琉球大学教授職員会ニュース 第100号

20048月16日 琉球大学教授職員会 (内線 2023)

E-mail kyoshoku@eve.u-ryukyu.ac.jp  http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~kyoshoku/

2004年度活動方針案、総会にて承認!!!

− 総 会 報 告 −

73016時半から教授職員会総会が開催されました。そして、2003年度活動報告、同決算報告、2004年活動方針、同予算案が承認されました。これらの議事の後、全学人事委員会規定の問題に関し、決議が提案され採択されました。本ニュースに添付しましたので参照ください。(現出席26名、委任状178名)総会に引き続き、懇親会が催されました。そこでは、学長および理事の先生方(招待)を交えて懇談し、学長をはじめとする諸役員と教職員集団が対等な立場で共に琉球大学を支えていく必要があることを確認しました。

2003年度活動報告では、就業規則の作成に毎週拡大執行部会を開いて対応したことが紹介されました。就業規則の内容は、私たちの教育研究活動に直接的に関係しますから重要です。ですから、教授職員会は、就業規則の内容作りを最重要課題として専門委員を含む拡大執行部会で取り組んだわけです。当局作成案に対して、教授職員会がどのような内容作りをしたのかは、ニュースで本号から数回にわたって報告します。不満足な点はいくつか残りましたが、人事課の関係者も誠意を持って対応されたと認識しています。

2004年度活動方針案は、当会ホームページ( http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~kyoshoku/ )に掲載しますので、詳しくはそちらを見ていただきたいのですが、総会で確認された教授職員会が直面している重要諸事項は何なのかを簡単に紹介します。@まず、法人化1年目の今年度は、さまざまな問題が出てくることが予想されます。たとえば、すでに学長から検討が求められている全学教員人事委員会規程の問題があります。各学部教授会の役割を含む全学的な運営の制度設計が曖昧のままにこのような論を先行させることは全学的な合意形成が図りにくく、慎重な態度が求められます。Aそれから、法人移行に向けて整備すべきことで積み残してきた課題があります。労働時間制度について労使協定を保留しています。現在、教員は原型労働制で勤務しています。これは工場労働者の勤務形態がモデルで、この勤務形態に合う大学教員は非常に少ないと思われます。そのような勤務形態を選択している教員の場合でも、学生が質問に来たとき、勤務時間でないと拒否できるものではありません。現実問題として、大学で倒れても労災に自動的に認定されるとは限らないのです。法人化に向けて当局などが準備された勤務形態は、裁量労働制ですが、この問題点は、超勤・サービス残業状態になってしまうことです。さらに、そのような状況で例えば深夜に倒れたとしますと、やはり労災扱いの認定を受けることは易しくありません。Bまた、これらのさまざまな問題に関連して、労使協定に加えて、労働組合と使用者側との間に労働協約を結ぶ必要があります。これは当会会員を直接的に守るものです。Cそして最後に、当会規約の改定も必要になっています。親睦団体という性格を捨てる必要はないとしても、法人化によって、労使体制としての「組合」という性格が担わされたわけです。仮にそういう実態が伴わないと、会員が不利益な取り扱いを受けることを防ぎきれません。

これらの重要問題・課題について、新執行部は、拡大執行部会と専門委員会で取り組みます。とりあえず、専門委員会を二つ作ります。一つは、労働時間制度の問題と労働協約締結の課題を担当します。もう一つは、会規約の改訂と大学憲章の制定という課題を担当します。そのほかの法人化後の諸問題は、拡大執行部会が担当します。「拡大」という意味は、代議員にも開催連絡をし、執行部員以外にも参加を呼びかけるということです。専門委員会においても拡大執行部会においても、会員が参加し意見を述べることは当然認められます。執行部として、そういう会員の協力を期待しています。

直面する課題や問題が多いため十分に執行部が対応できないことがあるかもしれません。会員の皆さんのご協力をお願いします。また、ご意見やご助言がありましたら、e-メール等でお知らせ下さい。

 

 

 

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決        議

 

琉球大学教授職員会第44回総会   2004年7月30日

 

我が国の大学の歴史のみならず高等教育における歴史的な転換である国立大学の法人化から4ヶ月経過した。

法人化の問題点は、すでに法律の議論段階から指摘されていたし、さらに今後の現実の過程においても検証されるべきことも多いと思われる。しかし、わずか4ヶ月の間にも、大学の将来を危うくすると思われる動きが、琉球大学においても現れている。

法文学部の構成員の意思を十分問うことなく進んでいる「観光科学科」の新設、「琉球大学全学教員人事委員会の設置およびその規程(案)」の提出など、これらは従来の国立大学で行われてきた学部自治、学問の自由を基礎におく運営や規則の定めと大きくかけ離れたものである。

また、独立法人化の利点として持ち上げる人もいた年度を超えた予算の執行も、現場の段階では実質上行うことができないようであり、また研究予算の執行においても、非「効率的」な手続きをすでに経験している。

大学の「首脳部」はことあるごとに、種々の運営が「国立大学法人法」の個々の規定に従う必要のあることを強調している。しかし、これは大学の歴史と大学の目的を重視しない官僚的姿勢と言わざるをえない。

そもそも、この法人法は、その第一条にあるように「大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るため」に制定されたものであり、また第3条にあるように、「この法律の運用に当たっては、国立大学及び大学共同利用機関における教育研究の特性に常に配慮しなければならない。」ことをうたっている。さらに、多くの法人法の問題点を解消するため、23項目の付帯決議が同時に決議され、大学の自主的、自立的運営の確保、全学的合意形成への努力と教授会の役割の重視が盛り込まれている。

学校教育法における、大学自治、学問の自由の保障の精神は、憲法に次ぐ基本的な法律として、当然現在においても学問、教育分野の目的と運営の基本を規定している。また、国立大学時代の教育公務員特例法も国立大学法人に現在不適用になったとはいえ、それが否定されたのではなく「国立」大学が存在している限りその精神は存続していると考えるべきであり、先に述べた法人法の精神と矛盾するものではない。

さらに言えば、大学当局が作成し我々教授職員会も協力して決定した「琉球大学就業規則」においても、その第1条の目的規定において、「大学の自治とその公的責任との適正な均衡を確保しながら,自由で公正な真理の探究に基づく教育及び研究を本学において発展させるためのものである」ことをうたっており、また「教員就業規程」においては、第3条で「学問の自由を保障すること」、第4条では、大学教員の人事における教授会の重要性を規定している。

このように、法人法1条にもある「国民の要請に応える高等教育」の手段として、大学において確立されてきた大学の自治、学問の自由は、「国立大学法人琉球大学」においても変わらず守られなければなないことは明白であろう。

そももそ「大学の自治」は、憲法23条「学問の自由」の直接的保障を受けており、またその内容としては、「〔1〕教官の人事に関する推薦・任命・免職権、〔2〕学則や各種の規程定立権、〔3〕学長・学部長等の選出権、〔4〕教育内容・方法・対象の自主決定権、〔5〕学位資格の認定・授与権、〔6〕大学施設の管理権、〔7〕財政自主権」(小学館、日本百科全書より)が含まれていると解されている。

以上のように、我々は法人化された大学においても、この学問の自由と大学の自治は最も基本的なものとして、運営、経営の基礎としてふまえる必要があるものと考える。大学の「経営」によって、本来の大学の目的と使命が損なわれてはならないのである。これが否定されることは、大学の経営的破綻以前に、学問の府としての大学の破綻といえないだろうか。

我々は、大学経営陣、教育研究評議会、経営協議会の構成員が、常に学問の自由と大学の自治を基本として経営、運営にあたることを要求する。経営陣の強引な「トップダウン」の運営は、大学の効率的な運営を妨げるものと考える。

教授職員会は、学問の自由とその制度的保障としての大学の自治を守るために、そして大学における自由で活発な学問と、将来を担う自由で自立的な後継者を育てる教育を進めるために、これに反する動きに対しては、全教職員とともに反対するものである。

 

 

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米軍ヘリコプター墜落に関する抗議声明

 

教授職員会では米軍ヘリコプター沖縄国際大学構内墜落に関して,次のとおり日米両政府に抗議声明文および本学学長に申し入れを送付しました.

 

 

米政府関係担当部局 御中

日本政府関係担当部局 御中

 

「米軍ヘリコプター沖縄国際大学構内墜落に関する抗議声明」

 

 8月13日午後の米軍大型ヘリコプターCH53の沖縄国際大学構内墜落に関し、これに到ることとなった民間居住地域上空における米軍機飛行に強く抗議する。

 琉球大学教授職員会では、教育研究環境の改善のために、本学上空および周辺の米軍機の飛行中止を求めてきた。今回の事故は、米軍機の飛行が、教育研究環境の悪化のみならず、生命に関わる重大な事故を引き起こしかねないことを、露わに示した。

 わたしたち琉球大学教授職員会は、琉球大学地域を含むすべての民間地域上空における米軍機の飛行を直ちに中止することを日米両政府に強く求めるものである。

 

2004年8月13日 

琉球大学教授職員会執行部

 

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琉球大学学長 森田孟進 殿

 

「米軍ヘリコプター沖縄国際大学構内墜落に関する申し入れ」

 

 琉球大学教授職員会は、8月13日午後の米軍大型ヘリコプターCH53の沖縄国際大学構内墜落に関し、民間居住地域上空の米軍機飛行に抗議し、琉球大学地域を含むすべての民間地域上空における米軍機の飛行を直ちに中止することを日米両政府に要求する抗議声明を発表しました。

 琉球大学教授職員会ではこれまでも、教育研究環境の改善のために、本学上空および周辺の米軍機の飛行中止を求めてきました。今回の事故は、米軍機の飛行のたびに講義が中断されるなどの教育研究環境の悪化のみならず、米軍機の飛行が生命および財産に関わる重大な事故を引き起こしかねないことを、露わに示しています。

 琉球大学教授職員会は、

1) 琉球大学学長は、この事態に対して日米両政府に抗議するとともに、

2) このような危険な状況の改善に向けて具体的な措置をとることを

求めます。

 

2004813

琉球大学教授職員会執行部

 

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就業規則等の制定にまつわる話(その1)      2004年8月12日: 屋富祖建樹

 

03年10月30日、就業規則(案)(以下“大学案”と呼ぶ)が教授職員会に手渡され、この日から執行部会の苦闘が始まった。読み進んでいくと、なんと33条(遵守事項)に、次のような文章が書かれていた。

「学長の許可なく学内で放送・宣伝・集会または文書画の配布・回覧・掲示その他これに順ずる行為をしてはならない。」

これは容易ならぬことだと気が引き締まった。以下、修正作業の話をしていきたい。

                                       

【T】第1章 総則 のこと

大学案の(目的)総則には

「この就業規則は「労働基準法」の規定に基づき、国立大学法人琉球大学に勤務する職員の就業に関して必要な事項を定めることを目的とする。」

とだけ書かれていた。

 我々は、大学における就業規則であるから労基法の観点だけからでなく、憲法、教育基本法等の観点からの規定も加えるべきであるとして、以下のような追加を要請した。

この規則で定める事項は,大学の自治とその公的責任との適正な均衡を確保しながら,自由で公正な真理の探究に基づく研究及び教育を本学において発展させるためのものであるから,本学及び教職員はそれを遵守することによって,高等教育機関に課せられた社会的使命を果たすように努めなければならない。

この文案は第1条2項として本則に追加された。

 

【U】退職および解雇 のこと

 大学案の第7節は「退職および解雇」となっていて、解雇は「当然解雇」と「その他の解雇」に分かれていた。そのうち「当然解雇」の項には次の文があった。

(3)日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はそれに加入した場合。

この項は、公務員法のもとで課せられていた欠格事由の1つであるが、労基法においてはこのような規定はない。このような団体とされるものに「結成」あるいは「加入」したことのみを理由として解雇した場合には,むしろ労基法3条の信条による差別が問題とされる可能性が強いとして削除を提案した。

 

 また、「その他の解雇」の3項は以下のような「整理解雇」が規定されていた。

第24条 職員が次の各号の一に該当する場合には,解雇することができる。

   (3) 組織の改廃等により,職員の減員が必要となった場合 

我々は、これは労働者にいわば落ち度のない場合の解雇であり、労働契約関係においては整理解雇に関する判例法理が確立していることから、それを踏まえて規定を新設する必要があるとして、具体的に条文を4項に渡って提案して受け入れられた。

    ―――― 以下次号に続く ―――