学校保健管理学特論紙面発表レポートへのコメント

福本利江子(臨床心理学教室)


1,A Replication Study of Reducing the Risk,A Theory-Based Sexuality Curriculum for Adolescents

報告者:桐山雅子

性教育は、家庭・学校において、これから非常に必要とされる教育である。アメリカでは、保護者の理解が高く、80〜90%の人が支援している。日本では、保護者自身の性教育の経験が少なく、性教育に対して、消極的な意見もみられる。しかし、現在の社会風潮からみても、援助交際等で性を商品化し、マスコミ等の性情報反乱に振り回されている子供達も多々みられる。性=命へとむすびつくという価値観を、生命尊厳的立場からも、子供の発達段階に応じて、幼児期からも進めていく必要があると思われる。性を軽んじることは生命をも軽んじることに通じることを受けとめ、避けてはとおれない、性の問題を真正面から捕らえていく必要がえると思われる。それが、本論文でもかかれてあるとおり、性交の遅延・避妊法の使用増加、そして親子の会話の増加へと繋がっていくのだと思われる。子供自身が自己決定できる性教育をめざして、これからの学校での教育を進めていきたい。それと共に、保護者や社会への性教育の啓蒙も大きな課題であると思われる。                          

2,Social Problem-Solving Sills Training A Competence-Building Intervention with Second to Fourth-Grade Children

報告者:大島知恵

最近の子供たちは、対人関係の経験が希薄で、うまく友人関係をけないことがみられる。人は決して一人で生きていくことはできず、人との関係性の中で生きている。にも関わらず対人とのコミュニケーションが発達していないということは多々の弊害がでてくるようになる。特に思春期においては、友人関係が必要とされる時期だけに、大きな打撃をうけるだろう。学校においても、このような社会現象に対応していくために、子供達にコミュニケーションスキル等の教育がこれからは不可欠になっていくのではないだろうか。本論文でも報告されているように、問題解決スキル獲得をした子供は有意に改善している。スキルの必要性はこれからもっと高くなり、保健指導等のなかに取り込むことも検討していく必要があると考えている。          
 

3,Assessment of psychosocial stress and maladjustment among foreign students of the University of the Ryukyus

報告者:李 連熈

日本は、21世紀にむけて、国際社会として発展していくと考えられる。今までの単一国民だけでのコミュニケーションでよかったが、これからは多民族の人々との関わりも大切にしていく必要がある。現在の沖縄でも、小学校・中学校でも、学校に通学しながら日本語教室に通級している外国の子供たちがいる。日本語や日本の文化については、少しずつなれてくるだろうが、心のケアは殆どできておらず、非常に不安定な心理状態のまま放置されている現状である。本論文でも報告されているように、これからの留学生や外国人が日本の適応していくためにも、心のケアは非常に大切である。留学生等の心理的ストレスを受け止め、対処していくことが、不可欠である。                
 

5,看護学生、新人看護婦の喫煙行動要因

報告者:才田 進

本論文から、看護学生や看護婦に喫煙者が多いのを知り驚いた。医学的知識があり、喫煙の害も十分していると考えられるが、知識と行動は必ずしも一致しないことが今回の論文からもよく分かる。知識のみでなく、価値観にまで迫り、喫煙予防を必要と感じ実践することができる喫煙予防教育がこれからの学校で求められてくるのではないだろうか。また友人に誘われたり、好奇心から喫煙を始める事が多いことから、そに対する指導も大切になってくると考えられる。喫煙に対する正しい知識と、自分にとっての喫煙予防の意味や必要性を感じ取ることができる指導法はどのようなものだろうか。最近はロールプレイを使って、友達に誘われたときの断り方のスキルをトレーニングする方法もある。これからの学校教育で、薬物乱用防止とともに喫煙予防教育は特に小学校・中学校でしっかり行っていくことが大切であると考えている
 

TOPに戻る