群がダイエットしていることや、欠食回数の多い者ほどBMIが高いことが明らかになり、指導の必要性についてのより大きな手がかりとなったと思う。だが、研究の対象について、栄養摂取だけでなく、体格も他の調査と比較する必要があると思う。

 

・自己管理スキル尺度の開発と信頼性・妥当性の検討

報告者:太田光紀

自己管理スキル尺度の開発に当たって、四つの基準が提示されているだけで、実際調査で使われた項目が提示されていないので、自己管理スキルがどういったものを測定しているのか理解しずらかった。また、禁煙自己効力感についても具体的に項目内容を提示したほうがいいと思った。この研究の結果で、自己管理スキルは自己効力感と正の相関を持ち、禁煙行動とも関連があったことから、自己管理スキルの低いものに対してどのように介入していくかが今後の課題となると思った。

                                                                                                                         

・学齢期小児の朝食摂取状況と健康に関する知識、態度と行動についての疫学的研究

報告者:宮城 今日子                                                                                                    

朝食摂取というひとつの生活習慣が、健康に関する知識よりも、態度や行動に何らかの関連があったという結果から、健康教育が知識の普及だけでは不十分であることを改めて感じた。また、調査項目の中に、両親の朝食摂取状況を加えると、小・中学生の子どもをもつ両親の朝食摂取状況が把握でき、子どもの朝食摂取への影響を把握することも可能ではないかと思った。沖縄市では、一部の保育所に、朝食摂取を含む食生活のライフスキル教育を行っており、これは、学校・家庭・地域が連携した健康教育である。今後、こういった取り組みが普及することによって、その有効性が明らかになってくると思う。

 

・中学生における対人的な攻撃行動パターンに関する研究

報告者:長谷川 珠代

いじめやからかいの状況設定における生徒の回答は、実際にいじめやからかいが発生したとき、どのような役割を取るのかを反映していると考えられ、外部の者がいじめやからかいの役割構造を捉えるための重要な研究だと思った。そして、いじめやからかいの5つの状況設定や6つの遊びの場面について、具体的にどういう内容なのか興味を持った。だが、報告者も述べていたように、行動類型のうち「被害者」役割を除いた点は疑問に思った。                                                                                      

                                                                                                                 

・知的障害児童・生徒の発育に関する検討

報告者:瀧澤 透

知的障害児童・生徒の体格は健常児童・生徒よりも肥満傾向にあり、肥満対策が必要であるという知見は、興味深かった。だが、考察にもあったように、知的障害児童・生徒の肥満の要因が、食習慣、生活習慣、行動量のほかに障害や薬の副作用によるものも考えられるのであれば、適切な肥満予防指導を行うためには、肥満とこれらの要因との関連を明らかにすることが必要だと思う。また、著者は、女子は二次性徴期に肥満対策が必要であると述べているが、この時期は生理的に皮下脂肪が蓄えられる時期であり、この時期に肥満予防を指導してしまうと、ボディーイメージを歪め、不必要なダイエットへ導いてしまう可能性もある。肥満対策が必要であれば、この時期の肥満の基準をどこに設けるのか、二次性徴による体の変化と絡めてどのように指導するべきなのかなどを検討したほうがいいと思った。

 

・学校事故に対する救急体制の現状に対する研究                                                                                                                       

報告者:竹田 幸江

学校現場において、事故への認識や救命救急体制がまだ十分でないという結果は、今後改善しなければならない重大な問題だと思う。事故を防止するための取り組みはもちろん必要だが、万が一、事故が起きたときに迅速で適切な処置ができなければ、生徒は安心して学校生活を送ることはできない。著者も述べているように、教員養成過程においても心肺蘇生法などの救命救急処置は必修とするべきであり、また、現職の教員に対しても、救命救急処置技術を身につける必要性を認識させ、救命救急処置技術を身につける機会を設けることが必要であると思う。