Rural Parents’ Communication With Their Teen-agers About Sexual Issues

Timothy R.Jordan,james H. Price, Shawn Fitzgerald

 

Journal of School Health 2000,Vol.70,No.8;338-344

 


発表者:長谷川 珠代(地域看護学教室)

発表日:平成13年5月31日

選定理由:

現代の日本においても若年妊婦の増加や“子どもが子どもを育てる”といった言葉が聞かれる。私自身、助産実習や保健婦活動を通してこのような事例との関わりがあリ指導の難しさを感じた。子どもでも簡単に性に関して情報が得られる社会において、子どもたちへ正しい知識を伝えるのは学校や第一に親であろうと考えた。この文献は正に親たちがどのように性教育について考えたり、実施しているのか取り扱っており、自分が性教育・指導を行う上で参考になるのではないかと考えたため。

先行研究レビュー:

 

    Price JH,Robinson KL らによると親子のコミュニケーションの欠如は性の標準が友人同士の標準となりがちである。

    King BM,Kisker EE らによると、親は子どもに性の直接的な情報を提供していない。

    Miller KS,Di Iorio C らによると、親子の性のコミュニケーションは男女ともに父親より母親とよくとっている。

    Jaccard J Dittus PJ らによると、性に関する話題を友人より親とする子どもは性交渉を始める人が少ない。

    Taris TW,Semin GR らによると、青年期の子どもと良い関係を維持したいという願望が強ければ強いほど子どもの性交渉の始まりは低年齢化している。

 

要約:

 

<目的>

農村地における青年期の子どもとその親との性に関するコミュニケーション

の実態を以下の項目に関して調査する。

@    どのくらい頻繁に親子で性に関するコミュニケーションが行われているか。

A    性についてどのくらい満足のいく会話ができているか。

B    親子で特に性に関してどのような話題を話しているか。

C    性交渉をしないよう話し合う理由何か。

D    妊娠しないよう(または妊娠させないよう)話し合う理由は何か。

E    あらゆる状況における性教育に対して親の支援はどのくらいか

F    どの学年で性教育を開始し、その教材として何が良いと考えているのか。

G    親が性教育を行う際どのような情報源や技術援助を望んでいるのか。

 

<対象と方法>

オハイオ州北西部の農村において、4つの学校区の7〜12年生の生徒親全員

のうち住所及び氏名から無作為に選んだ615を対象に行った。

アンケート表は文献を参考に作成し、青年期の調査及び性教育の専門家に見て

もらい、その後少人数の親へ試験的に配布し、その至適を基に修正を行った結果、28項目から成立した。

対象者へはプライバシーに関する注意書きとアンケート用紙、返信用封筒とク

ーポン券を同封し郵送した。回収率を上げるために4度回収のためのアプローチを行った。

データの入力及び分析にはSPSSを用い、記述的な回答へも分析を行った。

 

<結果>

    人口統計及び対象の背景について性格に郵送できた597人のうち374人(63%)が完璧なアンケートが戻ってきた。回答者は白人(92%)、女性(87%)、働いている(60%)、高卒以上の教育を受けていた(59%)。73%の回答者が宗教は家族にとって大切であるとしている。子どもの数は2〜3人で、その子どもの54%が男であった。

    性に関するコミュニケーション全体について

92%の親が子どもとSEXについて話したことがあると答えているが、十分なコミュニケーション

がとれていると考えているのは9%だけだった。

性交渉をしないよう話す理由に93%STDに感染することを挙げ、86%は妊娠しないようにするた

めと答えている。

    性教育について

親子のコミュニケーションでよく話されている内容は、46%が親になる責任について、40%がSTDについて、である。

あまり話されていない内容は79%がマスターベーションについて、68%が売春について、63%が妊娠について、である。

    性教育における親の趣向について

  学校での性教育は64%が7年生になる前に始めるべきだと回答している。

  80%の親が性教育は家庭で行うべきで、その他の機関は補助的に行うべきだと考えている。また、S

TDの情報、コンドームの使用を含めた家族計画を90%以上の親が公的な教育に求めている。

    様々な状況における性教育について

  小・中・高等学校それぞれの段階で性教育は必要で、実施する場所として最も適しているのは学校で

あるとどの教育段階においても回答された。

    性についての情報源について

  子どもたちにとって性についての情報源は、87%の親が親自身であるとしている。その一方でマスメ

デイァや公的な施設を情報源と考えていなかった。

 親が性教育を行うために必要としている手段は、52%が定期の最新情報パンフレット、49%が子ど

もたちの意識調査、49%が本やテープのような教材が借りれる図書館であった。

    10代の妊娠の危険性について

49%の親は子どもの学校区で10代の妊娠があることは問題であると認識していた。

 

<考察>

 農村地に住む青年期の子どもを持つ親の殆どが、性教育は学校の補助的な援助を得ながらも、家庭がその重要な役割を担うべきだと考えている。またその開始時期は7年生を迎える前に行うべきだとしている。

 家庭において母親が人間の性について教育していることが分かった。親の性別による役割と家庭での性教育における影響は今後さらに研究されていくであろう。

 農村地の親はコンドームや避妊について性教育で情報を得ることを望んでおり、この親達の考えは、単に

禁欲を基にしたプログラムを提供しているオハイオ州の政策とは異なる。

 学校保健教育者は親達の性教育への協力として様々なサービスを提供していくべきである。

 この研究は触れにくい題材であるので、回答によっては社会常識で答えられていたり、質問様式が閉鎖的で広がりが得にくい問題点が挙げられる。

 

W.長所と短所

    考察において調査の問題点についても触れられている。

    アンケートの作成に際し、専門家の意見や試験的な実施によって得られた意見を参考に修正が行われている。

 

X.学校保健への寄与

 青年期の子どもをもつ親が家庭の性教育で必要としているものや、難しいと感じている点が調査されているので、学校が親達のどこをサポートすれば良いのか、また、家庭と学校の連携の必要性を確認し、体制が取れるよう努力していくことができる。

 

Y.私見

 この研究における青年期の子どもを持つ親達は、性教育を家庭で行うべきであるとしながらもその実施には困難を感じている。これは昔から性をタブー視してきた日本においては更に考えられることである。 

 だからこそ、情報が氾濫している世の中で子ども達が性や生命を軽視することなく成長できるよう支援し、

家庭における性教育おいても私達専門職が家庭との協力体制を積極的にとっていき、地域で子どもを支えていける環境作りに努めていきたいと思った。