太田のコメント

知的障害児童・生徒の発育に関する検討  石井好二郎
報告者:瀧澤 透

・障害児の健康に焦点を当てた研究は貴重であると思う。今後とも、健常児と比較するだけでなく、障害児に関するさまざまな研究が必要なのではないかと感じた。
・はじめ(目的)に「知的障害者は肥満の弊害を理解しにくい」「肥満予防指導に適した時期について検討する」とあるのに、「早期に教育が必要」という考察はいかがなものか?早期とはいつ頃を指すのか、また、教育とは障害児に対するものなのか、家族や施設職員に対するものなのか、それとも両者に対するものなのか、具体的な提示があってもよいのではないだろうか。
・「食習慣、生活習慣、行動量の影響が大」「女子は加齢と共に肥満が増える、二次性徴期に肥満対策が必要」という考察・結語には疑問が残る。障害児は肥満傾向にあることはこの論文からわかるが、障害児の生活状況などを明らかにせずして肥満の原因・予防への言及は難しいと思う。

中学生における有機溶剤乱用の実態とその生活背景  和田 清
報告者:喜瀬 実名子

・個人のプライバシーが守られるよう厳密な方法をとっていること、地域特性を考慮した6115人という分析対象などから、実態調査のデータとして信頼できるものではないだろうか。
・有機溶剤乱用経験者群において、女子の95%がシンナー遊びによる健康への害を知っていると答え、非経験者の割合より高いことは注目すべきことに思えた。害を知りながら乱用をしていることは問題である。この背景にあるものを明らかにすることも今後の重要な課題であると思う。

中学生における対人的な攻撃行動パターンに関する研究  朝倉 隆司
報告者:長谷川 珠代
・場面を個人と集団にわけ、個人の行動パターンに焦点を当てたものであり興味が持てた。
・男子生徒の方が攻撃的な行動をとりやすく、一方、女子生徒は間接的ないじめが多く認められたということ、確かに「いじめ」を定義すること自体は難しいものの、日本では「いじめ」が集団の均一性から外れたものに対して行われる傾向にあること、生徒はいじめやからかいを促進する役割を多重に担っていると推測される一方で、抑制的に働く力が弱いことがそれを持続させているのではないかと推測されることなど、実際に生徒の行動パターンを分析し、「いじめ」の実態を明らかにしている点で有意義なものと感じた。
・テレビゲームやパソコンの普及、少子化の影響などから対人関係などヒューマンコミュニケーションをとる機会が減ってきているとされるなか、遊び経験の受けとめかたが重要なものであるという考察に納得!

学校事故に対する救急体制の現状に関する研究  向井田 紀子ら
報告者:竹田 幸江
・養護教諭の業務内容は詳しく知らないが、救急車要請時の到着時間というものは、養護教諭に質問すべき項目なのか気になった。
・養護教諭以外の一時救命処置可能者の必要性及び希望割合というものは、養護教諭個人が判断すべきものなのか?何か統一された基準はないのでしょうか。
・以前、在沖米国海軍病院を見学させてもらう機会があったのだが、その際、医師・看護婦のみならず、事務職などを含め、病院関係者は心肺蘇生法などの救急法講習の受講が義務であると聞いた。ある意味、病院内のどこで倒れても即座に対応してもらえる安心があると感心した。学校現場においても、職員全員が一時救命処置が可能であることや救急体制の整備などは必要なことと思う。事故への認識や救急体制が不十分であるという現状を明らかにしたこの論文は学校保健への寄与は高いといえるのではないだろうか。

- Goshiki Health Study -  永井純子ら
報告者:宮城 今日子
・朝食なし群は他に比べて喫煙のみでなく、飲酒の経験率も高く、運動習慣を持たないなどリスクの高い行動をとる傾向があることは興味深かった。
・朝食摂取状況を切り口とした研究は面白いものと感じた。また、学校を基盤とした健康教育に資することを目的としていることも有益なことと思う。
・男子は喫煙や飲酒など社会的規則に反するような危険行動に、女子ではダイエット嗜好などの食品摂取に反映されるということも納得できた。また、周囲の環境が誘因となると考えられることももっともなことであり、包括的なアプローチの必要性が浮き彫りにされているように感じた。

中学生の食生活と栄養摂取に関する男女の比較  岡崎愉加ら
報告者:渡嘉敷 めぐみ
・男子ではカルシウム摂取量、女子では鉄摂取量が不足していることなど、具体的な問題点が明らかになっていることから、今後の健康教育への貴重な資料となると感じた。
・男女とも欠食回数の多い者ほどBMIは高く、女子では有意差が認められ、毎日欠食している者は過体重群であること、男女共に、毎日欠食している者の方が砂糖菓子嗜好飲料を有意に多く過剰に摂取していることなどから、思春期においても、栄養に関する正しい知識の普及は重要なことであると感じた。