Violence Prevention and Young Adolescents’
Participation in Community Youth Service
Lydia O’Donnell, Ann Stueve, Alexi San Doval, Richard Duran, Rebecca
Atnafou, Deborah Haber,
Norma Johnson, Helen Murray, Uda Grant, Gregory Juhn, Julia Tang, Judith
Bass, Patricia Piessens
(Journal of Adolescent Health 24;1999;28-37)
発表者:渡久山 由希(学校保健学教室)
発表日:2000年7月13日(木)
<選定理由>
最近、未成年者による凶悪犯罪のニュースをよく耳にするようになり、突然「キレル」というように衝動的な事件も多い。この背景として、自分の気持ちをうまく相手に伝えられない、対人関係が作れない、社会環境の変化などの心理社会的要因があげられている。アメリカでは銃社会といわれるように、未成年者が学校で銃を乱射したという事件に象徴されるように銃を使った凶悪犯罪の発生なども多いため、学校で暴力防止教育が行われている。最近の日本の未成年者の凶悪犯罪を考えると、今後日本でも暴力防止教育を行っていく必要が考えられるためこの論文を選定した。
<先行研究レビュー>
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多くの学校では、個人間の暴力は思春期初期の健康や幸福をおびやかすものであることに応じて、暴力防止教育を設けている。これらの教育は、衝突の解決や怒りのマネージメント、仲裁、ライフスキルトレーニング、自尊心の発達に焦点を当てている。
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学校に基礎が置かれた暴力防止教育の一つの焦点は、攻撃的行動様式を変えることや社会的発達のために安全な学校環境を設立することが合わされた結果となることに経験が積まれた。
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いくつかの評価調査では、暴力防止教育課程を受けた生徒達の間では、観察された衝動的で攻撃的な行動と同じぐらいよりもケンカの自己評価はより意味深く少なくすることが分かり、教育課程の介入効能、特に衝突の解決は、かなりの研究者達によって異議を唱えられていた。
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TolanとGuerraは実際には教育が暴力を防止することに対し効果的に果たされているという証拠は少ないと結論を下し、学校に基礎がおかれた教育の大きな欠点は、暴力行動に関係する外因よりも個人が変わることに主に焦点を当てているということであると示唆した。
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アメリカ心理学協会は教育には互いに社会的前後関係、すなわち家族、学校、仲間集団、マスメディア、そして地域のようなものを交差して増強するような多要素を含むことを推奨している。
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社会の多様性や環境因子が暴力に関係があることを考慮に入れれば、本当に効果的な暴力防止の成果は生徒達や家族、教師や地域を含むべきである。
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危険性を減らす為に社会的能力発達の現在の理論上モデルや社会的能力の評論以上に保ち続けることとして、地域若者奉仕活動は若者に意志構築、コミュニケーション、目標設定、自己評価、自己管理能力を練習する機会を与える。
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奉仕学習が経済的社会的不利な思春期初期の若者に供給された時、必要とされた以上に発達上適切な他の大人との関係を形成するための機会を提供するかもしれない。
<要約>
1.目的
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健康に関する地域若者奉仕活動プログラムの範囲に参加することは、暴力のハイリスクとして置かれたところに住む都市のアフリカ系アメリカ人とヒスパニック系中等学校生徒の暴力の自己評価を減らすかどうか調べる。特に暴力の危険性を減らすという点についての追加の利点として包括的な暴力減少教育課程とあわされた地域若者奉仕プログラムに参加した生徒達は、危険性を減らす教育課程介入だけや統制群の生徒達に比べて評価した。
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教育課程上の介入だけの限界を考慮に入れて、思春期の健康を促進し、傷つけられやすい思春期集団の暴力を減らすという地域若者奉仕プログラムの可能性を調査した。
2.方法
@対象と教育内容
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対象;学校の規模や在籍生徒構成などが似ている2つの大きな都市公立中等学校の生徒両親から調査について同意の得られた生徒で1994年秋の基線調査と1995年春の追跡調査両方を受けた972名。1校を介入校とし、もう1校を統制校とした。
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介入校
RFHプログラム授業; RFHプログラムの授業構成はTHTMによって供給され、教育課程はHealth
Belief Modelと社会学習理論、認識調停、または考える習慣、計画された行動、社会予防を基本としている。RFH教育上の構成は、低所得者地帯の思春期の青だの3つの主な健康危険因子に焦点を当てている。すなわち、薬物使用や飲酒、暴力、HIV感染や他のSTD、妊娠の結果になるような性行為などである。暴力の章では、授業は生徒達に個人内の暴力危険因子はもちろん保護因子も紹介する。生徒達は”Think
First(まず考える)”モデルを使って、THTM構成部分の攻撃者、被害者、傍観者について明らかにし、可能性のある危険な状況の中での安全な反応について考え出すことを助長した。生徒達は怒りに対処する好ましい方法、手段について練習した;ケンカや暴力状況をさける、武器の携帯も含む;ケンカや武器を使わないで争いを解決すること。生徒達は争い解決手段を明らかにし、その状況に当てはめてロールプレイを行った。彼らはケンカをしないで、尊敬したりされたりする方法を調べ、ケンカにまで争いが拡大する可能性を少なくするための相手を重んじるコミュニケーション能力を練習する。13学級の生徒が授業を受けた。
RFH教育とCYSプログラム; RFHプログラムとCYSプログラム授業を受けたの連合したものに10学級の生徒達が参加した。生徒達は、授業以外に私立病院、地区保健相談所、小児デイケアセンター、老人市民センターを含んだ地域側でおおよそ週3時間を費やし、そこで分野側のスタッフ支持のもとに彼らは多種多様な仕事を実行した。生徒達は保健の授業に戻って情報報告会議の時間をとり、彼らの経験を共有することによって、意志をつけること、コミュニケーション、情報探求、健康支持、その他の分野の思春期能力を強化する。7年生の生徒達は彼らの学校から歩いていける範囲にある小児デイケアセンターにて、8年生の生徒達は主に地域からの老人サービスである2つの異なる分野に割り当てられたより幅広いプログラムを受けた。この取り決めは、生徒達に健康背景の多様性と供給者を曝すことを供給し、彼らの興味を維持することを助けた。8年生はまた、彼らがヘルスケア分野で働く為の準備についていくつかの追加オリエンテーション授業が与えられた。
RFHプログラム授業を受ける学級かRFHプログラムとCYSプログラム授業を受ける学級かは無作為に決めた。
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統制校;28学級がニューヨーク市教育委員会に権限を委ねられたことによって制限された健康教育だけを受けた。
A測定と分析
測定;全ての項目は自己評価記入式質問紙によって測られた。
質問内容
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属性(性、学年、民族)
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暴力指標(若者の暴力行為に頻繁に関連あるものとして評価される7項目。ナイフや銃の使用についての質問は中等学校の若者にどちらも比較的めったにない行いであるので1年間隔で言及し、他の質問は過去3ヶ月間の暴力ついてたずねた。)
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社会的に願わしいこと(成人用Crowne-Marlowe social desirability scaleを参考にした4項目。)
分析方法;重回帰分析を用いた。
3.結果
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表1は基線調査の全標本の暴力行為について生徒達をそれぞれ3つの介入状態に分けて示している。調査から過去3ヶ月の間に全体の半分近くの生徒達は脅された(47.1%)、肉体の殴り合うケンカを行った(44.1%)、またかなりのminorityが武器の携帯を報告した。一方武器の携帯や武器の使用は5%〜9%の間の生徒で記入されたが共通して同じくらい少ない行為であった。個々の基線暴力行為とか見積もられた基線の暴力スケールにおいて3つの教育集団に有意な違いはなかった。
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6ヶ月追跡調査での暴力行為の状態の治療効果を評価するために我々は初めに学級の中で生徒を2段階モデルに合わせることを試みた。結果はこの分析について1つも有意の学級効果がなかった。(すなわち学級単位について尊重すべき違いはなかった。)分析から学級変数を削除し決まった効果だけのモデルに改装した。表2のモデル1は2つの介入状態と統制群との比較である。基線の暴力、性別、民族、学年、社会的に望ましいことを合わせる。7,8年生が合わさったデータから追跡調査では統制群とRFHだけかCYS介入参加生徒の間の暴力行為に統計上有意な違いはなかった(表2、モデル1)。期待されたように、生徒達は基線調査において暴力をハイレベルに評価したものは追跡調査でも同様で、男子は女子以上に暴力が非常に増加した。CYSプログラムは7年生に比べると8年生は幅広かったので、我々は学年×介入の相互作用について、cross-product等式に入れて分析した(表2、モデル2)。結果は追跡調査時の統制群の基線の暴力と人口統計学特徴について、学年、CYS参加と暴力の間に統計上有意な相互作用を示した(p<.03)。CYS介入の参加効果は7年生より8年生に強くなった。
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相互作用効果について説明することは7,8年生に分けて回帰分析で処理した。表3は8年生CYS生徒が追跡調査時の暴力は統制群よりも危険行動の基線レベル、性、民族性、社会的に願わしいことについて有意に少なく評価したことを示した(p<.04)。しかしながら7年生の生徒に有意差はなかった。有意差はRFHだけ参加VS7か8年生の統制群についてだけである。
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介入校の中のCYS参加とRFHだけ参加の生徒達について直接的に比較した。7,8年生を合わせたものについて介入状態によって追跡調査時の暴力行為に統計上有意な違いはなかった。再びしかしながら、学年×介入相互作用は有意差があった(p<.05)。その後の暴力についての報告のCYS参加効果は7年よりも8年生、基線の統制群と人口統計学特徴の間で強くなった。要するに7年もしくは8年のRFHだけの介入について有意な介入効果はなかったが、CYSプログラムは8年生の参加者に影響を与えることを表した。8年生はRFHだけの群や統制群に比べて追跡調査時に暴力を少なく報告した。
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4.考察
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CYS教育は地域、生徒達が学ぶ目標を助けるために地域に貢献することや学級での教育と実生活での経験の関係について理解することに果たされる。この研究は始めてであるが、経済的社会的不利な貧困街の若者の間の行動における暴力を少なくすることや健康増進態度を助長する事、それらの有効性という観点から特にCYSを評価する。我々の調査結果は地域若者サービスはたくさんの包括的な暴力防止教育の構成部分の一つとして届けられた時には攻撃的な行動を少なくするための効果的な手段かもしれないことを提示した。
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我々の研究において学級での保健授業を受けた8年生の思春期(暴力防止教育に焦点を当てたものも含まれた)と、良く体系化されたものに参加する機会を持ち、集約的な地域奉仕プログラムは学級での教育だけや暴力防止に焦点を当てられなかった教育を受けた統制群の仲間達に比べて、殴り合いのケンカ、武器携帯、武器使用のような攻撃的行動に関係することをより少なくした。これは若い参加生徒達に明らかではなかったため、低いレベルでの介入は効果的でないことを示した。攻撃的行動を少なくすることに加えて、8年生のCYSプログラム参加者はまた8年生の教育課程だけの参加者や統制群として置かれた仲間達よりも有意に追跡調査での危険性を少なく評価したため、このような種類の包括的地域奉仕プログラムの幅広い健康増進効果を説明した。
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地域奉仕プログラムは思春期の健康増進に役割を演じることができ、特に学校基本の若者の暴力を少なくする効果について調査する必要性を示した。RFH
CYSプログラムは貧困街の若者達の自分は地域にとって価値があり、必要とされているという認識を助けるつもりだった。多くの研究で示されたようにただ知識だけが行動に移さない、積極的態度でさえ負の行為を防げないであろう。それゆえ若い思春期にとって健康危険因子を避けることは単に学ぶだけでは十分ではない。加えて彼らの健康を守ることや彼らの可能性を実現するための意味のある行動ができることについて示されただろう。健康を向上させる能力を採用し練習する過程の間を通して助けてくれるであろう。
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暴力防止と地域サービスの間に初めての観察に基づくつながりが作られたこと我々の調査はここで証明された暴力の減少は延長して維持されるかどうか、異なる年齢の生徒達にも似たような利益を得ることはあり得るかどうか、包括的な危険性減少カリキュラムが埋め込まれなかったCYSプログラムは合わさったプログラムと同じように効果的かどうか、政策展望からCYSは効果的な暴力防止戦略として見なすことができるかどうかを含んだ、追加の研究の必要性を示す。
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地域奉仕活動プログラムは、教育課程を補うことに効果があり、暴力防止教育の多構成要素の価値ある部分であるかもしれない。
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CYS教育は若者の暴力問題について家庭、学校、地域の間の関係を構築した出発点であるがより一層発展する事が必要とされることをここに示す。
<研究の長所・短所>
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学校だけでなく、地域活動を通して暴力防止教育を考えたこと。
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対象の背景、研究方法が詳細に述べられている。
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今後の研究課題が示されている。
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結果に基づく考察が少ない。
<学校保健への寄与・私見>
この論文は暴力防止教育が学校だけではなく、家庭、地域を巻き込んで考えていこうという新しい教育を提案している。この取り組みはまだ始まったばかりのものであるため、今後の研究が期待される分野である。日本においても、現在の生徒達を取り巻く心理社会的要因をふまえ、学校主導の教育だけでなく地域を巻き込んだ教育も行うことが期待される。
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