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2002年12月18日 2002年度年末研究交流集会 テーマ「教育はいま」

話題提供 教育基本法改定問題について…佐久間正夫氏
     琉大教育学部の改組と教員養成について…里井洋一氏
     教科書問題について…高嶋伸欣氏

 12月18日琉球大学において、「教育はいま」をテーマにJSA年末研究交流集会が開催された。
 佐久間正夫氏は、教育基本法について、ファシズムや教育勅語を否定する日本側の自主改革の努力と連合国の支持の下でつくられた教育宣言・教育憲法だとした。その上で中教審中間報告など法改正動向を紹介し、問題点として、「新しい時代」「たくましい日本人」などの内実も、現行規定を見直す必然性も示されていないこと、教基法改正は国民的議論になっておらず、中教審でも議論不十分なこと、前文の改正で憲法との結びつきが希薄にされることなどを指摘した。
 里井洋一氏は、新しい中学校社会科教科書を回覧し、自著の教科書も示して、知識の注入から生徒に考えさせる教材へと転換する努力を紹介した。ところが、こうした教科書は現場で全く不評であり、マニュアル化された知識の伝授に流れない教員の養{成・採用が課題だとした。そのために琉球大学でなされるべき、教育学部の発展と全学的な教員養成の取り組みの方向を提案した
 高嶋伸欣氏は、自衛隊の海外活動の拡大や平和教育に求められる新たな視点について話題提供し、95年の沖縄県民大会の写真を大きく掲げたり、自衛隊やその海外活動について賛成・反対の意見が対立していると明記している小学校教科書を紹介し、子どもと考える様々な教育実践が可能であることを示した。一方で、扶桑社版教科書や自らの教科書訴訟の問題を報告し、日本がアジアと向き合うために必要な視点について提起した。
 会には非会員や学生・院生も含め約30名が参加し、盛況であった。チラシを見ての参加者が多かったようで、今回から力を入れたインターネットでの案内・宣伝は、効果を現すには例会の実績を重ねる必要があるようだ。会終了後懇親会を行い、和やかに会食懇談した。

(「日本の科学者」'03.3月号「科学者つうしん」掲載予定原稿)

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