2003年10月3日 夏の研究交流集会 沖縄の開発と自然環境

琉球大学 工学部小会議室

泡瀬干潟 沖縄島最大の渡鳥飛来地・希少種続出の藻場の埋め立て事業*
   前川盛治氏(環境監視検討委員、泡瀬干潟を守る連絡会事務局長)
西表島浦内川 ホテル建設と流域生態系の破壊
   岡島 実氏(弁護士、西表島リゾート開発差止訴訟弁護団)

 沖縄支部は2件の開発問題をテーマに、10月3日、琉球大学で恒例の研究交流会を開催した。
 沖縄島中部東海岸の泡瀬干潟は、シギ・チドリ類を中心に沖縄で最多の渡り鳥が飛来し、海草や貝類などの希少種が続出している第一級の干潟である。ところが、国と沖縄県は、隣接する港湾の整備事業の土砂捨場とするために泡瀬干潟を埋め立てて、リゾート施設に供しようとしている。すでに着工したこの事業は、いま、環境保全措置として事業者が進めている海草移植の是非が焦点となっている。演者の泡瀬干潟を守る連絡会事務局長・前川盛治氏は、国の環境監視検討委員会に加わっている。同氏は、連絡会の自主調査のデータ・写真も駆使して、藻場の移植実験が誤りとごまかしに満ち、実験自体が生態系を破壊している実態をつぶさに紹介し、泡瀬干潟保護を訴えた。
 西表島の浦内川は琉球列島最大の河川で、源流から河口まで流域生態系が完全な状態にあることで知られる。ところが、浦内川河口のトゥドゥマリ浜周辺で、ユニマット・グループがホテルなど大型リゾートを建設・計画中である。西表島にはゴミ処理場もなく、水源容量も小さい。大型ホテル建設で廃棄物や渇水問題が住民生活を直撃する。人荷に付随する生物持込みや、施設からの排水などにより、周辺の生態系への深刻な影響も予測される。9月には、全国から原告を募ってホテル建設差止を求める訴訟が提起された。弁護団事務局長の岡島実氏が講演し、本開発の問題点や事業者や町長の横暴を縦横に指摘し、支援を求めた。
 チラシ配布や各種MLへの投稿が奏功してか、非会員の教員学生多数を含む30名が参加し、予定を大幅延長して熱心に議論した。続く懇親会も盛会で、1名が新入会した。

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