要 請
国立大学職員の「非公務員化」に反対する

文部科学省 国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議  連絡調整委員会主査  長尾 真 殿

1.連絡調整委員会に提出された資料「法人化後の職員の身分に関する主な意見」について
 去る1月25日の調査検討会議連絡調整委員会に提出された資料「法人化後の職員の身分に関する主な意見」は、経済財政諮問会議、総合規制改革会議などの政府関係の機関、経済団体連合会、政党、新聞社説など「非公務員型又はそれに近い主張」を多数掲載する反面、「公務員型を主張するもの」として全大教(全国大学高専教職員組合)の意見1件を掲載するにすぎない。こうした資料の編集は、明らかに「非公務員化」の主張に傾いたバイアスを含むものであり、委員会における議論を誘導するものと言わざるをえない。これは、これまでの議論の経緯からすればきわめて不当である。調査検討会議の「中間報告」においても3つの意見が同等またはそれに近いウェイトで存在することが示されており、また国大協(国立大学協会)が公務員型を支持する立場をとってきたことは周知のところである。

2.大学職員の意見を聴く必要がある
 国立大学の職員は、公務員としてその職業生活を開始し、公務員としての地位が保障されることを当然の前提として勤務に精励してきた。大学職員の大多数は、今でもそうした地位が維持されることを信じている。そうした公務員としての地位が一方的に変更されることをほとんどすべての職員が容認しないであろうことは、わたしたちの行なっている調査などからも明らかである。
 「公務員型」とするか、「非公務員型」とするかのもっとも根本的な問題は、「身分保障」である。法律上の「身分保障」があるか、これを失うかということは、職員にとってはその全職業生活にかかわる重大な問題である。こうした、職業生活、雇用の基本にかかわる問題を、当事者である職員の意見を聴くことなく一方的に決定することは、信義に反する。とうてい許されることではない。大学教職員の身分は公務員であるべきである。
 それにもかかわらず、職員の意見を聴くことなく、一方的に、非公務員化の措置を決定するならば、大学の職場において雇用不安が広がり、日常の教育・研究業務の質も低下することになるであろう。文部科学省および調査検討会議は、最終報告を決定する前に、全大教ほかの大学教職員の職員組合との誠意ある交渉を行なうべきである。

3.公務員身分は「学問の自由」を保障するためにも必要である
 国立大学教職員を非公務員にした場合には、教特法の教員に関する身分保障が適用されなくなる。教特法の規定が「学問の自由」を守るために、歴史的な経験に基づいて定められたことは言うまでもない。「学問の自由」は、大学における自由で創造的な教育・研究を発展させるための制度的な保障であり、これが大学の研究・教育活動にとって不可欠のものであることは今日でもまったく変わらない。
 本来、「学問の自由」にとっては、私立大学にも同様の法的保障がなされるべきであるが、教特法の規定は事実上の規範としてこれまで私立大学にも及んでいた。国立大学について「非公務員化」することによって教特法の規定が意味を失うことになれば、それは、国公私立のすべての大学における教育研究の自由を脅かすことになりかねない。
 「学問の自由」を守るためにも、公務員身分を維持しなければならない。

4.大学の再編淘汰の道具にしてはならない
 前述の資料にある「非公務員型」を主張する意見の多くは、民間企業との研究協力や大学教員の兼職・兼業を可能にするために非公務員化が必要だと主張している。しかし、企業との研究協力や兼職は現行制度の下においてもすでに広く行なわれており、まして公務員制度改革がなされるならそうした問題はほとんど解消するであろう。現在主張されている非公務員化のねらいは、むしろ別のところにある。
 「国立大学も非公務員型にして」「自然淘汰するのがいい」(尾身科学技術担当相、朝日新聞2001年12月17日)という発言に示されるように、国立大学を民営化または民営に近い形にすることによって、再編淘汰の手段にするというのが、今日の非公務員化の真のねらいである。こうした主張は、私立大学も含めた大学の社会的、公共的な性格を見失った誤った議論であり、高等教育と学問研究のバランスのある発展を阻害するものである。地域の発展、国民の高等教育への欲求、科学研究の発展といった見地からすれば、市場競争によって大学を淘汰するというような議論に組することはできない。
 「非公務員化」をこのような大学の再編淘汰の道具にしてはならないのである。

 以上の理由により、私たちは、調査検討会議に対して、以下のことを要求する。

1.国立大学職員の身分に関して、公務員身分を維持すること。
2.当事者である国立大学教職員の意見を聞くこと。

2002年2月20日

 北海道大学教職員組合執行委員長 神沼公三郎
 新潟大学職員組合執行委員長 谷本 盛光
 茨城大学教職員組合執行委員長 森野  浩
 千葉大学教職員組合執行委員長 伊藤 谷生
 東京農工大学教職員組合執行委員長 小島 喜孝
 東京大学職員組合執行委員長 田端 博邦
 愛知教育大学教職員組合執行委員長 舩尾日出志
 佐賀大学教職員組合執行委員長 西田 民雄
 宮崎大学教職員組合執行委員長 恵下  歛
 秋田大学教職員組合執行委員長 佐藤 修司
 小樽商科大学教職員組合執行委員長 兼岩 龍二
 鹿児島大学教職員組合執行委員長 仲村 政文
 島根大学教職員組合中央執行委員長 古用 哲夫
 室蘭工業大学職員組合執行委員長 橋本 忠雄
 電気通信大学教職員組合執行委員長 福田  豊
 滋賀大学教職員組合委員長 黒田 吉孝
 富山大学教職員組合執行委員長 東田 雅博
 全大教北海道教職員組合執行委員長 増子 捷二
 東京外国語大学教職員組合執行委員長 小川 英文
 福井大学教職員組合執行委員長 森   透
 大阪教育大学教職員組合執行委員長 井上 博文
 宇都宮大学職員組合執行委員長 片岡 健治
 和歌山大学教職員組合執行委員長 小林 民憲
 静岡大学教職員組合執行委員長 金田 利子
 岐阜大学教職員組合委員長 長野 宏子
 徳島大学教職員組合委員長 中嶋  信
 京都工芸繊維大学職員組合執行委員長 政宗 貞男
 京都教育大学教職員組合委員長 奈倉 洋子


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