長崎県立大へのメッセージ

2001年2月20日

長崎県立大学長
 石村 善治 殿

拝 啓
 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、貴学における、日の丸・君が代の取り扱いが長崎県議会等において問題とされ、設置者を通じて貴学の運営に有形無形の圧力が加わっていることを、日本科学者 会議長崎支部から聞き知りました。
 国旗国歌法の制定過程においても、日の丸・君が代の尊重を国民の義務としないこ とは、国民の内心の自由を保障するため、絶対の前提とされてきました。わが国によ るアジア諸国の植民地化や15年戦争において日の丸・君が代が果たした役割を考慮して、また、君が代の歌詞をありのままに解釈するならば国民主権を定めた日本国憲法の規定と相容れないことを考慮して、少なくない国民や研究者・教育者が、日の丸・君が代を国旗・国歌として尊重することはふさわしくないとの意見を持っています。このような意見は、十分に尊重されなければなりません。いやしくも、教育の場において、その構成員が内心の自由の行使に圧迫を感じるような、日の丸・君が代の取り扱いがなされてはなりません。また、学問の自由と自治を憲法に基づき享受している大学では、日の丸・君が代にかんして、科学的・批判的な立場からそのあるべき取り扱いが検討されなければなりません。そのような点から見るならば、この問題に対する貴学と、その代表たる貴職の態度は、高く評価されるべきものであり、日本科学者会議沖縄支部も心より支持と敬意を表するものです。
 設置者たる長崎県が、万一にも、貴学に対して、日の丸・君が代の扱いについて、特定の立場を強制または誘導することがあるならば、これは、大学自治を蹂躙する越権行為と見なされざるを得ません。長崎県議会などで、貴学に対し、日の丸・君が代を強制すべきであるかの議論が一部になされていると聞きますが、このような、大学のあり方に反する動きは強く批判されるべきものです。
 今後とも、教育研究の場たる貴学が、不当な支配を受けたり、また、それに屈したりすることなく、見識ある大学運営を引き続き貫かれるよう、支援と期待の意を表明するものです。

以上、日本科学者会議沖縄支部常任幹事会の名において決議し、貴職へのメッセージと致します。

草 々


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