琉球大学教授職員会ニュース 第98号

20042月18日 琉球大学教授職員会

内線 2023 E-mail kyoshoku@eve.u-ryukyu.ac.jp

 

!!! 法人化まで、あと一ヶ月余 !!!

 法人化まであと一ヶ月余となりました。4月1日までに、琉球大学当局は、使用者として、就業規則を作成し、労働者の過半数代表者から意見聴取を行い、引き続いて労使協定を労働者の過半数代表者と締結しなくてはなりません。この移行作業が無事終えることができなければ、違法状態となります。実は、この就業規則の作成と労使協定の締結をするだけでは、大学として機能しません。法人大学としての組織・運営を定義する必要があります。現在、法人法に規定された組織・運営については案が公開されていますが(公式ホームページwww.u-ryukyu.ac.jpの事務局サイト参照)、法人化法に書かれていない各学部の組織・運営については、当面現行を準用して法人化後に整備することにしているようです。はたしてそれで教育研究活動を十分に進めることができるのか心配です。学部レベルの組織・運営の再定義のためには、当然、学則の改訂・整備が必要になりますが、その作業は全く進んでいないようです。ここで強調したいことは、各学部の教授会が教育と研究の主体者としての役割を果たしていく、その姿を改めて描き出す必要があるということです。教授職員会執行部では、専門委員とともに学習会を重ね、労働者側の当事者として就業規則の作成作業に協力するなど、法人化後を見通して活動してきました。いま、法人化後の各学部の組織運営を再定義する作業を控え、討議資料「国立大学法人琉球大学の組織運営に関する試論」を公開・配布することにしました。

 国立大学の法人化法によって外堀は埋められましたが、同時に付帯決議によって大学の意義が再確認されました。しかし、法人化によって大学がどう大学でなくなるのかという現実も現れ始めました。国立大学予算の縮減は序の口で、現在進められている都立大や横浜市立大の大学改革が中期目標の評価後に地方の「国立」大学で行われることが可能になっているということです。したがって琉球大学でも。だから、いま、各学部の組織・運営をどう再構築するのかが問題なのです。そして、今後、教授会が果たす役割は益々大きくなる(べき)と言えましょう。

 

 

★★★ 教授職員会主催退官パーティへのご案内 ★★★

 

日時:  2004 3 5日     1800 2030

 場所:  大学会館 三階大ホール

 会費:  ○ 会員 3,000円  ○ 非会員 4,000

      ○ 記念品代のみ 1,000

       ※ 会費は当日会場にて申し受けます。

 

退 官 さ れ る 教 官 の 皆 様

芳沢毅先生(法文),石川友紀先生(法文),仲地弘善先生(法文),内間直仁先生(教育),

小柳元彦先生(教育),眞榮城守定先生(教育),水野益継先生(教育),島袋善光先生(教育)

城間幹夫先生(教育),加藤祐三先生(理学),又吉清太郎先生(理学),上原興世先生(理学)

石津宏先生(医学),河野伸造先生(医学),幸喜善福先生(農学),宮城調勝先生(農学)

平田永二先生(農学),藤盛健先生(熱帯セ)

 


 

国立大学法人琉球大学の組織運営に関する試論

 

 *注:本稿の原案は、2004年1月28日から2月9日にかけてとりまとめられた。その後、すでに2月5日には、「法人化後の運営組織等について(案)の検討方について(依頼)」と題する文書が、琉球大学将来構想委員会委員長名で各部局長等宛に送付されていることがわかった。そこでは、法人化後の運営組織に関する将来構想委員会案が、別添として示されている。今後、この将来構想委員会案をもとに各学部等で議論がなされていくことになろう。すでに教授会で同案に関する議論が行われた学部もある。

 本来であれば、この将来構想委員会案を踏まえて本稿もあらたに書き直すべきである。とくに、「T.」の学内情勢に関する記述はバージョンアップが必要である。しかし、現在の情勢においては、国立大学法人琉球大学の組織運営に関する教授職員会執行部の基本的な見解を、早急に公表することに意義があると判断した。そこで、原案の文章に基本的には手を加えずにここに掲載することにした。各関係者の理解を願うしだいである。将来構想委員会案の検討結果は、後日あらためて公表することにしたい。

 

T.はじめに

 2004年4月1日から、各国立大学は国立大学法人として新しいスタートを切ることになる。しかし、「制度の確定に必要なルールの実質的な決定が遅れ、時間面でのリソースが絶望的にひっ迫している」(佐々木毅・東京大学総長「秒読み・国立大学法人化の課題(1)」日本経済新聞2004年1月10日)というのが、いずれの大学においても実情であろう。本学もその例外ではない。それどころか、他大学と比べると、国立大学法人化に対応した新しい制度作りが大幅に遅れているといっても過言ではない。

 人事制度を形作る就業規則については、他大学では一昨年末頃から具体的な案が検討されている例も少なくない。本学では、琉球大学将来構想委員会の組織運営・財務会計部会(いわゆる第4部会)に、人事制度WGが設けられている。この人事制度WGから委任を受けた事務局総務部人事課により、ようやく昨年10月30日に至って就業規則案が公表された。これに対しては、教授職員会はすでに昨年12月12日に第1次意見をとりまとめて、人事制度WG座長にそれを提出した。第1次意見でとりあげられなかった規則類についても、その後続けて意見を提出した。今年になって1月19日に人事課のほうから就業規則案の第2稿が公表され、就業規則をめぐる議論は遅ればせながら第2ラウンドに入ったことになる。

 これよりもさらに作業が難航しているのが、組織運営に関する制度作りであろう。琉球大学将来構想委員会の組織運営・財務会計部会には、人事制度WGとともに組織運営WGが設けられている。この組織運営WGと事務局総務部総務課で、組織運営に関する制度案作りが現在進められていると聞く。しかし、その具体的構想はいまだ明らかとされていない。このままでは、多くの教職員にとっては実質的な議論の余地がほとんど与えられないまま、国立大学法人としての本学の発展を支える重要な制度が、制定され実行されてしまう恐れさえ否定できないであろう。

 そこで、教授職員会執行部としては、われわれの考える新しい運営体制のヴィジョンを公表することで、現在の議論状況に一石を投じることにしたい(V.)。そのまえに、このような議論を行ううえでの基本的な前提条件を整理しておきたい(U.)。

 

U.制度的与件とトレンド

1.制度的与件

 国立大学法人のもとでの新しい組織運営体制を構想するうえで、制度的与件となるものが2種類存在する。1つはあらゆる国立大学法人に共通する制度的与件であり、国立大学法人法や学校教育法などこれに該当する。これに関連して、あらためて付言するまでもないことであるが、国立大学法人法の制定にともない、これまで国立大学の組織運営体制に枠組みを与えていた国立大学設置法は廃止され、教育公務員特例法は公務員ではない国立大学法人の教員には適用されないこととなった。

 もう1つの制度的与件は本学に特有なものであり、「琉球大学規則集」に収録されている各規則がこれにあたる。これらの規則のうえにこれまで積み重ねられてきた慣行も、本学に特有な制度的与件に含めて考えることができる。たしかに、国立大学法人への移行にともない失効する部分もあるが、少なくとも基本的な視点・アイディアについては、学ぶべきところが多々存在すると考える。

 これらの制度的与件を使いながら、国立大学法人琉球大学における新しい制度をどのように構想するかが、現在問われていることになる。その際に準拠すべき価値規範としては、憲法・教育基本法を最重要視すべきである。現行憲法のもとでの大学改革であるかぎり、憲法・教育基本法に示された精神・内容を、新しい制度を通じてどのように創造的に発展させることができるかが、それぞれの見地・立場から行われる主張・構想に共通の土俵とされなければならないだろう。

 

2.トレンド−−3つのベクトル

 国立大学法人法を踏まえての制度構想には、3つの潮流が現在存在する。第1は、今回の国立大学法人化という論点を、政治の場に浮上させた行財政改革という潮流である。この潮流は、最近でも、国立大学法人への運営費交付金を削減する試みとして現れた(一般管理費の3%と教育研究費の1%の削減、附属病院収入の2%の増収を毎年義務づけ、それらの分を運営費交付金から削減するという案が、財務相と文科省から昨年12月に提示されていた。しかし、学長指名の「返上をも念頭に置きつつ、重大な決意」をもってこの問題に取り組むとした国大協などからの批判を受けて、今年1月末になって、一般管理費と教育研究費を毎年1%削減する一方で、最低限必要な専任教員の給与費を削減対象外とすることにひとまず落ち着いたと報道されている。)。このような潮流の最終的な到着地は、国立大学法人の民営化であろう。

 第2の潮流は、第1の潮流を前提として踏まえながら、これまでの大学運営の諸原則との妥協をいくつかの点で図ろうとするものである。「大学の機能強化」と「大学の自律性」を強調する「新しい「国立大学法人」像について」(国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議・2002年3月26日。以下、「最終報告書」という。)は、このような潮流の現時点における帰結である。ただし、最終報告書が掲げる「大学の機能強化」は「国際競争力ある教育研究の展開」のためであり、文教政策ではなく産業政策の観点から根拠づけられていること、このような立脚点から学長のリーダーシップが強調されるとともに、大学内における構成員自治が後退させられていること、このため、最終報告書が堅持しようとする「大学の自律性」とは、国等に対する大学の団体自治を含意するだけで、大学内における構成員自治を排除していることなどには十分な留意が必要である。

 第3の潮流は、これまでの大学運営の諸原則を維持・発展させようとするものである。国立大学法人法制定の際に国会により表明された附帯決議は、その具体例であろう。とりわけ、たとえば参議院附帯決議(同7月8日)が、第1項で「国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的・自律的な運営の確保に努めること。」を強調するとともに、第2項で「国立大学法人の運営に当たっては、学長、役員会、経営協議会、教育研究評議会等がそれぞれの役割・機能を十分に果たすとともに、全学的な検討事項については、各組織を踏まえた合意形成に努めること。また、教授会の役割の重要性に十分配慮すること。」を明言している点が、国立大学法人の組織運営の一般原則にかかわるものとして重要である。

 

 

 3.小括と課題

 ここでまず確認しておくべきなのは、組織運営に関するさきほどの一般的な制度的与件は、これら3つの潮流を受けいれることができると解される点である。とりわけ、国立大学法人法はこれら3つの潮流の妥協のうえに成り立ったものであり、同法制定過程における論争はこれからはその運用をめぐる議論という形で継続していくことになろう。

 それでは、組織運営に関する制度構想において、われわれが棹さすべき潮流あるいは目指すべき方向性はどのようなものであるべきか。ここでは、さきほどの第3の潮流を踏まえて、構成員の自由と参加と責任を基本的な理念とすべきであると考える。このことは、高等教育改革に関して、ユネスコが近年公表している種々の文書によっても正当化される(東京高等教育研究所・日本科学者会議編「大学改革論の国際的展開−−ユネスコ高等教育勧告宣言集」(青木書店・2002年)参照)。これらの文書に表れた基本的な考え方は、高等教育改革におけるフレキシビリティとセキュリティとの組み合わせであろう。社会や科学の変化は、それに能動的に対応する新しい大学のあり方("pro-active university"といったキーワードで語られる大学像)を求めている。そのうえで、個々人がその能力を最大限に発揮しながらこの課題を効果的に達成していくために、大学構成員の権利保障とそれにともなう公的責任が重要視されている。日本でも前者の課題については同様のことが指摘されるが、後者の方策についてはむしろ逆方向の主張が喧伝されることが多いのではないかと考えるだけに、ユネスコの各種文書にみられる国際的な潮流は十分に考慮されるべきであろう。

 このような観点から、国立大学法人琉球大学の組織運営に関する制度構想案を以下に記していきたい。

 

V.制度構想案

1.基本的視点

 国立大学法人に関する一般的な制度的与件としては、国立大学法人法と学校教育法とが代表的なものである。1947年に制定された学校教育法は、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」(52条)と定める。このような大学の目的規定を前提に、「大学には、学部を置くことを常例とする。」(53条)「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」(59条)とするなど、大学におけるこれまでのいわば伝統的なシステムを制度化している。これに対して、昨年成立した国立大学法人法は、役員会、経営協議会等の新設により、大学の管理運営に関するいわば新しいシステムを制度化した。

 国立大学法人の組織運営に関する基本的な論点は、この2つのシステムをどのように接合するかにあると考える。その際に重要な観点は、大学における事業は教育研究であり、経営・管理運営はそれをサポートするものである、端的にいえば、教育研究に経営・管理運営は従属するというものになろう。このことは、学校教育法における前述した大学の目的規定から導かれると解される。また、国立大学法人法においても、「この法律は、大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るため、…国立大学法人の組織及び運営…について定めることを目的とする。」(1条)とされる。つまり、国立大学法人法は、国民の要請に応えた教育研究の発展という目的を達成するための手段として制定された。大学の組織運営に関する伝統的なシステムにおいても新しいシステムにおいても、当然のことではあるが、大学の事業である教育研究の発展を中核に据えているといえよう。なお、大学における教育研究が国民の要請に応えるべきものであることは、教育基本法が「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」(10条)と規定することからしても当然であり、むしろ国立大学法人法の具体的な運用においては、この規定内容が十分に踏まえられなければならない。

 このような基本的観点から、組織運営に関する制度設計に関する方向性として3点をあげておきたい。第1は、役員等を全教職員の選挙的コントロールのもとに置くことである。第2は、経営協議会の活動を教育研究評議会の主導のもとに置くことである。第3は、教育研究評議会と教授会との連携を強化することである。それでは、具体的にはどのような制度設計が考えられるであろうか。つぎに簡単に列挙してみたい。

 

2.総論

(1)選挙制度−−管理運営に対するコントロールの強化

A.学長

 @学長選出に対する全教職員による意向投票を創設する。この点は、琉球大学将来構想委員会「琉球大学将来構想シンポジウム資料−−将来構想委員会各部会の検討状況報告」(2002年12月24日。以下、「シンポジウム資料」という。)が、学長選出の有権者を「助手を除いた専任の教員」とするのとは反対方向を志向することになる。

 A学長に対するリコール制度を創設する。この点は、「シンポジウム資料」でも検討課題として列挙されているとおりである。

B.理事

 @学長による理事指名に対する全教職員による信任投票制度を創設する。

 A理事に対するリコール制度を創設する。

C.監事

 監事に対する辞職勧告制度を創設する。

D.学部長等(各種センターの長を含む)

 @教授会の構成員による学部長等選出制度を維持する。

 A教授会等の構成員による学部長等リコール制度を創設する。

 

(2)教育研究評議会−−経営協議会に対する機能強化と教授会によるコントロール

 @各学部から学部長を含む3名の構成員を選出する。これにより、学部から教育研究評議会に選出される委員の現行の数を維持する(国立大学法人法21条2項4号「その他教育研究評議会が定めるところにより学長が指名する者」の具体化)。

 Aさらに、教育研究評議会において、各学部が選挙により選出する委員が過半数を占めるようにする。逆にいえば、学長がその権限にもとづいて選任する委員が半数未満となるようにする。

 B経営協議会との合同委員会を設置する。これは「最終報告書」および「シンポジウム資料」でも挙げられていたことである。この合同委員会の構成員からは学長・理事は除外する。学長・理事を構成員に含む場合には、議決を要する事項について投票権をもたないものとする。

 C合同委員会においては、教育研究評議会と経営協議会は機関として対等であるが、しかし、教育研究にかかわる事項については、教育研究評議会が経営協議会に対して優越的な地位に立つものとする(学校教育法52条、国立大学法人法1条、「V.1.」参照)。

 

(3)部局長会−−教育研究評議会の機能強化の手段

 @学部長リコール制の創設((1)D.A)を条件として部局長会を維持する。

 A教育研究評議会で各学部等の教育研究上の利益代表を効果的に行うための協議機関として、部局長会を位置づける。

 B学長と理事は構成員から除外し、部局長のなかから議長を選出する。

 

 

(4)経営協議会−−経営参加制度の組織化

 @部局長会から互選で選ばれた者(例、部局長会議長)が経営協議会の委員となる制度を創設する(国立大学法人法20条2項2号「学長が指名する…職員」の具体化)。これにより、学長と理事のほかに、部局長会代表が教育研究評議会と経営評議会を束ねる要となる。

 A従業員過半数代表者に選ばれた者が経営協議会委員となる制度を創設する(国立大学法人法20条2項2号「学長が指名する…職員」の具体化)。これにより、経営に対する従業員代表・参加制度を創設することになる。

 

(5)教授会−−学部運営における民主主義の強化

 @学部長選出制の維持・リコール制の創設((1)D.)とともに、学部長の権限と責任を明確化する。

 A教授会の議長を学部長とは別個に置く(国立学校設置法は「教授会に議長を置き、当該教授会を置く組織の長…をもって充てる。」(7条の4第6項)、「議長は、教授会を主催する。」(同7項)と定めていたが、同法は国立大学法人法制定にともない廃止された)。

 

2.個別領域論

 (1)事務組織

 @事務局長を任命の際に学外者である理事(国立大学法人法14条参照)として、文科省とのパイプ役とする。

 A事務局長の補佐役として事務局次長を新設して、その任命にあたっては全職員による選任あるいは信任投票を行う制度を創設する。

 

(2)医学部・附属病院

 @医学部教授会の構成員に助教授・講師・助手を含める。

 A医学部教授会が教授から構成される現状を維持する場合には、助教授・講師・助手からなる医学部教員会議(仮称)を新設して、一定の事項について教授会に対する発議権・拒否権を創設する。

 B付属病院長に対する全病院職員による意向あるいは信任投票とリコール制を創設する。

 

W.おわりに

 国立大学法人法に関する参議院の附帯決議は、第21項で、「法人への移行に際しては、「良好な労働関係」という観点から、関係職員団体等と十分協議が行われるよう配慮すること。」としている。また、「最終報告書」でも、「各大学の構成員が一丸となって大学の発展を図っていくためにも、…各大学及び国立大学全体としての良好な労使関係の構築に向けた取組が不可欠である。」とされていた。このような見地から、教授職員会執行部としては、人事制度のみならず、組織運営体制についても、残されたこの2か月の間に団体交渉・労使協議の機会が十分に保障されることを求めるものである。

 また、国立大学法人の組織運営体制を議論するにあたっては、現行の法的手続に従って議論すべきである。すなわち、教授会での議論を重視すべきであると考える。すでに、今年4月1日以降の体制を先取りして、教授会での議論を軽視してもよいとするかのような主張を耳にすることがある。これは、現行法を無視する点、新しい体制のもとでもいくつかの選択肢が成り立つことを無視して、そのなかの1つの見解を事実上強要する点で、二重の誤りに陥っている。

 これらの理由から、組織運営体制についての議論が、労使自治の観点からも、大学自治の観点からも、本学の全構成員により活発に行われることを、教授職員会執行部としては求めていきたい。この試論がそのための一助となることを望む。