3. 調査結果  3-1. 海上基地の安全性 3-1-1. 気象及び地理的条件

 台風、地震、津波等に対する安全性を見る場合、地理的条件からみて、少なくとも琉球海溝(南西諸島海溝)の及ぶ範囲で起こった過去の事例(下記に示す)を参考にすることが必要であろう。

最大瞬間風速の記録
85.3m NE 1966.9.5 (宮古島)、78.9m ESE 1970.8.13 (名瀬)73.6m S 1956.9.8 (那覇)

地震の記録
M8.0 1911.6.15 (喜界島近海)、本島にも被害

津波の記録
波高30m以上(85m説もある) 1771.4.24 (宮古、八重山)、死者12,000名

1時間降水量
138mm 1970.4.19 (宮古島)

日降水量
547.1mm 1903.5.29 (名瀬)、493.1mm 1967.11.18 (与那国島)
 これらの記録は、日本列島全体をみても最大級のものであり、琉球海溝に面したこの地帯が、海上建造物にとって日本でも最も安全性を保障しにくい場所の一つといえる。たとえば、阪神・淡路大震災をもたらした地震ですらM7.2であり、M8.0の地震に耐えうる保障はなかろう。また、波高30m以上の津波に対しては工法によらずほとんど安全性は保障できそうにない。ちなみに、チリ地震の際のこの地方への津波は3〜4mであった。さらに、活断層の可能性のある断層が、辺野古崎と大浦湾に向けて2本走っており、それらに対する危険も考えておく必要がある(図-1参照)

3-1-2. メガフロートの工学的問題点

 長周期波等に対する超大型浮体の安全性は未解明の分野が残されており、現段階での実用化は危険を伴うものである。また、建設途上において波浪等の悪条件による不測の事故なども危惧される。

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