6 新たな処分不可の場合の大学の信用失墜

 今回の事件の特徴は、加害者が、明白な証拠のある違法違反実験以外の行為について一徹して否認していることである。これに対し、3年前、大学は「調査権限の限界」を理由に「不明」の結論を出した。

 仮に、今回、評議会が新たな処分不可、あるいは軽い処分の決定を行えば、大学は今後に大きな禍根を残すことになる。同様の事件が大学で起きた場合、加害者はY助教授と同様、以下の手段を用いるであろう。

 加害者の否認。- -大学の調査、「不明」の結論に基づき、処分無しか、軽い処分 -- 被害者は民事訴訟あるいは刑事告訴。 - -判決で新たな事実の判明。-- 大学、新たな処分は行えず。

このような事態になれば、どの様な防止策(たとえばセクシャルハラスメント防止のための指針など)も、役立たずになってしまうであろう。また、被害者は泣き寝入りせざるを得なくなり、勇気ある告発はなくなってしまう。恐ろしいことではないか。

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