Evaluation
of School-Based HIV Prevention Education Programs in
Lohrmann DK, Blake S, Collins T, Windsor W, Parrillo AV.
園田麻利子
1、 対象論文選定理由:
感染看護を勉強中である。そこで、現在広がりつつあるHIVについてアメリカの学校現場ではどのように教えているのか?どのような実状なのか?を知りたいと思いこの文献を選定した。
2、 先行研究レビュー:
1)“trial and error”から行動理論に基づく対策へ
欧米の歩んできた対策の歴史は、「traial and error(試行錯誤)」から行動理論に基づく対策への進化と言うことができる。最も初期には、正しい知識の普及・教育が行動変容につながるとの期待がら、様々な試みが自然発生的になされたが、その限界が明らかになるにつれ、行動理論に基づく予防介入へとシフトしていった。そして、行動理論も、行動変容を個人の心理学プロセスに帰するモデルから、個人の行動が置かれた文脈(社会環境)を同時に重視するモデル(個人―社会モデル)へと進化してきた。前者は、個人に知識やスキルを与えれば、損益や自己効力感の高まりによって行動変容が起こるというモデルであった。これらのモデルは、予防介入を理論化し、評価を可能とするうえで重要な役割を果たしたが,行動変容の失敗(HIV感染)を個人の責任(自業自得)に帰してしまう危険性を孕んでいた。しかし、このモデルの限界に気づき、行動が実際には社会環境、つまり相手との人間関係・力関係、コミュニティの規範、仲間からの圧力などに強く影響を受けることが理解されるに及んで、行動変容を助ける環境作りを同時に促進することが、行動変容を容易にし、かつそれを持続させるうえで重要な戦略として位置付けられるようになった。それを支えるモデルとして提唱されたのが、Diffusion of innovation theory、Social influence model、Social network model である。
2) 学校におけるHIV予防教育の問題点と提案
1980年代中ごろから今日なでのアメリカにおける、若者に対する学校をベースにしたHIV予防介入(エイズ教育)の歴史を見ると、若者に対する予防介入では、学校が最も一般的なアクセスポイントであるが、学校における性教育と同様の問題点を有しており、学校は予防教育実施の最も困難な場所とも考えられている。学校におけるエイズ教育の最大の争点は、禁欲とコンドーム使用奨励をどのようなスタンスで教えるかということであった。学校教育の中でのコンドーム使用奨励により若者の性行動が不必要に刺激されるのではないかとの懸念かあら、アメリカの各地で集中的な禁欲教育が行われたが、禁欲教育だけでは性交開始年齢を遅延させることも無防備な性行動を減らすこともできなかった。それに対して、一方的な知識の提供に留まらない、行動理論に基づく多段階型のエイズ教育が開発され、その効果が確認されていったのである。
アメリカの学校におけるエイズ教育で効果のあったものには、以下の8つの共通した特徴が観察されている。
@ リスク性行動に焦点 A コミュニケーションスキルと自己効力感の向上
B 介入実施時間・小グループ C リスクに対する感受性の向上
D 意思決定 E ピアプレッシャーへの対処
F 社会規範の強化 G 充分な研修
3、 要約
(目的) ニュージャーシー州の教育(NJDOE)によるHIVの教育の評価過程の結
果を示している。
(方法)
対象:中学校と高校の管理者、校長、リーダーの健康管理の先生(LHT)、HIVに関係する先生(HIVT)
方法:・州全体の870の中学校と高校学校から294地区の430校を無作為にサンプルとして選んだ。
・ 1994年5月〜1995年3月の集計
・ 294のうち212 管理者(72%) 電話インタビューと質問紙
・ 430のうち320 校長(74%) 郵送
・ 430のうち315 リーダーの健康管理の先生(LHT)(73%)郵送
・ 385のうち311 HIVに関係する先生(HIVT)(81%)
(結果)
・ カイ二乗分析を使用
・ 州の規約を応諾した学区のデータとHIV政策として採用された地方の独自性が選択され分析された。(Table 1)
・ 校長は学校で2年以内の公的ミーティングにおけるHIV予防プログラムを報告した。
・ 管理者の46%が地方のHIV教育政策がとても助かった。32%が適度に助かった。と信じていた。
・ 校長はNJDOEの命令を指示している。
・ LHTとHIVTの訓練の有無の結果 Table 2
・ トレーニングの推奨、カリキュラムの特徴、カリキュラムの影響 Table 3
(結論)
すべてのNJDOE戦略は成功を証明した。数年間で全地方区は、強い内容を含んでいるHIVカリキュラムを発展させ選択した。NJDOEスタッフはHIV予防スペシャリストと地方区が正しいプログラム効果とプログラムの質の発展の変化計画のために利用し、評価発見の効果を経験した。
(本研究の長所・短所・問題点と私見)
アメリカでの論文であった。本研究では実際、子どもたちにどのような教育がなされたかが明確でなかった。先行研究でHIV教育の歴史を述べたが、ニュージャージーでどのような問題があり(このプログラム施行前の問題)それが今回のNJDOEによりどのように改善されたかがはっきりしなかった。日本では性教育も含めHIV教育はどのような実態であろうか?性の解放が叫ばれているが正しい知識と持ち行動して欲しい。と考える。