学校保健特論;

 

大学生の保健知識に関する調査 

 

担  当; 兪 峰  

H14613

 

T.選定理由;

健康的なライフスタイルの獲得や心身の健康を保つためのセルフコントロール能力形成は学校保健教育の一つの目標である。心身や環境等に関する科学的に認識(知識理解)が基礎的要因として必要である。そこで大学生が「保健」の知識についてどのくらい持っているか、どんな方法で研究を行うかに興味をもって本論文を選んだ。

 

U.論文の要約

1.目的

大学校における健康教育に関する指導内容を再検討すること。

@     保健知識の定着度

A     定着度に関わる要因        

2.対象と方法

@ 対象

大学一年生306人(平成8年度入学の名古屋大学)(表1

A    方法

1)対象者の抽出方法;(問題あり?)ランダム、比例抽出でもない

「生涯健康とスポーツ」受講生306

2)調査方法; 質問紙による調査

中学、高校の教科書より学習指導の内容に相当する質問紙を2週間にわたって調査。

3)調査期間;

平成8年7月第1週目―2週目

4)分析方法;SAS6.11(統計バッケージ)

クロス集計

因子分析⇒ 主成分分析 

3.結果;

@ 対象の得点

中学問題平均点<高校問題平均点 (P<0.001)図3

A 各設問における正答率

中学問題:「持病の予防」でエイズに関する問題の正答率(97%)が高い。

「心身の機能と発達」におけるスキャモンの発育曲線と「疾病の予防」の血中コレステロールに関する問題の正答率が低い(<50%)

高校問題は「現代社会と健康」喫煙、飲酒、薬物に関する問題が正答率(94%)「環境と健康」で環境汚染問題が(25)これが最低正答率であった。

B 保健知識に関わる各設問項目の分析 

中学+高校保健問題 19の設問項目変数(対数変換後)について因子分析を行った。

主成分分析:

19項目変数

↓  固有値>1.2を基準

4つの因子

↓  バリマックス回転 因子負荷量の絶対値>0.4を基準 (表2

1因子 疾病予防・障害予防に関する知識

2因子 社会適応行動に関する知識

3因子 健康維持に関する知識

4因子 健康生活行動に関する知識

B    カテゴリー別主成分得点 (3)

 文系・理系 第3因子(P<0.05

 文系>理系(絶対値)(性差補正後も同様)

4.     考察

@     対象者の得点及び正答率

中学校問題、高校問題の差については

テストの難易度の差 → 大きい差はないと思われる

履修状況 → データがないため言及できない

学習後の経過期間 → 影響は少ない(浪人、現役 差がない)

正答率

正答率が高い項目(エイズ) → 積極的な取り組み・社会的に大きくクローズアップ

正答率が低い項目(スキャモン&環境問題) → 環境問題に対する関心度が低い

A    保健知識に関する各設問項目の分布 

1因子 疾病予防・障害予防に関する知識 

2因子 社会適応行動に関する知識 

3因子 健康維持に関する知識 

4因子 健康生活行動に関する知識

いずれも必要な知識であると考えられる

5.     まとめ

 大学健康教育に関する指導内容を検討する際には、定着度の低いものは講義内容に組み入れ、ふり返し提示する必要がある。

 

V 感想

大学生の保健知識の定着度について理解を深めた。また、因子分析方法について勉強になった。今後の学校保健のノウホウを学べることができた。

偏りのないように大学生という母集団を代表する対象者の抽出することであれば、もっと広い範囲で解釈できると思われる。