3-4. 地域経済への影響
3-4-1. 沖縄における基地収入

 近年の米軍から受ける県民の収入(軍人軍属の消費支出、軍雇用者の所得、軍用地料(自衛隊を含む))は約1,630億円(1994年)である。この金額は、沖縄県民の1年間の総支出(3兆3千億円)に対しては4.9%に相当し、この割合は年々減少傾向にある。つまり、県民生活にとって、トータルとして生活費の5%程度を日本政府からの交付金及び補助金によっているといえよう。この割合をどうみるかは、県民の生活状態にもよる。

 一方、沖縄県企画開発部の資料では、沖縄県の観光収入は年間3,400億円あまりで、総支出の10.3%を、農林水産純生産額は約590億円で、総支出の1.8%となっている。つまり、観光事業は米軍依存度の約2倍であるのに対し、農林水産業は米軍依存度の36%でしかない。それだけ、基地に土地や海を提供しているためであろう。ちなみに、日本全体の農林水産生産額(13.7兆円)の国民総支出(467兆円)に対する割合は約3%であり、沖縄の指標の1.7倍に相当する。

3-4-2. 宜野湾市における基地収入

 米軍基地に関連する、政府からの交付金及び補助金の総額は、約17億円である(1995年)。この額は市の歳入の約6%である。そのほかに地主に対する地代も支払われている(約49億円)が、海上基地の場合、この値は参考にならない。

 普天間の例でも、基地収入は一般市民にとってあまりプラスになっていないようである。

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科学者会議沖縄支部