琉球大学教授職員会ニュース
第105号 2005年1月24日 琉球大学教授職員会 (内線 2023) E-mail
kyoshoku@eve.u-ryukyu.ac.jp http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~kyoshoku/ |
来年度は原形労働制?裁量労働制?変形労働制?
現在教員の労働時間制度は勤務時間が原則としてAM8:30からPM5:15である”原形労働制”を採用しておりますが、先の学長交渉で大学は来年度から教員について”裁量労働制”の導入の意向を示してきました。また教育現場での不規則な労働時間に対応すべく、附属小中学校では1年単位の”変形労働制”を採用しております。
”原形労働制”
この制度だと、勤務時間が原則としてAM8:30からPM5:15であるため厳密に労働時間を管理運用されると、実験、フィールドでの調査や学生指導での不規則な時間配分に成らざるを得ない教育研究がやりにくくなるのは明らかです。一方、超過勤務や休日労働に関して賃金の請求が可能です。
”裁量労働制”
裁量労働制とは、使用者が労働者に対して具体的指示を行わず、時間配分も含めその遂行方法を労働者自身の裁量にゆだねるもので、時間的に業務の融通はつきやすいものです。
問題点
1)裁量労働制でも労働時間の管理が義務付けられています。
過重労働防止の観点から、労働時間の管理が義務づけられており、労働時間を厳密に管理されると深夜労働(PM10:00からAM6:00)や休日労働に対応していないため教育研究上の融通がきかなくなります。またその対象者も教員全体に当てはまるわけではありません。
2)学外での調査研究に対応できるものでもありません。
自宅、フィールド、他の図書館での調査研究に対応するものではありません。当然、出勤した上での時間配分等を裁量にゆだねられているだけです。自宅研修、学外研修の手続きの簡素化などが求められます。
3)過重労働になる可能性
実際の労働時間に関わらず、一定の時間働いたことと見なすので、いくら働いても賃金は変わりません.そのため、これまで民間では過重労働が問題となってきていました。また、裁量の範囲が狭い授業や会議が多くなると、裁量労働制の本来の適応範囲である研究時間が少なくなってしまうか、研究を進めるためには過重労働を余儀なくされる可能性もあります。
労働災害に対する保証が急務
教育研究上の都合から、現状では勤務時間として認められていないPM5:15以降、深夜、土日祝祭日(裁量労働制でも勤務時間とはならない)に教育研究の業務をやらざるを得ない状況があります。しかし勤務時間外での業務中に事故などの災害にあった場合、労働災害と認められ可能性もあります。したがって安心して教育研究を進めるためには勤務時間外であっても業務中の災害は労災として扱うことが必要です。(実際に組合との申し合わせ事項として、正規の勤務時間内でなくとも、業務中での事故は労災として取り扱うこととなっている大学もあります。)
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労働時間制に関する講演会
「国立大学法人化と教員の労働時間制度」
講演者:深谷信夫教授(茨城大学人文学部社会科学科)
労働法学者
日 時:1月31日(月曜日)17:30−20:00
会 場:理学部114
主 催:教授職員会
講演会資料は教授職員会ホームページにあります。
(http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~kyoshoku/)
講演会終了後、懇親会(中央生協2階)を予定しています。
講演会へ参加されて、この機会に大学教員における労働時間制の問題を考えてみましょう。
参考資料
全大教関東甲信越主催「第7回集中学習検討会『法人化でどうなった?緊急学習会』」講演資料 http://park16.wakwak.com/~ibakyo/resime.htm
下記、すべてPDFファイルでご覧になれます。
○学習会の感想と内容 ○労働法の仕組(労働法制) ○就業規則論(就業規則本則,有期雇用職員就業規則,パートタイム職員就業規則,就業規則の検討課題,労働組合の基本要求書,就業規則の不利益変更) ○教員任期制 ○教員と職員の労働時間制度 ○人事制度 ○均等法支援法。
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