2006年2月27日

琉大教授職員会のみなさま

琉大教授職員会拡大執行部会

山口剛史(庶務)

 

就業規則改定のための団体交渉に対する執行部の見解(案)

 

はじめに

 会員のみなさま、教授職員会執行部ではこれまで2月3日、2月20日と当局との団体交渉をすすめてきました。交渉内容は、先日お伝えした給与のベースダウンをせまる「給与規程」改訂を含む20件あまりの就業規則改定(案)についてです。過去2回の団体交渉において、当局の説明を受け、補足資料の要求もしてまいりました。

 先の団体交渉を受け、執行部会としてこの問題に対する見解をまとめました。会員のみなさんに広く議論していただき、正式な回答としてまとめた上で当局と交渉をすすめたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 ご意見は、各学部の代議員または教授職員会、執行部までお寄せ下さい。

 

諸規則改定のポイント

 大学当局から提示された諸規則改定(案)の細かい内容については、現在PDF文書として見ることができます。教授職員会のホームページ(http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~kyoshoku/)または事務局のページ(http://www.jim.u-ryukyu.ac.jp/jinji/kyuyo1/kisokukaisei/ichiran.html)をご覧下さい。

 ここでは、執行部として特にみなさんに知っていただきたい事項についてポイントを絞ってご紹介したいと思います。今回執行部として皆さんにご一読の上、ご意見をお寄せ頂きたい規則改定(案)は以下の点です。

 (1) 職員給与規程(H17年度のベースダウン及びH18年度給与表の変更)

 (2) 職員就業規則(4週間単位の変形労働時間制の導入、外国語センター設置に伴う特任教員の導入)

 (3) 教員就業規程(教員の懲戒規程の変更、外国語センター設置に伴う特任教員の導入)

 (4) 職員懲戒規程(教員の懲戒規程の変更)

 今回の規則改定(案)は多くの問題点を含んでいるため、執行部としては上記の重要な案件を中心に、意見集約と当局との交渉の取り組みをすすめたいと考えております。もちろんその他にも、「大学評価センターへの任期付き教員の配置」「育児休業・介護休業に関する規程」「職員旅費支給規程」「非常勤講師実施要項(非常勤講師の任期を半期とする要項)」などがあります。これらについてもご一読いただき、ご意見があれば是非お寄せ下さい。

上記の規則・規程の改訂を内容的に見ると以下の4点にポイントを絞ることができます。

@ 給与のベースダウンと給与表改訂の問題

A 4週間単位の変形労働時間制の導入

B 外国語センター設置に伴う特任教員の導入

C 教員の懲戒規程の変更

以下、これらの4点について簡単に内容を紹介していきます。

@ 給与のベースダウンと給与表改訂の問題

 これは、昨年度当局による説明会も実施されましたが、平成17年度において本給表の本給月額を一律0.3%引き下げるというものです。また、扶養手当(配偶者分)の月額500円引き下げ等も含まれています。これが実施されると、3月末で退職される先生方の退職手当も減額されます。当局の説明では、退職手当はこのベースダウン(ベースダウンの根拠は人事院勧告です)分に基づいてしかお金がこないため、下げなければ大学の持ち出しとなると言っています。ちなみに持ち出しとなる金額は200万円程度です。当局は31日付で変更したいという方針です。

 平成18年度については、「地域別官民格差を参考とし本給表の水準を全体として平均4.8%引き下げする。中高齢層は7%程度の引き下げ」という提案です。その上で「級の見直し」があり、現在の昇給制度にかえて勤務成績に基づく新たな昇給制度を導入するというものです。

 

A 4週間単位の変形労働時間制の導入

 当局の改正理由として、「休日の確保を目的とし、全職員へ4週間単位の変形労働時間制を導入するため」としています。団体交渉時の説明では、現在の規則では1週間以内に振替休日を取得することは困難であるため、4週間に幅を広げることによって休みを取りやすくしたいと言っています。

 

B 外国語センター設置に伴う特任教員の導入

 「外国人教師規程」の廃止に伴い、新たに「外国語センター」を設置することとなり、ネイティブスピーカーを「特任教員」として採用し配置したいというものです。これまでの外国人教師とは変わって、センター付き職員として任期3年、更新は1回までとなっています。

 

C 教員の懲戒規程の変更

  今回の懲戒規程の変更は、「当該教授会等の申し出により、教育研究評議会が認めた場合は、当該教授会等の審査を省略することができる」という内容を加えたものです。

 

上記ポイントに対する執行部の見解

ここでは、@からCまでのポイントに沿って執行部会で議論した内容を紹介します。この見解に対するみなさんの意見をいただき、当局と交渉するようにしたいと考えています。

@ 給与のベースダウンと給与表改訂の問題

 平成17年度の0.3%のベースダウンは受け入れられないと判断しています。人事院勧告は国家公務員を対象としたものであり、教員を含め国家公務員より給与水準の低い本学職員にそれを適用することは、国立大学法人法の給与規定の趣旨から言っても合理性を欠くものです。また、退職手当を引き下げる必要性のみを理由に、給与原資が確保されているはずの全職員の給与を引き下げることも著しく合理性を欠く上、前者についても、退職後の生活を圧迫することにもつながり容認しがたいと言わざるをえません。

A 4週間単位の変形労働時間制の導入

 変形労働制への変更は、労働者にとって労働のあり方を大きく変えるものであり、慎重に検討すべき事項です。しかし、提案された中身を見る限り、そもそも当局の主張する振り替え休日を取りやすくするというのは名目に過ぎず、実体は休日・時間外労働手当てを圧縮できるように変形労働制の悪用を意図したものでしかありません。そのため、今回の提案内容はそもそもの変形労働制の本来の趣旨から逸脱しており、勤務パターンの明示等の変形労働制導入のための法的要件さえ満たしておらず、認めることはできません。

B 外国語センター設置に伴う特任教員の導入

 労働基準法は、労働条件は労使対等の立場で決定されねばならない旨規定していますが、この任期付きの特任教員導入の件に関しては、これまで一切労使交渉がないまま一方的に事が進められ、すでに採用人事が進行中など既成事実化が行われています。当局の提案を一応了承するが、教授職員会と協議し、反対がある場合には再審議するという旨の教育研究評議会の決定も、全く無視されています。また、内容的にも、実質的な外国人差別となりかねない点で労基法違反の恐れが大きく、大学教員に教育とともに研究の機会も保障した学校教育法の精神からも問題が多いものと判断します。

同じく、大学評価センターへの任期制の導入についても、プロジェクト型での導入が提案されているが、これについても、任期制法の制定にあたって表明されたプロジェクト型の立法趣旨に合致しているとは言い難く、反対の立場です。

C 教員の懲戒規程の変更

 職員懲戒規定と別に教員懲戒規定があったのを前者に1本化することについては特に異論はありませんが、教員の懲戒にあたって「教授会等の審査を省略できる」ようにするという提案については、大学に教授会の設置を義務づけ、重要事項を審議させるとした学校教育法や、就業規則の他の条項との整合性から言って問題があると考えます。ただし、セクハラのような特定の事柄については、教授会が本来持っている事実調査権(や場合によっては懲戒申し立て権)を、(教育研究評議会ではなく)全学調査委員会に委任することは例外的に認められるし、現に行われてもいます。しかし、それを懲戒一般に普遍化することや、まして教授会権限を一切教育研究評議会に委ねることができるとする提案は、合法性から言っても問題が多く、慎重な取り扱いを求めていきたいと考えております。                                              

 

 

以上のような見解になりました。

みなさんのご意見をお願いいたします。