沖縄米軍海上基地建設計画とりやめの申し入れ

1998年1月30日

内閣総理大臣 橋本龍太郎殿 アメリカ大統領 W.J.クリントン殿 沖縄米軍海上基地学術調査団

 団長:木原 正雄  副団長:武居  洋  事務局長:河井 智康

沖縄米軍海上基地建設計画とりやめの申し入れ

 現在建設計画がされている沖縄県名護市辺野古沖の米軍海上基地に関しては、1997年5月〜10月に日本政府は現地調査を行い、「海上ヘリポート基本案について」なる文書を公表した。

 また、われわれは、日本科学者会議の専門家を中心とした学術調査団を結成し、1997年5月と11月の2回にわたり現地調査を行い、「沖縄米軍海上基地学術調査団報告」を公表した。双方の文書では海上基地の自然環境への影響についてかなり異なる見解が示され、政府文書では大きな影響はないとし、われわれの見解では多大の被害を及ぼす可能性が高い」とした。

 その後の経緯を見るに、例えばジュゴンの餌場がちょうど海上基地予定水域に相当もしくは隣接しており、海上基地建設が国際的な保護動物の生息の阻害要因になりかねないことが明らかになりつつある。また、1997年11月20日に初めて公表された日本政府の「シュワブ沖調査結果報告書」では、陸上の稀少生物種も数十種にわたり観測されていたことも判明した。

 これらのことは、もしこの米軍海上基地建設が実行されるとすれば、今日の自然・環境保全の国際的常識に著しくはずれる行為となることを示すものである。

したがって、この建設計画をすみやかにとりやめるよう、日米政府に強く申し入れるものである。

1998年1月30日   

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