琉球大学における法学教育の現在


 琉球大学は直接的には1950年に琉球列島米国軍政府により設立されたが、設立の運動の原点は、昭和10年代の沖縄県議会を中心とした高等教育機関設立運動である。この運動に込められた県民の切望も迫りくる戦争の波で実現せず、戦後を迎えたが、沖縄戦後の灰塵の中でも、高等教育機関設立への思いは消えることなく、ついに県民の運動は軍政府を動かしたのである。
 琉球大学の法学教育は、大学設置間もないころから法律と政治を統合した法政学科として行われてきた。1997年の法文学部の改組で、さらに隣接社会科学分野と統合し、総合社会システム学科としての教育となった。
 1997年に学部改組が行われた背景の一つが、大学の大衆化であった。今日の大学は、多様な能力、適性、関心を持った学生が入学し、学生の学習目標も多様化している。これら多様化した学生を受け入れている大学に対しては、特に学部段階での教育について、多様な学生のニーズに十分に応えるカリキュラム編成や柔軟な教育組織の設計、あるいは、学生の学習を充実させるための具体的方策が求められている。総合社会システム学科も、このような時代の要請に応える学科として構想され、教育制度が設計されたのである。
 すなわち、学生は従来の学科の枠を越えた7つの履修コース(夜間主は2つの履修コース)から、自らの関心と将来の職業選択に応じてコースを選択し学習をすることができるのである。法律系の科目も、市民社会システムコース、産業社会システムコース、公共社会システムコースのコースコア科目となっている。個々の法律系科目の提供や講義も、総合社会システム学科の教育方針に沿って行われている。例えば、すべての科目を2単位としてセメスター制度をとること、他の法律科目を履修したことを条件とせず、その科目の中で理解し完結する講義を行うことである。
 他方、7つの履修コースの中には、特定の分野を集中的に学習し、将来専門家を目指しうるコースも設定されている。法律コースがそれである。琉球大学は、ほぼ毎年司法試験の合格者を出し、法律専門家も育成するという所期の教育目標を果たしてきた。総合社会システム学科発足後も、法律家を目指し真摯に努力を続けている学生は少なからずいる。これらの学生に対しては、主要な法領域についてもれなく開講し、さらに特に司法試験受験生を対象とした「司法講座・憲法」「司法講座・民法」等、「司法講座」を冠にした講義を8種提供し学習意欲に十分に応える工夫をしている。なお、現在では、法科大学院の設置に向けた取り組みが行われている。