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学生による「私のお勧めの本」

 

2004年() 2003年(13冊) 2002年(4冊) 2001年(40冊) 2000年(47冊) 1999年(35冊)

 


■2004年度後期「人間関係論」受講生のお勧め(20冊)

大人になることのむずかしさおかあさんとあたしItと呼ばれた子ボッコちゃん大学時代にしなければならない50のこと落下する夕方Mister O脳と心の地形図〈2〉シドニィ・シェルダンの小説チョコレート・アンダーグラウンド僕の生きる道山本昌邦備忘録エミリー・ザ・ストレンジ翔彩がイルカを感じた日あきらめない若菜集アメリ星々の舟不良少年の夢解夏

『大人になることのむずかしさ─青年期の問題』(河合隼雄 岩波書店)

変動する現代社会において,「大人になる」ことは,容易なことではない。著者は,カウンセラーとしての豊かな体験をもとに,青年が直面している問題を考え,大人がつきつけられている課題を探ります。
イニシエーション(成人式などの通過儀礼)が実質的になくなった現代で,大人と子どもの境界線は更に薄くなり,大人になることが難しくなった。筆者の心理臨床家としての実践例を踏まえた本書の展開は,興味深かった。(法文学部・3年)

『おかあさんとあたし』(ムラマツエリコ・なかがわみどり 大和書房)

前回の授業で乳児について学びました。この本では3歳くらいの女の子とお母さんの何気ない日常のひとまくが描かれた絵本です。例えば,知らない人が来たときに女の子がお母さんのうしろに隠れたり,お母さんが帰ってくるのをコタツに隠れて待ったり,お母さんの掃除を掃除機に乗ってジャマしたり,ホックのついた靴を自分でやると言ったり……。なつかしく感じる風景がこの本にはあります。写真がたくさんあるアルバムはどこかに出かけた時の思い出だけですが,断片的にお母さんとセットになっていた,なんてことのない日常が詰まったアルバムのような絵本です。(法文学部・3年)

『"It"と呼ばれた子』(デイヴ・ペルザー ソニーマガジンズ)

この本は,幼年期,少年期,完結編と3部作からなっており,テーマは「幼児虐待」です。幸せだったはずの子どもが突然母親に虐待され,名前で呼ばず"It"と呼ばれてしまう主人公。成長するにつれ,主人公は「自分は母親を許せるか」といった心理変化の内容にも変わっていきます。今回の講義での愛着という点からも改めて考え,読み返したい本です。ちなみにこの本は著者自身の体験ノンフィクション小説です。(農学部・1年)

『ボッコちゃん』(星新一 新潮文庫)

 この人が書く作品はショート・ショートと呼ばれ,いくつかの短編小説を一冊にまとめたものです。内容はすごくユーモラスであり,ブラックジョーク的な面もあり,すごく人間の汚さや意地のなさ,醜さなど,心理的な面を作品の中で表現しており,それによって引き起こされてゆく結末が暗いながらも独特の書き回しで星新一ワールドに入り込んでしまいます。眠る前なんかに読んでると,不思議な感じがして,変な夢を見てしまいます。これらの作品集は他にもたくさんあり7〜8ページぐらいの小説なので読みやすいです。ぜひ手にとってみてください。

『大学時代にしなければならない50のこと』(中谷彰宏 PHP文庫 \476)

 こういう類の題名の本はたくさん出回っていますが,この本は決して他の多くの本のような「大学ではこんなふうに勉強しましょう」といった堅苦しいノリではありません。夢を実現する大学生になるか,ただの大学生になるか。大学生にはこの2通りしかいない。大学時代にチャンスをつかみ,夢を実現するにはどうすればいいのか。著者の一風変わった大学時代の体験から,夢を実現する大学生になるためにすべきことを50個提案している。「『コイツはすごい』という人に出会う」「退学になったらしたいことがある」「行方不明になれる場所を持つ」などすごくインパクトのあるものから,一見何の役に立つのかよくわからないものまで,様々である。しかし読んでみると,なるほどこんな視点からの考え方もあるのかと納得させられてしまう。読んだあと,この50個のうち少なくとも一つは実践してみたくなるだろう。学年に関係なく,大学生活をもっと有意義に過ごしたい,なにか刺激がほしい,自分の大学生活について改めて考え直してみたいと思っている人には一読をおすすめします。(法文学部・1年)

『落下する夕方』(江國香織 角川書店)

この人の本は,小説でもエッセイでも読んでいるとまるで詩みたいに感じます。淡々としたトーンも好き。登場人物の一人一人が,平凡なんだけど個性的で,とても愛らしい(といいつつ,たまにとても不思議な人も登場します)。
 「落下する夕方」は,基本的に失恋の話です。梨果という女性が,15ヶ月という長い時間をかけてゆっくりと失恋していく話。と同時に,華子という(とても不思議な)女性の話でもあります。(教育学部・1年)

『Mister O』(ルイストロンダイム 講談社)

この絵本は,Mr.Oががけをどのように渡るかを,1ページずつ記しています。しかし,毎回がけを渡りきることはできません。がけに落ちてしまったり,食べられたり,殺されたり!!と,かわいらしい絵でありながら,結構シビアです。単にMr.Oの話で終わらせないで,人間社会におきかえてみると……。色々な読み方,感じ方があると思うので,ぜひ読んでみてください。(工学部・1年)

『ビジュアル版 脳と意識の地形図―脳と心の地形図〈2〉』(カーター 原書房)

意識は脳の活動の所産なのか? それとも,まったくの幻想なのか? どこから来てどこへ向かうものなのか? 哲学・科学・経験などの諸分野が追い求めてきた意識のイメージを,フルカラーの図版とともに描き出している。今度の授業の実験で,囚人は囚人らしく,看守は看守らしくなっていったのは,意識の変化であもあると思うので,脳と意識の関係をみているのもいいと思う。図版で読みやすくわかりやすいのでオススメです。(法文学部 3年)

シドニィ・シェルダンの小説

 有名なものでは『真夜中は別の顔』など,知られているかも知れません。その他には『陰謀の日』『顔』『女医』『遺産』『天使の自立』『空が落ちる』ほかにもいくつかあります。
 どれもサスペンス物なんですあg,彼の作品は一度読み始めると次が読みたくてしょうがない,止まらなくなってしまいます。犯人が誰なのか,次は何が起こるのか,ドキドキハラハラのスリル満点です!!
 何か一つ,作品を読めば,別の作品も読みたくなると思うので,試してみて下さい。サスペンス嫌いだと……やめた方がいいかも(汗)(法文学部・2年)

『チョコレート・アンダーグラウンド』(アレックス・シアラー 求龍堂)

みんなの選挙への無関心によって与党となった「健全健康党」によって出された法律「チョコレート禁止法」によって国中からチョコレートをはじめとする甘いものがなくなってしまう。そこで,主人公のハントリーとスマッジャーは駄菓子屋のバビおばさんと共にチョコレートを密造し,「地下チョコバー」を始めることにする。
 チョコレート捜査官にチョコレートバーを持っていることがばれた主人公の友達が施設に送られ,洗脳されて帰ってくるなど,楽しい話だけど,ちょっと恐い話です。また,同じ作者の『青空のむこう』もおすすめです。(工学部・2年)

『僕の生きる道』(橋部敦子 角川文庫)

この本は,ドラマにもなっていて結構内容を知っている人もいると思います。高校の教師がある日余命1年と宣告され,残りの人生の生き方を考え,後悔のないように生きようと決めます。それから主人公の性格の変化や周囲の人たちの支えにより主人公は最高の人生を送ることができます。
 この本を読んで自分の過去を振り返ると,まだ少ししか生きていないのにたくさんの時間の無駄遣いをしていたことに気づけます。今,何もすることがなく,時間をもてあましている人はぜひ読んでほしいです。(法文学部・1年)

『山本昌邦備忘録』(山本昌邦 講談社文庫 \629)

 この本は男子サッカーU-23日本代表監督山本昌邦さんが,2002年サッカーワールドカップのときのA代表のコーチをしていたときの話をつづったものです。これを読んでまず思ったことは,テレビ,新聞などが流している情報を鵜呑みにしてはならないことです。それとコーチする人はただサッカーがうまければいいのではなく,サッカーについて,それに関することを勉強していなければならないポジションなんだと思いました。サッカーが好きな方は,少しではあるけど山本さんのフィルターを通したまた違った面から,日本代表をみることができる面白い本です。(教育学部・1年)

『エミリー・ザ・ストレンジ』(コズミック・デブリ(著), 宇多田ヒカル (訳) メディアファクトリー ¥1,050)

 この本を「絵本」とよぶにはあまりにも子ども向きではありません。ちりばめられたニヒルな言葉の断片が何も伝えようとしないエミリーの目から刺さるように伝わってきます。また一回見ただけではわからない文字がたくさん隠れていて,見るたびに楽しめます。あまりにブラックな少女エミリーに絶対に誰もがくぎづけです。何度でもエミリーに会いたくなり,愛に行こうと本を開くたびに拒否されるけど,それでもやっぱり好きにならずにはいられない,そんな素敵な本です。これからの季節,クリスマスプレゼントにもおススメです。(理学部・2年)

『翔彩がイルカを感じた日』(新田 順子 光文社 1,470)

 この本は実際にあったことを書いてある本です。トア君は生まれつき障害を持っていて(自閉症など)なかなか普通の生活を送ることが難しいんです。しかし,パラオのドルフィンパシフィックという場所でイルカと触れ合い,泳いだりすることで少しずつ何かが変化していくのが書いてあります。この本はトア君のお母さんが書いていて,障害児を抱える苦労や少しでも他の人たちに理解してほしいという気持ちが込められています。自分も実際,ドルフィンパシフィックで1ヶ月働いて,イルカが人を治すとまではいえないかもしれないけれど,人に何かを感じさせたり,優しい気持ちにしたりする力があるのではないかと感じました。(理学部・2年)

『あきらめない』(山城紀子 風媒社)

 この本は,琉球大学の卒業生でもある与座健作さんについてかかれた本である。彼は小さい頃に病気で目が見えなくなりながらも,強く前向きに生きていく。彼のために多くの人たちが支援の手をさしのべ,そして彼もハンディを乗り越えるために必死で困難に立ち向かう。そして琉球大学に入学し,その後,英語教師になりたいという夢に向かって5度目の試験でやっと合格する。
 五体満足の私が,この本を読んでいて,何か自分の小ささに気がついた。挑戦しない前から教師という夢をあきらめようとしていた私に,大きな力をこの本はくれた。あきらめないことの大切さ,前に進もうとする心をこの本は教えてくれる。(法文学部・1年)

『若菜集』(島崎藤村 明治30年8月刊)

「初恋」/まだあげ初めし前髪の/林檎のもとに見えしとき/前にさしたる花櫛の/花ある君と思ひけり/
 島崎藤村は,明治から大正,昭和と三世代に渡って活躍した詩人・作家であり,「初恋」は『若菜集』に書かれている"秋の思"の中に収録されています。この詩を学校の教科書で読んだのはたしか中3ぐらいの時です。その時も素敵な詩だなと思って印象深かったのですが,今回おすすめの本を書くにあたって,恋愛関係の本をせっかくだから書こうと思って,まっさきにこの詩が頭に浮かんだ私は,恋愛のドロドロしたところをまだ知らない子どもなんだなあとつくづく思いました。「まだあげ初めし…」から少女は13〜15歳。林檎は「禁断の果実」であることからこの初恋はおそらく「禁断の恋」なのでしょう。また今回初めて『若菜集』を読みましたが,非常にやさしくうつくしい詩が沢山あり感動しました。この詩が好きな人はぜひとも『若菜集』を読んでほしいと思います。(理学部・1年)

『アメリ』(イポリド・ベルナール、リトルモア)

 人によって好き嫌いにハッキリと分かれてしまう作品かもしれませんが、私は個人的に好きです。神経質な両親の元で育ち、空想の中で遊ぶのとこっそり悪戯するのが得意になったアメリ。ある一つの箱を見つけたことからアメリの人生は一変した。人を幸せにすることに喜びを見いだしたアメリ。周りの人を次々に幸せにしていくが、逆に自分の幸せを疎かにしていた。モンマルトルのカフェで働く彼女は、青年ニノに出会って心ときめくが、どうしたらいいか分からず悪戯を仕掛けていく。読んでいると、アメリの不思議な世界に引き込まれてしまうような感じで面白かった。ビデオやDVDもあるので、映像で観てもいいかもです。(教育学部・4年)

『星々の舟』(村山由佳 文芸春秋 ¥1,680)

 一つの家族をテーマにした作品で,家族一人一人の視点を各章で物語っており,そこで一層,一人一人が心の奥底に抱え持つものを描写している。人は知らず知らずのうちに生きていくなかでいろいろなものを抱えて生きていくのだということを感じさせられた。
 本の帯にあった「目覚めてみる夢は,眠りながら見る夢よりも百倍罪深い」という言葉は,そんな人間の奥底の感情を表現していると思った。読み終えたあと,不思議な感覚に包まれる,そんな作品です。ぜひ読んでみてください。(農学部・1年)

『不良少年の夢』(義家弘介 光文社)

 この本は、テレビでも放映されていた、義家弘介という人物が、教師に至り、またそれから自分の夢への挑戦を描くドキュメントです。内容は、不良で、荒れ狂っていた毎日から如何に脱却したか、また人と人との繋がりや出会いなどが、いろんな角度からとてもリアルに書かれています。まさに人間ドラマというに相応しい本です。教師になる夢ということですが、生き方や、挑戦というものがどういうものかを教えてくれるので、それは関係ないと思います。そういった意味で、今日の日本に最も重要な本ではないでしょうか。夢を追いかけている人、壁にぶち当たってる人は是非見てみて下さい。(特に教師になる人は絶対見てね!)(教育学部・1年)

『解夏』(さだまさし 幻冬舎文庫)

 映画にもなり,有名な『解夏』であるが,実は,一冊の本におさめられている4つの小説の中の一つなのである。難病に冒され,やがて両目の視力を失うという運命を背負った主人公の帰郷の物語である。本書の表題作の「解夏」の他に,フィリピンから日本へきたアレーナが日本で家族とふるさとを得る物語「秋桜」,白鹿村というふるさとをなくした純一と敦子が,それぞれの人生を歩み,再びひとときの帰郷を果たすまでを描いた「水底の村」,そして家庭崩壊してしまった家族が,祖父の痴呆を期に,少しずつ家族の絆を取り戻していく家庭を描いた「サクラサク」の4つの小説がある。どれも「過去」を見つめながら「現在」を生きる人々が,必死で「未来」「希望」を模索していく過程を描いた話である。"現実派こうはうまくはいかないよ"と思ってしまう瞬間もあったが,主人公のまわりの人々の暖かさや,主人公の人間味にあふれた生き方が,心に響く一冊である。読んだ後に,「現実」を生きてみようという前向きで,暖かい気持ちになれるので,何だか今モヤモヤして前に進めないでいる,という人にはオススメだと思う。(教育学部・1年)

■2003年度後期「人間関係論」受講生のお勧め(13冊)

13歳のハローワーク太陽に向かって走れ医師としてできることできなかったこと世界の終わりとハードボイルドワンダーランドだからあなたも生きぬいて死の棘遥かなる甲子園ありがとう大五郎ハリーポッターと炎のゴブレット審判そういうふうにできている五体不満足その他(タイトルのみ)

『13歳のハローワーク』(村上龍 幻冬出版)

 内容は,いい学校を出ていい会社に入る,という考えではなく,自分が本当に好きなことに関係した職業を探そうというものである。本というよりも,どちらかというと職業の百科事典のようなものです。13歳とういのは,多くの人にとって,初めて進路について真剣に考え出すころである。その年頃をターゲットにして書かれた本なのだが,私もかなり考えさせられました。「私は本当にこの進路でよかったのか。本当に好きなことをやろうとしているのだろうか」など,私たち大学生にとっては,進路・職業について再確認できる本だと思います。また,今まで知らなかった仕事を発見できます。まだ進路について悩んでいる人は必見です!!
(法文学部・1年)

『太陽に向かって走れ』(マリリン・M・シガール)

 これは,脳性マヒ児を育てた一家の物語で,本当にあった話である。5人兄弟の末っ子として生まれた女の子が,脳に損傷をもっていて,手足を動かす事が十分にできないが,家族の協力のもと,訓練を少しずつ,完全ではないもの,回復していく様子が描かれている。家族の愛を感じる,心あたたまる本です。
(医学部・1年)

『医師としてできることできなかったこと 川の見える病院から』(細谷亮太 講談社 \680 2003年6月)

 この本は,小児がんの治療をライフワークとする医師が,病気の子どもたちや家族との交流,医療の現場を描いたエッセイです。進歩した白血病治療のおかげで完全な治癒(寛解)に至る子どもがいる一方で,まだ治療のほどこしようのない難しい種類の白血病で亡くなっていく子どもたちもいる。その子らのエピソードは私たちに生きることの難しさ,辛さを伝えてくれます。病気を克服していくたくましい子どもたちの姿や,死を受け入れ,愛される両親に見守られながら安らかに眠りにつく子どもたちの姿に胸を打たれ,私は熱い涙が止まりませんでした。皆さんもぜひこの本を読んで,生きていることのすばらしさ,生命の尊さについて考えてみてください。
(医学部・1年)

『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』(上・下)(村上春樹,新潮文庫)

まず最初の一章を読んで次の章に移ったとき,話がすっかり変わってしまったことに驚くだろう。しかし読み進んでいくとその2つの話は密接につながってくることに気づく。まさに"ハードボイルド"な現実で生きる主人公の話と,"世界の終わり"と名づけられた深層心理の中にある世界の話。途中,脳心理学など難しい内容も出てくるが,そこは村上春樹独自のトーン(ボクはこのトーンがとても好き)とユーモアでうまく読ませてくれる。最近驚いていないなぁ〜という人や,でっかい才能に圧倒されたい人,小説なんか興味ないって人にもお勧めの上下巻です。是非冬休みにでも読んでみては。
(農学部・1年・男子)

『だからあなたも生きぬいて』(大平光代,講談社文庫)

この本は,自殺未遂や極道の妻など壮絶な体験をしてきた著者の半生を書いた本です。中学2年生の時,いじめを苦に自殺をはかり,16歳で極道の妻になった著者が,現在の養父と出会い弁護士になるまでの道のりが書かれています。この本を読むと「私ももっと強くならなければ!!」と勇気づけられるとともに,一つの「出会い」が人生を左右することもあるんだなと改めて「出会い」の不思議を感じることができます。ぜひ読んでみてください。
(法文学部・1年・女子)

『死の棘』(島尾 敏雄,新潮文庫)

正直なところ,暗い話ではあります。著者の思い日常を幻想に託して描いています。話は,彼自身の浮気が発覚し,妻が狂っていく所から始まります。内容的には確かにダークですが,情景描写がとてもうまいので,引きこまれます。私は読んだ後,色んな事が思い起こされ,絶句でした。ごってりしたいのならどうぞ。
(医学部・1年・女子)

『Y』(佐藤正午,ハルキ文庫)

 「Y」,それは人生の分岐点。これはある男が愛する女性を救うためにアルファベットのYのような人生を右から左へと移動し江地区と言う不思議な物語です。「もし,あのときああしていれば…」と誰しも過去を振り返ることがあるはずです。もし過去に戻って新しい人生をやり直せるとしたら? 新しい人生は果たして今よりすばらしいものになるのでしょうか? 「今」の生き方を新しい視点から見つめなおすことができる,オススメの一冊です!!
(医学部・1年・女子)

『遥かなる甲子園』(戸部良也 双葉社)

 昭和39〜40年にかけて,沖縄には風疹が大流行した。そのため,風疹障害(耳が聞こえない)児が多く誕生してしまった。そこで,県は彼らのために北城ろう学校をつくり教育を行なった。高校生になったとき,ある三人の生徒が大庭猛義(現中部工教諭)のもとに訪れこういった─「ボクたちは野球がやりたい」。そこから練習道具をそろえ,高野連にも加盟を何度もお願いし,耳が聞こえないハンディを乗り越えるため,たくさんの工夫をこらし,さまざまな支えを得て,公式戦初勝利を目指すため,最後の夏にのぞむ─高校野球ファンの方,そうでない方もぜひお奨めの本です! マンガ本もあるので,それもオススメです!!
(理学部・1年・女子)

『ありがとう大五郎』(大谷淳子 新潮文庫)

 淡路島のモンキーセンターで後足が全くなく,前足はひじから少しついているだけの仮死状態の子ザルが発見された。大五郎を命名された子ザルは著者の家庭に引き取られ,日々を過ごしていく。喜び,悲しみ,嫉妬,ケンカ。人間の家族と一緒に育った大五郎は人間と同じ感情を持っていた。障害を抱えながらも2年4ヶ月を精一杯生きた大五郎の生涯をつづったフォト・ストーリー。障害について,命について考えさせられました。でも,何よりも写真に映った大五郎の純真な瞳が頭から離れません。写真だけでも感動モノです。
(医学部・1年・女子)

『ハリーポッターと炎のゴブレット』(J. K. ローリング,静山社)

 今まで発売されているハリーポッターシリーズ4作の中で一番の長編である。内容が前3作以上に濃く,読み応え十分である。ハリーポッターシリーズに対する私の最初のイメージは,子どもじみた空想本という感じだった。しかし,あるきっかけで手にいれ,読んでみると,かなりの衝撃を受けさせられた。単なる子供だましの本ではなく,夢見る人なら誰でもが吸い込まれてしまうファンタジーの世界がそこには存在した。興味のない人も,ただの暇つぶしだと思って読んでもらいたい。きっと時間がたつのも忘れてしまうぐらい没頭してしまうだろう。琉大図書館にも4作すべておいてあるので,ぜひ借りてください。
(法文学部・1年・女子)

『審判』(カフカ)

 読んで最初に思ったのは「何だこれは?」だった。
 主人公はある日,突然理由もなく裁判にかけられる。しかし自分には疑われるような心当たりはないので,もちろん無罪を主張し,色々と手を尽くすのだが成果は上がらず,結局,自分がなぜ裁判にかけらえっるのかも分からず殺されてしまう。そういったとても不条理な設定の話だ。案外,はみ出し者に対する社会のやり方と通じるところがあるように思う。ありきたりな話に退屈している人は読んでみるのもいいかもしれない。
(農学部・1年・男子)

『そういうふうにできている』(さくらももこ)

 この本は,さくらももこのおめでたエッセイ。摩訶不思議な出来事が,おもしろおかしく書かれている。彼女ワールド全開で,彼女なりの「脳と心と魂の関係」の解釈もあり,とても楽しい本。
(法文学部・1年・女子)

『五体不満足』(乙武洋匡 講談社)

 ご存知,オトタケさんの著作。オトタケさんの今までの人生をつづったエッセイ。五体不満足であるオトタケさんのバスケットをするというような,障害者とはとても思えないような,あまりにも活発な行動や性格にただただ驚かされる。失礼な言い方かもしれないが,障害者でもこのように何でもできるのだから健常者の自分もやれば何でもできるのではないだろうかと,読んでいて元気,あるいは勇気をもらえる作品。現在,何かに悩んでいる人に是非オススメ!!
(法文学部・2年・男子)

その他の本(タイトルのみ)

『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス 早川書房 \760),『つめたいよるに』(江國香織),『蜉蝣』(若合春侑 角川書店),『インストール』(綿矢りさ),『決闘』(赤川次郎),『アリスの見習い物語』(),『リトル・トリー』(フォレスト・カーター めるくまーる \1,800),『悪魔のオロロン』,『レベル7』(宮部みゆき,新潮文庫),『ぼく,がんばる』,『無敵にハンディキャップ─障害者がプロレスラーになった日』,『サヨナライツカ』(辻仁成,世界文化社),『砂の女』(安部公房,新潮文庫),『にんげんだもの』(相田みつを,文化出版局),『童謡の秘密』(祥伝社),『泣きながら笑おう』(中谷彰宏,PHP研究所),『武装島田倉庫』(椎名誠,新潮文庫),『とるにたらないものもの』(江國香織、集英社),『話を聞かない男、地図が読めない女』(アラン・ピーズ+バーバラ・ピーズ),『LOVE & FREE』(高橋歩,サンクチュアリ出版),『死ぬかと思った』,『キスまでの距離』(村山由佳,集英社文庫),『難民支援の現場から』(緒方貞子,集英社新書),『ホワイトアウト』(真保裕一),『きらきらひかる』(江國香織),『地球・気象』(学研),『仮面山荘殺人事件』(東野圭吾),『メッセージ・イン・ア・ボトル』(ニコラス・スパークス,ソニーマガジンズ),『ルー=ガルー 忌避すべき狼』(京極夏彦,徳間書店),『鈴のなる道』(星野富広),『注文の多い料理店』(宮沢賢治),『世界がもし100人の村だったら◆戞ぁDIVE! 1〜4巻』(森絵都,講談社),『3分で右脳が目覚めた』(中谷彰宏,三笠書房),『魚のように』(中脇初枝),『窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子 講談社文庫),『だから,あなたも生きぬいて』(大平光代 講談社),『ハイペリオン(シリーズ)』(ダン・シモンズ),『落下する夕方』(江國香織),『シーラという子』(トリイ・ヘイデン),『古田式』(周防正行,太田出版),『13階段』(高野和明),『種の起源』(ダーウィン),『哀愁の町に霧が降るのだ』(椎名誠),『スウィートデビル』,『医者が末期がん患者になってわかったこと』(岩田隆信,角川文庫),『ある朝 海に』(西村京太郎,光文社文庫),『ある十五歳の少女の死』,『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス),『人間関係の心理学』(早坂泰次郎)

■2002年度後期「人間関係論」受講生のお勧め(冊)

人間関係に強くなる50のヒントあらしのよるに美術の解剖学講義中国古典の名言録

『人間関係に強くなる50のヒント』(中谷彰弘,三笠書房,400円)

 人間関係論という講義に関連してこの本を紹介します。この本は50コの文章と,その説明で成り立っています。人間関係でつまづくことは,誰にでもあること,そのつまづいたときにこそ読んでというか見てほしい一冊です。
[言葉は,クラクションのようなもの。「気をつけろ」にもならば「お先にどうぞ」にもなる。言葉の言い方でクレーム調にもなるし,おだやかな,優しい感じにもなる。あなたの言葉は,クレームを言うためのクラクションですか? それとも,「お先にどうぞ」や「ありがとう」を言うためのクラクションですか?]

『あらしのよるに』(木村裕一,講談社,\1000)

 シリーズもので,全6冊からなります。絵本なので6冊といってもいっきに読めてしまいます。本の題名が全冊とも異なるのですが,お話は続いているので,全冊読まなければ楽しさが半減です。1冊目では,おもしろい,という印象しかないかもしれませんが,話が進むごとにとても奥が深くなっていき,6冊目では,ページをめくるごとに涙があふれてくると思います。笑いと,スリルと,感動を間違いなく味わえます。話題の本なので,読んだ方も多いと思いますが,もっともっといろんな方にも読んでほしい作品です。

『美術の解剖学講義』(森村泰昌)

 共通教育の講義「美術って何?」で紹介された本です。著者は実在あるいは有名な絵画の人物に扮するポートレイトのアーティストで,この本は美術=難解という定説を打ち砕く内容です。童謡「シャボン玉」の解釈を「これは台風の歌である」と考えると,氏の「シャボン玉方程式」なるオールマイティの思考法が導き出されます。「美的な横断歩道の渡り方」や「芸術は食べられる」などは笑えます。しかししっかりと,美術とは何かをわかりやすく説いた本です。森村ワールドが堪能できます。

『中国古典の名言録』(守屋洋 新潮文庫)

 私たちは学生から社会人になる。そのときにある程度心構えも必要ではないかとも思う。中国古典は人間学の宝庫といわれていて,人間学の広いテーマがさまざまな角度からわかりやすく述べられている。この本は中国古典と言っても難しい本かと思われるが,わかりやすく解説されていてとても読みやすい。社会は激しく変化しても,そのそこの部分では変化しない部分があって,私はとてもよい本と思う。皆さんにも,是非読んでもらいたい本です。

■2001年度後期「人間関係論」受講生のお勧め(40冊)

夕方らせん世界がもし100人の村だったらスローワルツの川十七歳教えるということ天空の蜂ロボット21世紀スター・ガールソネット集とべバッタ盲導犬クイールの一生留学最悪のはじまりWho moved my cheese?ショッピングの女王競作・五十円玉二十枚の謎兎の眼ハックルベリー・フィンの冒険「少年A」この子を生んで…沈黙の春白い犬とワルツを平気でうそをつく人たち鏡の中の少女ぼくが医者をやめた理由生きてます、15歳白旗の少女文学少女天使の卵秘密幸運を引きよせるスピリチュアル・ブック医者が患者をだますとき青春放浪落下する夕方ムーンライト・シャドウ研修医だからできること愛を乞うひと二分間の冒険ジャンヌ・ダルクハリー・ポッターと賢者の石金持ち父さん貧乏父さん

『夕方らせん』(銀色夏生 新潮文庫 \438 2001/07)

仕事の休暇を利用して東北のある山奥の一軒宿の温泉に行った主人公は,そこの温泉で出会った見知らぬ男の人に,「ここの近くにある盆地に池があるが,小高い丘からその池を見下ろす場所に立つと,年に2回,つきがまるでそこの池へすいこまれるかのように落ちていくのが見える」と話を持ち出された。主人公は疑い半分でその池へ行って,実際に月が落ちるかどうか確かめに出かけた。この本は16の物語から構成されているが,今の内容は16の物語の一つである。一つ一つの物語が新鮮で心暖まるストーリーである。
(法文学部・1年・女子)

『世界がもし100人の村だったら』(ダグラス・スミス マガジンハウス \838 2001/12)

最近出版されたばかりの新しい本であるが,書店では人気ランキング一位だったりする一冊。全世界の人々の状況を,100人の村にたとえた本である。他国ではこんな人々がこんなにいるのか,こんな生活をしている人々がこんなにいるのか,と驚くことがたくさんある。絵本のような絵が所々にあり,一ページに大きな文字で五行ぐらいずつ書かれてあるので,15分あれば気軽に十分読めるようなものであるが,読む価値は絶対にあると思う。私も,人に薦められて読んだ。世界の人口などのデータをもとにしてパーセンテージの比率で書かれてあり,正確なデータではないそうだが,それでも今の自分を考えさせらえっる。今,自分がどんなに豊かで幸せなのかを十分に実感できる,よいきっかけになると思う。
(法文学部・1年・女子)

『スローワルツの川』(ロバート・ジェームズ・ウォラー 文春文庫 \495 1997/09)

『マディソン郡の橋』を書いたロバート・ジェームズ・ウォラーの次作。本書もやはり人生という川の中流で運命的な出会いを経験する男女の物語だが,行動する女の血を受け継いでいるジェリーは,この出会いに残された人生を賭けることを選ぶ。ある意味ではジェリーはフランチェスカ(マディソン郡の橋の登場人物)とは正反対の道を選ぶわけだが,人生の半ばでであった男と女が次第に緩くなっていく流れを一緒に下りはじめるとき,ふたりの間を流れる時間はどんな風に変質していくのだろうか・・・。
 ジミーという登場人物の「わたしたちが結婚しようと決めたのはあの当時は正しい選択だったと思う。しかし,人間は変わるものだ。十一年前,いまとは別人の私たちが選択した生活を,いまのわたしたちがつづけていく意味はない」という言葉の奥深さにとても印象に残りました。恋愛・人生としての考え方を考えさせられる本でした。
(工学部・2年・男子)

『十七歳』(井上路望 ポプラ社・私の生き方文庫 \650 2001/03)

17歳のとき,みんな言葉にできない思いを考えたことがあると思う。それは,社会に対する不満だったり,自分に対する不安だったと思うけど,なんかはっきりしないものだったはず。この本を読むと,共感でき,安心が得られるものだった。発達心理学を学んだのだから,それを考えるような本がいいと思い,紹介します。そして今,また読み直して,あのころがあったから今があることを痛感しました。そんなころの自分を代弁してくれているような本です。
(理学部・1年・男子)

『教えるということ』(林竹二 国土社 \1,600)

この本は,生徒(学生)が林先生(この本の著者)の授業に対してどのように感じているのか,ということに基づいて学校教育がどのようにあるべきなのかということ,また,教えるということが,生徒にどのような影響を与えているのかということを書いてある本です。この本のいいところは,生徒の感想がそのまま載っていて(誤字,脱字も),生徒の考えがそのまま受け入れることができるということころです。自分が,小中学生のころを思い出すのにも良い本だと思います。
(理学部・1年・男子)

『天空の蜂』(東野圭吾 講談社文庫 \838)

 原発をとりまく社会を描いたサスペンス小説。犯人によって奪われた大型ヘリコプターは,爆薬を積んだまま,稼動中の原子炉の真上でホバリングしている。犯人の要求は,全国の原発を停止させること。
 講義でJCOの事故が取り上げられていたので,原発に関する本を紹介することにした。この本を読んで,原発について,自分は第三者の立場から"傍観"しているだけだったことに気づいた。それまでは,自分とはあまり関係のないことだという思いが心のどこかにあったのだと思う。そして,このことは,私が本土にいたとき,沖縄の米軍基地の問題に無関心だったことに似ているように感じた。
(理学部・1年・男子)

『ロボット21世紀』(瀬名秀明 文春新書 \860 2001/07)

 最近AIBOをはじめ,HONDAやSONYなどの二足歩行ロボットが話題を呼んでいます。しかし,ここまでニュースとして大きく取り上げられたのは日本が中心であり,ヨーロッパやアメリカではあまり受け入れられてないらしいです。確かにロボットを開発したメーカーは,日本の企業がほとんどです。
 これらの理由を探し求めて,さまざまな国や世界的な学会,企業を取材したのは,『パラサイト・イヴ』などの作品で有名な著者,瀬名秀明です。ロボットの発展には,その国の文化やそこで生まれた意外なものが深く関係していたのです。
 この一冊を読むだけで,なぜ今ロボットが注目されているのか,二足歩行のどこがすごいのかなど,現在のロボット技術の現状がすべてわかります。それに関する知識もほとんど要りませんし,一般的な書物としてとても読みやすく書かれているのでおすすめです。
(工学部・3年・男子)

『スター・ガール』(ジェリ・スピネリ 理論社 \1,380 2001/04)

この本の主人公は,自分のことを"スターガール"と名乗り,あらゆる独特のある行動を起こしてゆく。とても不思議な女の子の話である。毎日,人目を引くような格好で登校し,ランチタイムにはウクレレ片手に歌を歌う。風変わりなチアガール,ペットのネズミをひきつれて町中をかけめぐる。そんな彼女に対する周りの人たちの反応はさまざまだ。彼女に救われる者,彼女に楽しみや希望を与えられる者,逆に彼女の存在をうとましく思う者,彼女を無視する者もいる。この話の中には,今回の講義で取り上げていた"傍観"が描かれている。そんな中で自分を見失わずに強く生きるスターガールの姿にはなんだか胸が熱くなってしまった。ハイ・スクールを舞台にした物語なので読みやすい一冊です。
(教育学部・1年・女子)

『ソネット集』(ウィリアム・シェイクスピア 岩波文庫 \600 1986/11)

イギリス文学上,最高のソネット(14行詩)文学と評されるソネット集です。1番から154番までありますが,大きく分けて二部に分かれ,一部は美貌の青年へ,二部は黒い女と呼ばれる女性のことをうたっています。自分がひきつけられたのは,シェイクスピアの自分の愛がどんなに強く,どんなにひたむきで,どんなに不変なものであるかということを,言葉をつくしてうたっているところです。ある人が「自分の好きな詩集を持つことは宝である。」といっていましたが,自分も宝をもっていると感じられるようになりたいと思ってます。
(理学部・1年・男子)

『とべバッタ』(田島征三 偕成社 \1,400 1988/07)

ジャンルは絵本です。内容も単純といえば単純です。でも,一見「なぐりがき?」と思うようなタイトルや,絵本のわりには全体的に微妙なくらい色を用いているところ,文やストーリーの進み方が,すべてうまくまざりあって,かなり心に残る本です。インパクトはかなりあると思います。1匹のバッタがいろんな敵をけちらしてとぶっ!ていうストーリーなんですが,どの部分も,人生にあてはまりそうな感じなので,とてもタメになると思います。絵本の癖に大っきい(大きさとかじゃなくて)です!! 私が小学校低学年くらいのときにはじめて読んだぐらい古い本なので,手に入れにくいかもしれないですが,軽い気持ちでぜひ読んでみて下さい!
(教育学部・1年・女子)

『盲導犬クイールの一生』(秋元良平 文藝春秋 \1,429 2001/04)

 黒いシミのような模様をつけて生まれてきたラブラドールのクイール。ブチは生まれてこないはずのラブラドールなのに・・・。そんなクイールが,パピーウォーカーのもとで育ち,盲導犬としてのトレーニングを受け,一人のパートナーと出会い,息をひきとるまでのお話です。
 中途失明者のパートナーに人間らしい歩き方を思い出させたクイール。おっとりだけどしっかりしたクイールの人生に,私もがんばろうという元気をもらいました。
(理学部・1年・女子)

『留学』(遠藤周作 新潮文庫 \476 1996/10)

 これはカトリックの洗礼を受けた作家で有名な遠藤周作の小説で,三部構成になっている。主題の通り,一章から三章まで日本からヨーロッパ(フランス)に留学した留学生の物語である。
 一,二章は宗教関連の話で,忠誠なカトリック教徒ではない日本人留学生が,意に反して信仰を見せかけることで,純粋なカトリック教徒との生活に調和することができずに苦しむ姿が見られる。
 三章は文学関係で,あるフランス作家の研究を続ける日本人が,フランス文化,芸術と日本のそれらが絶対的に異なっていることを察知し,さらにはその迫りくるほどのすごさに圧倒され,最終的には留学生活を断念してしまう。
 三部構成とはなっているが,どれも留学生活を満足させることができず,逆に文化や宗教,あるいは思考の違いに挫折していく日本人の哀れな姿が描かれている。そのような面で,決して明るい内容の本ではないが,国が違えば,やはりその中身も違うことを痛感させられたような気がする。そして,異国に渡るということは,お互いの異なる部分を認識しなければならないことを教えられた。この本を読むことで,少しでもヨーロッパと文化の違いを知る手がかりになるかもしれない。
(法文学部・1年・男子)

『最悪のはじまり』(レモニー・スニケット 草思社 \1,300 2001/07)

 この本の中で起こる出来事はタイトルにあるようにはじめから最後まで最悪でした。しかし登場する3人兄弟の主人公たちは,みなたくましくて,最悪にもかかわらず,暗くないのです。古本屋で見つけたときはタイトルを気に入り,そうとう暗いのを期待していたのですが,うまく返されたと思いました。最悪な出来事も,ようはとらえ方次第なのです。最悪でも笑えるセンスを持って痛いと思いました。
 まずいものを食べたくなる,くさいものをかぎたくなる人間なら読みたくなる一冊です。
(法文学部・1年・女子)

『Who moved my cheese?』(Spencer Johnson, M. D. 扶桑社 \1000)

この作品は,3つの章に分かれていて,一つめは高校時代仲のよかった同級生達が久しぶりに集ったところからはじまります。そのなかの一人,Michaelがおもしろい話があると『Who moved my cheese?』の話をはじめようとします。その話が二つめに書かれてあり,三つめには,この話を聞いた後の友人達がこれについて話し合っているところがかかれてあります。この2章には,2匹のねずみと2人の小人がチーズを探しに行く話が書かれています。そのチーズの探し方はそれぞれだが,みんな幸せになりたい気持ちは同じでした。そして最後に,その幸せを手に入れるのは・・・。
 この話を読んで必ず,この4つのcharacterのうちの一つのように生きたいと思うはずです。これは誰が読んでも同じように思えるはずといったところがこの本のおもしろいところだと思います。また読むたびに,その時考えさせられることが違い,何度でも読める,読みたい気持ちにさせられるのが,この本のすごいところです。最初は1章から3章まで通して読むのがいいですが,2度目からは2章のところだけでも十分だと思います。話も短く,英悟も簡単なので,ぜひ一度読んでもらいたいと思います。また日本語に訳されているのもあるそうなので,英語が苦手な人でも楽しめるはずです。
(理学部・1年・女子)

『ショッピングの女王』(中村うさぎ 文春文庫 \429 2001/09)

 この本の作者がテレビに出演したりもして,知っている人も多いと思うが,作者の買い物にまつわるエッセーである。自分もテレビを見てこの本の存在を知って,こんな無駄遣いをするだらしない人の本の売上に貢献するか!と思っていたが,ある日たまたま手にとってみて,パラパラめくるうちにいつのまにか引き込まれてしまった。
 なんてこの作者はだらしないんだろうと思う反面,自分がこんな買い物をできない分,読んでて楽しかったし,こんな失敗自分はしないとも思えた。そして,この作者の買い物に対しての信念というか誇りをつらぬいていて,すごいと畏怖の念をも抱いた。
 とても読みやすい文章で,一気に読める。それでも本の売上に貢献したくない人は図書館などで読むといいだろう。
(教育学部・1年・女子)

『競作・五十円玉二十枚の謎』(若竹七海ほか 創元推理文庫 \740 2000/11)

 毎週土曜日の決まった時刻に店にあらわれ,五十円玉二十枚を出して千円への両替を頼む人がいる。これは,作家の若竹七海が実際に体験した話である。この五十円玉二十枚の人物の謎を作家や一般公募によって推理した一冊なのだが,果たして,どれが正しい答えかは誰にもわからない。皆さんは,この謎をどう解きますか?
(法文学部・1年・女子)

『兎の眼』(灰谷健次郎 角川文庫 \571 1998/03)

 小学校の新米先生,小谷先生が問題児「鉄三」や智恵おくれの「みなこ」,そして他の子たちとともに成長していく話。
 私の愛読書です。先生になりたいと思っている人必読です。
 何も話さない。何を考えているかもわからない。勉強なんてもってのほかの鉄三。唯一,興味があるのは「ハエ」のこと。小谷先生は,ともに「ハエの研究」をするうえで,鉄三の成長の支援をする。現在行われている「創造的な学習の時間」と同じではないか?!と感心させられる。
 智恵おくれのみなこが学級に入ってきたために,他の子の勉強がはかどらない。それを気にした父母の一部は,小谷先生に苦情をつきつける。しかし,子ども達は,最初はみなこをいやがっていたが,しだいに受け入れていく。そして,自分たちで考えて,みなこのためにいろいろ行動していく。この姿をみた親たちは,自分の子どもの成長に感動する。子どもが大人を変えたこのシーン。子どもの純粋な気持ちが身にしみる。
 この本を読み終えたときの,あのさわやかな,心地よい感じ。それを感じたくて,何度も読まずに入られない一冊です。
(教育学部・1年・女子)

『ハックルベリー・フィンの冒険(上)(下)』 マーク・トウェーン 岩波文庫 \460+\460)

 ハックという白人と,ハックを育ててくれていた,ミス・ワトソンの黒人奴隷ジムが,無人島で再会し,筏で逃亡していくという物語。途中で,王様と公爵と自称する二人の悪党が筏に乗り込み,いんちき芝居やいかさまで金をもうけ,四人で筏の旅を続けていく。黒人奴隷だったジムは,いつしか自由黒人となっていることを知らされるが…。
 これは,ただの筏の冒険の話ではなく,逃亡黒人奴隷を連れて逃げる困難さの,アメリカ奴隷制度を考えさせられる話でした。
(法文学部・1年・女子)

『「少年A」この子を生んで…』(「少年A」の父母 文春文庫 \486 2001/07)

 神戸連続児童殺傷事件の犯人「少年A」の両親が書いた手記です。「少年A」がどのように育てられ成長したか,逮捕前後の少年Aの様子などが詳しく書かれています。なぜ家族は「少年A」の犯行に少しも気づかなかったのか,など多くの人々が疑問に思ったことの答えがこの本にあります。犯罪心理学について少しでも興味がある人は読んでほしい一冊です。
(法文学部・1年・女子)

『沈黙の春』(レイチェル・ルイス・カーソン 新潮文庫 \552)

 化学物質による環境汚染を明らかにした本。アメリカでの,殺虫剤の散布を例に挙げ,自然生物や人体への影響が書いてある。無駄に大量の殺虫剤をまくアメリカ政府は,被害の報告に耳を傾けない。
 私がこの本をすすめるのは,化学物質による汚染の恐ろしさを,知ってほしいからです。化学物質は,時には放射線よりも危険です。現代社会では,その危険な物質が放射線のようには管理されずに,使われています。そしてこの本が書かれた1950年代に比べ,より恐ろしい物質がより多くばらまかれています。その汚染も進み,地球上のたくさんの生物が絶滅の危機にあるからです。
(理学部・1年・男子)

『白い犬とワルツを』(テリ・ケー 新潮文庫 \552 1998/03)

 妻コウラに先立たれた80過ぎのおじいさんサムは,子ども・孫たちとは離れ,世話をかけずに生きようとする。そんな彼の前にある日,汚れ一つない真っ白な犬が現れた。その犬はサム以外の人には決して触れさせもしない不思議な犬だった。その犬と出会って,サムは妻との思い出を振り返る。一人と一匹の生活は続くのだが,はたしてこの白い犬の正体とは…?
 私はこの本を読んで,私自身80代でこんなものの考え方,生き方ができるだろうかと疑問に思いました。そしてこんな人生を送れたらどんなにいいだろうと思いました。とくにクライマックスは見どころです。ぜひ読んでほしい本です。
(教育学部・1年・女子)

『平気でうそをつく人たち』(M.スコット・ペック 草思社 \2,200 1996/12)

 人間の悪について書かれた本で,著者(精神科医)の邪悪な人との診療体験がこと細かに書かれている。著者の考えのところは難しく感じたけど,診療体験の部分は,患者とのやり取り,会話が書かれていてとてもわかりやすくおもしろかった。いろいろ考えさせられる本でした。
(工学部・1年・男子)

『鏡の中の少女』(スティーブン・レベンクロン 集英社文庫 \552 1987/06)

 この本は,ダンサーを目指す15歳の少女が主人公です。少女は,ダンスの先生に認めてもらいたくて,ダイエットを始めたが,次第にダイエットがエスカレートしてしてしまい,ついには拒食症になってしまうという話です。拒食症は,食べることが恐ろしくなってしまう心の病気でもあります。主人公の少女は,親から見ると手のかからない子どもでした。学校の成績もいいし,親の言うこともよく聞くようないい子で,両親の関心は,常に他の兄弟のほうへ向けられていたのです。長い年月をかけて,治療をしていくうちに少女は,本当に自分自身が必要としているものに気づき始めるのです。
 どこにでもあるような,ダイエットを始めるきっかけが,拒食症につながるとは驚きでした。少女のような病気は,見た目を気にし始める思春期に多いそうです。この主人公は「特別な人」ではないので,みんながこの本を読んで少女が体験したことを知ってほしいと思います。
(法文学部・1年・女子)

『ぼくが医者をやめた理由』(永井明 角川文庫 \438 1998/06)

 医者をやめた著者の研修医時代の実体験を元に書かれている。この中で私が一番考えさせれら他のが「肺がんのきよばあさん」のエピソード。自分がガンだとしたら,知らせてほしいと思うけれど,教えられてどうするかはわからない。では,なぜ知らせてほしいのか。今,話題(?)のガン告知や終末医療,そして生や死のことまでいやおうなしに考えせせられてしまう。そんな本です。人間だれしも必ずぶつかる問題を大学生の今,ゆっくり考えてみてはいかがでしょう。
(医学部・1年・男子)

『生きてます、15歳』(井上美由紀 ポプラ社 私の生き方文庫 \650 2001/04 )

 500gで生まれた少女の話です。彼女は視力を失いながらも危機を脱し,パワフルな母親と二人三脚の生活を送っています。現実の生活が生々しく書いてあってびっくりしたり,感動したり,笑いがあり,考えさせられます。とくに彼女の母親が強烈でおもしろいと思います。目が見えない娘が階段から落ちたって頭から血を出してたって甘やかさずほっておくのですから。
 中学生が書いた本なのであっという間に読めます。本が苦手な人でも読みやすいと思うのでオススメです。
(法文学部・1年・女子)

『白旗の少女』(比嘉富子 講談社青い鳥文庫 \580 2000/03)

 当時7歳の著者が沖縄地上戦の中をたった一人で逃げまどう体験を記したノンフィクション。少女の目がとらえた,あまりにも悲惨な沖縄戦の事実が生々しく描かれている。小学生のころ,何十回と読み返したため,10年経った今でもその内容は覚えている。実際の沖縄戦を知らない私だが,沖縄に来て見覚えのある地名を目にするたび,当時想い描いていた参上が頭の中に浮かび,恐怖を覚える。この美しい島の暗い思い出から,私たちは目を背けず受け止め,決して忘れてはならないと思った。
(理学部・1年・女子)

『文学少女』(林真理子 文藝春秋 \1,262 1994/01)

 東北の田舎で母と二人暮しをしている主人公(少女)。昔秀才と呼ばれ小説家を目指していたが,今は古い家で苦労しながら本屋を営んでいる母をあわれに思っている。「文学少女」と呼ばれることにもっとも嫌悪感を感じ,母のような人生は歩むまいと上京した少女だが,あることをきっかけに小説を書くようになり,気がつくとあの母と同じ「文学少女」の道を歩もうとしている。
 物語の中で主人公は17歳の少女から,最後には30過ぎの主婦になる。一人の少女が周りの環境によって,考え方も生き方も変化していく様子がおもしろくもあり,また少し悲しくも感じられた。
(法文学部・1年・女子)

『天使の卵』(村山由佳 集英社文庫 \390 1996/06)

 精神病院患者の父を持つ主人公と,父の入院する病院へ勤める女医の純愛を描いた作品。
 小説自体は,純愛モノとしての完成度が高いです。しかし,この女医さんの自殺した夫も精神病で・・・
 せっかく授業で精神病について学んだのですから,身近な人が精神病だったら,それを考える手助けになるのではと思います。
(法文学部・1年・男子)

『秘密』(東野圭吾 文春文庫 \590 2001/05)

この本はひと言で言うと不思議な話です。杉田平介という男は,妻と娘がいる平凡な会社員でした。しかしある日,バスの事故に妻と娘が巻き込まれます。妻は死んでしまうのですが,娘に戻った意識は妻のものとなってしまいます。妻の姿をした娘を愛していく平介の心の葛藤などが描かれています。他にもいろいろな人間模様が描かれていて,人を愛するというのにはさまざまな形があるということを知ることができる作品です。
(教育学部・1年・女子)

『幸運を引きよせるスピリチュアル・ブック』(江原啓之 三笠書房 王様文庫 \495 2001/04)

この本は,恋愛,仕事,家族,病気や金銭的なことで悩んだり迷ったりしたとき,その解決法と励ましを与えてくれます。私もこの一冊で,何度も救われました。"不思議な力"を味方にするスピリチュアルブック,ぜひ読んでみてください。
(法文学部・1年・女子)

『医者が患者をだますとき』(ロバート・S.メンデルソン 草思社 \1,800 1999/02)

この本は私も友だちに紹介を受けた本で,彼女の話を聞いているだけでウズウズしました。これは,現代医学はある意味宗教だという作者によってかかれており,この本も「人間の錯覚」的なことに突いて述べられている。人を客観的に見てとった作者のするどいつっこみがおもしろいと思います。
(理学部・1年・女子)

『青春放浪』(ドリアン助川 毎日新聞社 \1,143 1998/11)

僕は大学に入ってからも,自分のやりたいことや夢を見つけることができず,日々同じように繰り返していく生活にひとつのあせりを覚えていくことになった。そんなとき,友人からこの本を借りて思ったこと,それは「無駄なことから見えるもの」や「失敗から見えるもの」など,一般的に言われていることをドリアン助川さんは本当にやってみせ,それが僕たちにも「自分はできる」ということを伝えてくれた。本当に勇気が出てくる作品です。有名な本ですが,読んでいない10代,いや,まだ青春していると思う方には読んでもらいたい本です。
(理学部・1年・男子)

『落下する夕方』(江国香織 角川文庫 \533 1999/06)

 主人公梨果は8年一緒に住んでいた彼がいたが,彼は「好きな人ができた」と言って突然家を出て行ってしまった。でも彼の代わりにその「好きな人」が梨果の家にやってきて住み始めた。そんな状況を嫌に感じるどころか,次第にその「好きな人」との日常生活を当たり前のようにとらえていく。彼を愛しきることも憎みきることもできない気持ちが描かれた恋愛小説。その中には温かさやせつなさを感じた。しかし単なる恋愛小説ではない。「こんな恋愛小説があるのか」と感嘆してしまった。なぜか,悲しさをあまり感じなかった。
(工学部・1年・女子)

『ムーンライト・シャドウ』(『キッチン』に収録 吉本ばなな 角川文庫 \400 1998/06)

 この作品は,『キッチン』という小説のうしろに載っている短編小説です。主人公(女)は,恋人を事故で亡くしてから,心にぽっかりとあいた穴を埋めるために,毎朝ジョギングをしている。ある日,ジョギングコースである恋人との思い出の橋で,主人公は不思議な女性と出会う。彼女はこの橋で,100年に一度しかおこらない不思議な体験ができると言い,一緒に体験してみないかと主人公を誘う。
 こんなふうにあらすじを書いたが,この小説の真におもしろいところはストーリーではないと思う(ストーリーももちろんおもしろいが)。この小説でおもしろいのは登場人物たちの心で,胸のつまる悲しさを共有できるところにあると思う。一度読むことで味わえる,自分のものではないけれど,自分のもののような感情を,登場人物たちと一緒に感じられるところが,私はおもしろかった。
(教育学部・1年・女子)

『研修医だからできること』(夏井綾子 リヨン社 \1,456 1993/09)

 "お医者さん"に興味のある人は楽しく読めると思う。変わった症例,病院・研修医の内実を,研修医という,患者さんに一番近い目をもった医師の視点でとらえている。だからといって堅い話ばかりではなく,具体的な筆者のエピソードを基に軽いタッチで書かれているので読みやすい。私はたまたま書店でこの本を手にし,将来について再考させられた。しかし,「とんでもない職業についてしまった」という筆者の充実ぶりやエネルギーが伝わってきて,読後には「私もがんばろう!」と思えた,魅力的な作品である。それはもしかしたら作者の人間的な魅力によるものかもしれない。
(医学部・1年・女子)

『愛を乞うひと』(下田治美 角川文庫 \480 1993/04)

 話は主人公の照恵が父親の遺骨を探すことから始まります。その時点で一児の母親照恵にはとてもつらい過去がありました。それは母親からのせっかん。"愛して欲しい。私は愛されてる? 本当は愛してくれてるんだよね?"という照恵の気持ちがとても痛く,ひどく,いろいろと考えさせられます。"愛されたい"という気持ち,また,"本当に愛されてる?"という疑問。せっかんを受けたことはないけれど,自分も思ったことのあることで,ほんの少し共感できました。この本を読んで,人と比べるものではないけれど,自分は愛されてると感じることもありました。
 最近でもせっかん(虐待)は実際にある話です。だからすごくリアルに感じる話です。楽しく読める本ではありませんが,"愛されること","愛されていること"が,何となくわかるのではと思います。一度,読まれてみてください。
(農学部・1年・女子)

『二分間の冒険』(岡田淳 偕成社文庫 \700 1991/06)

 不思議な黒猫「ダレカ」に出会った主人公の悟は,異世界でゲームをすることに。元の世界に戻るには「この世界で一番確かなもの」の姿をしているダレカをつかまえなければならない。2分という短い時間の間に,老人になるかもしれない世界で,悟はダレカを見つけだせるのか。この世界で一番確かなものとは何なのか。
 私が小学生のときに出会い,本好きになったきっかけの一冊です。児童書なので,本の苦手な方でも,一気に読めると思います。
(法文学部・2年・女子)

『ジャンヌ・ダルク』(? 講談社 ?)

 神の声を聞き,剣を取って祖国フランスの危機を救い,火刑に処せられた少女"ジャンヌ・ダルク"。ジャンヌ・ダルクは,時代を経て潔白が証明され,フランスはもとより多くの人々に奇跡の少女として現代も愛されつづけています。
 この本では,著者が実際にジャンヌ・ダルクゆかりの場所を尋ね,現存する資料などをもとにその短かった生涯の謎に迫ります。
 自分はこれまで,この世に神なんているわけないと思っていましたが,この物語を読んだ後,自分がそうだからといって,他人を否定することは間違っていると考えさせられました。実際,ジャンヌ・ダルクの生涯を知れば知るほど,何も特別な力はない普通の少女のように思えてきます。しかし,歴史に名を残し多くの人々に愛される理由は,彼女の中には間違いなく神が存在していたということです。
 本を読み終えてすぐに,レンタルビデオショップに映画『ジャンヌ・ダルク』を借りに行きました。自分の人生観を変えた人物"ジャンヌ・ダルク",この本は今でも印象に残っています。
(工学部・3年・男子)

『ハリー・ポッターと賢者の石』(J.K.ローリング 静山社 \1,900 1999/12)

 この冬,ワーナー・ブラザーズによって映画化も決定した『ハリー・ポッター』シリーズの第一巻。ハリー・ポッターは両親を事故で失い,伯母さん一家と暮らしていた。いつも従兄にいじめられ,おじさん,おばさんからはやっかい者扱いされながらも11歳の誕生日を迎えようとしたとき,ホグワーツ魔法学校から入学許可証が届く。自分が魔法使いだと知ったハリーは,おじさんの反対を振り切って,キングズ・クロス駅9と3/4番線から虹色の汽車に乗り未知なる世界へ・・・。
 ジャンルとしては児童書だが,子どもはもちろんのこと,大人も楽しめる一冊。ハリーがホグワーツへ行ってからの展開は,自らの想像力を刺激され,衝撃のラストまで一気に読める,というより読むことをやめられなかった。魔法使いならではのスポーツ・クィディッチを考え出した著者の創造(想像)力には脱帽ものである。『ハリー・ポッター』の魅力はとても言葉で表現しきれないので,ぜひ読んで体感することをお勧めする。
(法文学部・2年・女子)

『金持ち父さん貧乏父さん』(ロバート・T.キヨサキ 筑摩書房 \1,600 2000/11)

 私のお勧めの本は『金持ち父さん貧乏父さん』です。お金持ちになるための方法が,とてもわかりやすく書かれています。著者には実の父親である"貧乏父さん"と,お金について教えてくれる"金持ち父さん"の二人の父親がいます。とてもおもしろいのが,高学歴でエリート職についたのが"貧乏父さん"で,ろくに学校にも通わずに大金持ちになったのが"金持ち父さん"だというところです。将来お金持ちになりたいのなら,ぜひ読んでおきたい一冊です。
(法文学部・4年・男子)

 


 

■2000年度後期「人間関係論」受講生のお勧め47冊)

翻訳夜話幻の光沈黙の春8月のメモワールイギリスとアイルランドの昔話ちょー美女と野獣ランゴリアーズ銀河鉄道の夜神様シンドラーズ・リスト女生徒リトル・トリーボッコちゃんフォレスト・ガンプ天使のいる教室わかってるかな?お母さんの算数ノートローズガーデンぼくを探しにカクテル・パーティーあなたが子どもだったころたけしくん,ハイ!大地の子だから,あなたも生きぬいて遺書コインロッカー・ベイビーズライ麦畑でつかまえてイワン・イリッチの死スプートニクの恋人聖書素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち花渡る海言葉のない世界に生きた男きけわだつみのこえ話を聞かない男、地図が読めない女ハッピーバースデーはてしない物語そしてぼくは銃口を向けた鉄道員(ぽっぽや)からだことば精神と物質子どもの心と発達カードミステリーモリー先生との火曜日窓ぎわのトットちゃん自助論孫子を読む赤毛のアン

『翻訳夜話』(村上春樹・柴田元幸 文春新書 \740 2000/10)

 二人の翻訳者,村上春樹と柴田元幸に,学生や若手翻訳者が質問をして,二人で対談していく本。自分は,翻訳のことにあまり興味がなかったのだが,対談ということですらすらとおもしろく読めた。本の最後のほうでは,同じ小説を二人が別々に訳しているのが載っていて,翻訳者が違うと同じ内容でも,読んだときに受ける印象が結構変わるんだと感心した。今まで翻訳なんて外国語が分かっていたら簡単にできるんだと思っていたが,仕事としては難しいなと思った。

(工学部・3年・男子)

『幻の光』(宮本輝 新潮文庫 \362)

 この本には,幻の光のほかに夜桜,こうもり,寝台車が収録されている。ぼやーっとした印象を与えつつも,その中で生とはなにか,死とはなにか,主人公を通して読者に考えさせる作品。私は,そんな読後感をもった。
 ひとは精がのうなると,死にとうなるもんじゃけー祖母が,次に前夫がそれぞれにたように,生への営みをやめて,主人公の前から黄泉の国に旅立った。生と死の狭間をゆれる人の危うさを成熟した女性ゆみ子は読者に表現する。<幻の光>
 他の3作も,もやもやとした印象を私に与えた。どの作品も死という深淵にたたずむ人間のゆらめきというテーマに沿って描かれている。読んで損はない。

(理学部・2年・男子)

『沈黙の春』(レイチェル・ルイス・カーソン 新潮文庫 \552)

 「春がきても,緑が見えない。鳥の鳴き声も聞こえない...」そんな書き出しから始まり,どきっとさせられます。作者は,それは人類が自分達が居心地よく生活するためだけに生み出したさまざまな化学物質のせいだと言います。我々は虫が発生したといっては殺虫剤をふりかけています。それが,やがて大地に染み込み,水を汚染し,水辺や森に生きるすべての植物,動物を殺すのです。そんな悪魔の物質ともいえる化学物質の被害状況を詳しく調査し,述べるとともに,我々に,やがては我々をも巻き込むであろう環境破壊について,おおきく警鐘を鳴らしています。一度読んでみて,自分の周りの化学物質について,考えてみてください。

(理学部・1年・女子)

『8月のメモワール』(デボラ・チール 新潮文庫 \466)

 ベトナム戦争から帰ってきた男は戦争により多少の後遺症があったため,仕事がなかなか見つからなかった。息子はそんな父を少し頼りなく思ったりもしたが,父の本当の強さを見てやはり父親が大好きなのだと確信する。
 この本はとても感動しました。泣ける本です。特に大事件があるわけじゃなくて普通の一家の物語です。父親が子どもに戦うことのむなしさを普段の生活を通して教えていきます。なんでもない部分でのひと言ひと言が僕にはとても感動するところがありました。母親も影からいつも自分の夫を見守っていて,すごくいい奥さんだと思いました。この本でとても印象に残っている言葉は「俺はお前に絶対に戦うなとは言えない。俺は人々に新の平和と幸せを与えるのは愛だけだと思う。愛が存在しないなら,この世に戦う価値のあるものは何もない」と父親が言ったところです。どうか一度読んでみてください。

(法文学部・1年・男子)

『イギリスとアイルランドの昔話』(石井桃子 福音館書店 \1,600 1981/11)

 この本はイギリスとアイルランドの昔話が書かれているもので,私たちの知っている「三匹の子ぶた」や「ジャックと豆の木」も書かれています。しかしその内容は,私たちの知っている内容とはぜんぜん違うもので,私たちが知っているものよりも少し現実味をおびているような気がします。興味がある人はぜひ読んでみてください。

(法文学部・1年・女子)

『ちょー美女と野獣』(野梨原花南 集英社 コバルト文庫 \438 1997/05)

 私は読書が苦手なのですが,妹にすすめられ読んだのが,この本でした。魔法をかけられ,獣にされた王子ジオラルドが,獣好きの美女エメラルドと出会う話である。本嫌いの私が最後まで楽しく読むことができ,読み終わった後はすっきりした気分になった。

(理学部・1年・女子)

『ランゴリアーズ』(スティーヴン・キング 文春文庫 \933)

 この本はホラーの巨匠スティーブン・キングが書いた本です。内容は,飛行機に乗った乗客たちが突然誰もいない世界に行き,そこから脱出するまでを描いたものです。ここまでの説明だと授業(人間関係論)に関係ない感じがしますが,この作品に出てくる悪役のトゥーミーさんがまったくアドルフ(アイヒマン)と同じなのです。あるものにおびえるがために周りの人を殺していく彼の心理。映画化もされていますが,見ないほうがいいです。映画版は内容に欠けます。スティーブン・キングの面白さは文体表現にあります。大体彼の作品はホラーを土台にして,人間心理を描くものがほとんどです。先生もぜひスティーブン・キングを読んでみてはどうでしょう。

(法文学部・1年・男子)

『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治 岩波少年文庫\714,青空文庫など)

 この本は「セロ弾きのゴーシュ」や「雨ニモ負ケズ・・・」などで有名な宮沢賢治の作品で,この本自体もアニメになっていて,多くの人が知っていると思います。私がこの本を読むきっかけとなったのもアニメを見たことでした。
 主人公のジョバンニは偶然,天の川に沿って走る汽車に乗ります。そこには,なぜか友人のカムパネルラも乗っていました。2人はそこでいろんな人に会い,たくさんの不思議な体験をします。いつのまにかカムパネルラがいなくなって気がつくとジョバンニは丘の上で寝ていました。カムパネルラはどこに・・・?
 この本を読むと,自分もジョバンニ達と一緒に汽車に乗って銀河を旅しているような,この汽車はいったいどういう汽車なのか・・・,ステキで楽しいけれど,なんだか悲しい,そんな不思議な気分になり,アニメを見たときとは一味違った世界にのめり込みます。何度読んでも飽きない面白さがあります。

(教育学部・1年・女子)

『神様』(川上弘美 中央公論新社 \1,300 1998/09)

 第9回紫式部文学賞,ドゥマゴ文学賞受賞作品。9つの物語でなる,短編集だ。「神様」というものはよく言われる姿あるものなんかではなく,限りなく近くも遠くもある,目には見えないけど,確かにあるもの,切ない,幸せといった気持ちや,今はもうない星の光のようなものだ,と,この本を読んで,実感した。熊や,河童や,何だかわからない存在にも等しく降り注ぐもの,そういうものたちを「神様」と呼ぶのだ,と,9つの物語が,静かに伝えているような気がした。やさしい気持ちになれる本だ。

(教育学部・1年・女子)

『シンドラーズ・リスト』(トマス・キニーリー 新潮文庫 \895)

 1200人のユダヤ人を救ったドイツ人として有名なシンドラーのことを書いた本で,彼は,自分の経営する工場で,ユダヤ人をやとい,たちまち大富豪になり,最後はすべてお金を使いユダヤ人を救った。彼は,決して正義感などに動かされたのではないように思えた。結果的には,1200人のユダヤ人を救ったが,出世するためにやったことがこのことにつながったのだと思う。この本の中には,シンドラーの知られざる苦悩などがかかれている。

(法文学部・1年・男子)

『女生徒』(太宰治 角川文庫 \441 青空文庫

 私は最近太宰にはまっていて,よみあさっていますが,その中から「女生徒」を紹介したいと思います。この本は作者が女性の視点から日常生活などを描くのですが,それがとても自分と重なり,共感し得る部分がたくさんありました。構成としては短編集となっていて,題名にもなっている「女生徒」は"女性"というものの中身がわかる作品でした。「貨幣」では,貨幣が主人公で,自分がさまざまな人の手に渡っていく様子がリアルに描かれていておもしろく,「おさん」は自分のだんなが他の女の人と死んでしまう話なんですが,そのときの妻の反応が,とても現実的で,共感できて,おもしろかったです。その他の作品もそれぞれ味があるし,読めば読むほど女の私が,主人公の女たちに納得することのできる作品で,全体を通して言うと,文字(文章)がすっと頭に入っていってスラスラ楽しく読める作品だと思います。

(教育学部・1年・女子)

『リトル・トリー』(フォレスト・カーター めるくまーる \1,800 1991/11)

 父母を亡くした5歳の少年リトル・トリー(インディアン・ネーム)は,ネイティブ・アメリカンの祖父母と一緒に暮らすことになり,特におじいちゃんと少年のやりとりが自然を通して描かれている。著者のフォレスト・カーターの回想文でもあるこの作品には,ネイティブ・アメリカンによる人間と自然の接し方と,少年の目から見たさまざまなエピソードがあって,とても心の暖まる一冊です(特におじいちゃん子に推薦!)。

(理学部・1年・男子)

『ボッコちゃん』(星新一 新潮文庫 \476 1971/1993)

 ボッコちゃんはバーのマスターが道楽で作った精巧な美人ロボットである。お客はロボットとは気づかずボッコちゃんは人気が出てくるのだが... わずか6ページの中に凝縮された奇想天外なユーモアと,卓抜なアイデアには誰でも驚異を感じると思う。星さんはショート・ショートという分野を開拓し,1001編を越す作品を生み出したSF作家の第一人者でもある。
 この本には表題作品をはじめ50編を収録している。初期の作品が多く,バラエティに富む。ミステリー的なものもあり,SF的なものもある。ファンタジーもあれば,寓話がかったものもあり,童話めいたものもある。どれを読んでもおもしろいと思う。何度でも好きなところからパッと読み返せるのがうれしい。これは!と思えるものを読んだ後は言葉にできないうれしさがある。

(教育学部・1年・女子)

『フォレスト・ガンプ』(ウィンストン・グルーム 講談社文庫 \752)

 自分がこの本を読んだきっかけは,知ってのとおり映画館で見てからとてもこの映画が好きになりぜひとも本でも読みたいと思い,即本屋へ走って買ったことです。この話はまったくのフィクションだが,IQも低く少年時代足も悪かった少年が,自らの生き方を通し成長してまわりの人間の考え方も変えていくというとっても感動できる作品です。映画では歴史的な場面に出てくるというおもしろさもありぜひ本・映画あわせてみてみてください。

(農学部・1年・男子)

『天使のいる教室』(宮川ひろ 童心社 \1,200 1996/07)

 「水木哲平」は大きな人形。佐藤正子ことサトパン先生のお父さんの手作り人形です。1年生を受けもつことになったサトパン先生には大きな不安がありました。神経芽腫という子どものガンにおかされ,ずっと入院していた女の子,あきこちゃんと,父親をガンで亡くしたばかりの男の子,大介のことです。「水木哲平」も教室で見守り,学校生活がはじまっていきます。
 読み終わるまでに5回も涙してしまうほど感動しました。あきこちゃんを思いやる子ども達の純粋な心は,何ものにも変えがたい大切なものです。久しぶりに素直な気持ちになりたい人にお勧めです。

(教育学部・1年・女子)

『わかってるかな?お母さんの算数ノート』(加藤明 文渓堂 \1,600 1992/10)

 現在は算数・数学嫌いの子が増えている。その原因には1つがわからなくなるとその次もわからなくなるという特徴がある。これを「系統性」というが,この構造自体は変えられないので,教える側が工夫して子どもをつまずかせないようにしなければならない。この本はいわゆる「教え方」を記した本なのだが,子どもに教えるときに私たちがやりがちな間違った教え方を指摘してくれる。算数が嫌いな人や算数を教える機会がある人はぜひ一度読んでみてほしい。算数に対する取り組みや考え方を変えることができるであろう。

(教育学部・1年・女子)

『ローズガーデン』(桐野夏生 講談社 \1,600 2000/06)

 本のタイトルとカバーに惹かれて読んだのだが,何かはわからないけど不思議な魅力があった。内容は野村ミロを主人公にした作品集なのだが,お勧めは3話目の「独りにしないで」である。私立探偵であるミロは男から自分の恋人が本当に自分を愛しているか調査してくれと依頼を受ける。数日後男は刺殺され,ミロは釈然としないものを感じ,調査を開始する。その調査の結末が,恋人が殺したというものであった。しかし,憎くて殺したのではなく,男が未婚と偽っていたことと,自分の愛を疑っていることの悲しさからであり,殺したことで恋人は愛していたことを実感する。現代人の孤独感が伝わってくるような作品集であり,一人でひっそりと読みたい本である。

(法文学部・1年・女子)

『ぼくを探しに』(シェル・シルヴァスタイン 講談社 \1,500 1979/04)

 この絵本は,自分に足りないかけらを探す話なんですが,ぴったりくるかけらを見つけても,なんだかうまくいかなくて,また別のかけらを探しに行くんです。もっとぴったり合う欠片はないかって。でもそれはほんとの努力をしていないんじゃないかって思います。自分もそのかけらに見合うように変わる努力をしなければいけないと思います。でも,逆に,自分にぴったりくるかけらを見つけるまで妥協はしないっていう意味もあると思います。いろいろな解釈の仕方があると思います。自分はまだこの絵本を完全には読みきれていないと思っています。有る意味難しい本です。

(教育学部・1年・男子)

『カクテル・パーティー』(大城立裕 理論社 \1,456 1982/11)

 この本は沖縄で最初に芥川賞を受賞した作品で,沖縄が日本に復帰する前の沖縄の立場がよくわかる本です。娘が米兵に犯されて,この娘の父親の周りにいたアメリカ人,中国人,日本人の関係が表面的で,偽善的だったということがこの事件をきっかけに明らかになっていき,歴史上でのこの3カ国の関係がよくわかる本です。沖縄の人にはぜひ読んでほしいと思います。

(法文学部・1年・女子)

『あなたが子どもだったころ』(河合隼雄 講談社+α文庫 \718)

 この本はインタビュー形式,会話形式で,1991年8月,楡出版から刊行されたものを,文庫収録にあたり,再編集された。河合氏と10人の方との対話が収録されている。その10人は子ども時代は今でいう「問題児」だった。不登校,虚言,盗み,家出,自殺,反抗,孤独,数学の劣等生・・・何でも取りそろえています。(河合氏談) 前書きの中で河合氏はこう記している。「問題児」とは親や教師が解くべきな「問題」を提供してくれている子ども・・・。私はこの本を読みとおして,なぜかうれしく,どこかホッとした。私が問題児だった証拠かもしれない。

(理学部・2年・男子)

『たけしくん、ハイ!』( ビートたけし 新潮社 \552)

 この本は,映画監督で俳優のビートたけしさんが書いたものです。私は,ビートたけしという人に興味があったので,どんな内容なのかな?という気持ちで読み始めました。内容は,子どもの頃の遊びや家族などの様子が,子どもの頃の感性を残しながら綴られているものでした。子どもの頃母親にうそをついた後の何ともいえない感じや,友だちとのセコイ駆け引きなどが独特の表現で書かれています。読んでいると,子どもの頃の淡い感じがよみがえってきたり,共感できるところがあったり,意外と繊細なたけし少年が見られたりと,あきることなく最後まで読めました。読んだ後は,ビートたけしという人に,もっと興味が湧いてくると思います。

(教育学部・1年・女子)

『大地の子(1)(2)(3)(4)』(山崎豊子 文春文庫 \552×4)

 この話は,第二次世界大戦後に中国で,日本人にも中国人にも見捨てられてしまった一人の少年が,文化大革命の真っ只中の中国で力強く生きていく話です。日本名を松本勝男,中国名を陸一心というこの少年は,家族を妹と父親以外みな戦争で亡くし,しかもその二人のことも,生きているか死んでいるか分からないままの状態でした。人売りに売り飛ばされようとされていたところを救ってくれた命の恩人は,その後一心の第2の父親となり一心を心から可愛がりましたが,世の中は日本人である一心には冷たく,一心は望んだ学校にも行けず,ついにはスパイの汚名を着せられ,何年間かも決まらないままに囚人生活を送ることになってしまいました。それでも希望を捨てずに頑張り続ける一心に私は心打たれました。単行本で,4冊も続く話ですが,読んでみるだけの価値はあると思います。

(教育学部・1年・女子)

『だから,あなたも生きぬいて』(大平光代 講談社 \1,400 2000/02)

 私のお勧めの一冊は,もう既に多くの人が読まれたかと思いますが,弁護士,大平光代さんが書かれた『だから,あなたも生きぬいて』という本です。この本は私が今年の3月,東京で開かれた学会に,聴講生として勉強するため,上京したときに買いました。朝,駅の本屋さんで平積みにされているこの本を見て,瞬間的に「この本はおもしろい」と感じ,すぐに買ってしまいました。大学に向かう電車の中で早速ページを開いて読み始めると,もう止まりません。大平さんの壮絶とも言える10代,そして懸命に親孝行しようと司法試験の勉強に向かっている姿,どれもが頭の下がる思いで私の脳裏に飛び込んできました。「元気がたくさん出る本です」とこの本の帯には書かれています。私もこの本で,たくさんの元気を貰いました。窮地に立たされて,出口が見えなくなったとき,この本は多くの人に灯を与え,道を照らしてくれるような本だと私は思います。

(法文学部・3年・男子)

『遺書』(verb サンクチュアリ出版 \1,500 2000/05)

 実際の遺書の掲載,遺族の思い,自殺者の苦悩など。この一冊には5人の自殺者の人生が描かれてある。悲しみの中で自殺した人,そしていじめで・・・。私はいじめによって自殺した人(自分よりも年はずっと下なのに)の本当の苦しみを理解することなどできはしない。けれどいじめがあるこの社会が間違っていることだけは分かっているつもりだ。いじめられた者の苦悩,遺書の文にある悲しさ,学校の非協力的な態度,公開されない真実,悲しみにくれ,怒りに震える遺族。内容は非常に重いといってよいだろう。しかし一度は見るべきだ。自らの命を絶つと決断した人々の「遺書」を。命の重さがきっと分かるはずだ。

(工学部・1年・男子)

『コインロッカー・ベイビーズ(上・下)』(村上龍 講談社文庫 \467+\467)

 この本は今まで読んだ本の中で一番です。おもしろさもあるんですが,2回読んで2回人生のベクトルを変えられました。2回「生きるということ」に泣きました。それぐらい僕には多大な影響力を持つ本です。この本の主人公はキクとハシという2人の青年です。彼らは生まれてすぐコインロッカーに捨てられるという目にあいながらも生き残った二人です。彼らはキリスト教系の施設で育ち,その後養子に迎えられ,ある島で平和に暮らしていました。その後あることがきっかけで二人は東京に来るのですが,ハシは本当の母親を探すために消えてしまい,キクも彼を探すために残ることになる。そして二人ともいろいろな人間との関係の中で目的を捜し求めるようになる。といっても僕達が悩んでいる将来の目的とかではなく,自分の存在そのものを探すような感じなんです。二人はコインロッカーに捨てられたことが心の中に凄く根を張っているのですが,それが東京で目覚めだし,二人を暴走させます。ハシは圧倒的な人気歌手になっていき(その中でまた悩んでいくのですが),キクは東京の人間を猛毒の化学薬品で全滅させようとします。全編を貫く,「刹那さ」や「痛々しい」などという軽い言葉では説明できない二人の心のうねりが滝のように流れ込んできます。それを導く破壊,暴力,そして二人とも傷つき,狂っていき,絶望的な方向に流れていきます。しかし最後は一筋の希望の光が差し込むような終わりです。最後のこの希望を感じる人と感じない人がいるかもしれませんが,僕はものすごく感じました。そして今の自分があると思います。

(理学部・2年・男子)

『ライ麦畑でつかまえて』(ジェローム・デーヴィド・サリンジャー 白水社 \820)

 この作品の主人公ホールデンは,アメリカの高校生である。彼は,くだらない高校生活がいやになり,寮を飛び出し,自宅に帰ろうとする。その道中にいろんな人と出会いや別れを繰り返していく。彼はいつも「孤独だ」と言っている。青年期の授業に出てきたジョン・レノンと重なる部分も多く,また,思春期の心の移り変わりがよく出ていておもしろかった。

(理学部・1年・男子)

『イワン・イリッチの死』(レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ 岩波文庫 \300)

 この本はある先生からすすめられた本の中の一冊です。私はすすめられて読むまでこの本のことはあることも知りませんでした。
 この本はイワン自身が死ぬときまでに,イワンの苦しみや苦悩,また健康である人々への嫉妬など死ぬまでのその人が思ったことを描かれた作品です。最初は,イワンは苦しみから逃れたくて家族に怒ったりするのですが,最後に死の直前になって残された人々(生きていく者)がどんなに苦しいかを知ってゆくのです。また,結末で「死」への表現が変わっていて,死が暗闇ではなく,光を見てこれが死なのかと悟って亡くなっていくのです。いろいろ考えさせられる本です。もし,機会があればぜひ読んでください。

(教育学部・1年・女子)

『スプートニクの恋人』(村上春樹 講談社 \1,600 1999/04)

 これは恋愛小説である。それも女性同士の恋。 「22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった」 この冒頭を読んで私が抱いたのは,幻滅というより,村上春樹はどうなってしまうのだろう,という戸惑いと不安だった。
 愛する人の突然の失踪,謎めいた神秘的な体験,この世から現実感が失われてしまった空虚と孤独,いずれも村上春樹の読者にとって既視感の漂うモチーフばかりだ。手持ちのカードをさらけ出した上で,著者は渾身から自問している。 この作品を覆っているのは息苦しいまでの著者の苦悩である。「自分」とは何か? これからどこへ行くのか? 問いを含む恋愛小説だ。

(農学部・1年・男子)

聖書

 聖書はキリスト教の経典で,信者でもないのに読む必要はないと考えるのが日本での一般的な見方であろう。確かに神について書かれた本ではある。しかしそれだけでなく,家族生活や日常についての助言が含まれているということはあまり知られていない。ここでひとつ,私の好きな句を挙げたいと思う。箴言17:17<真の友はどんな時にも愛しつづけるものであり,苦難のときのために生まれた兄弟である。> 自分が苦境に立ったとき,友人が支えてくれた。その時自分は一人じゃないんだと感じた。他にもいろいろな分野でたくさんの言葉がのせられている。難しくて理解しがたいと思うときもあるが,一生に一度は読むべき本だと思う。

(教育学部・1年・女子)

『素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち』(アーシュラ・K.ル・グイン 講談社 \1,500 1997/06)

 この本は,同筆者の「空飛び猫」シリーズの三作目です。”空飛び猫”というのは,翼を持つ不思議な猫とのことです。翼のある空飛び猫の兄妹五人は,大都会の裏町のごみ捨て場から,空を飛んで,汚れた暴力的な街を脱出し,平和で美しい田舎で暮らしています。
 このシリーズには筆者の強い思いが込められているようです。都会生活や機械文明に対する反発,あるいは嫌悪感。それに対抗する美しい豊かな自然への傾倒。それから傷ついたものや弱いもの,無垢なるものに対する筆者のあたたかいまなざし。シリーズ三作目のこの本は,タイトルにもあるアレキサンダーという猫が登場します。アレキサンダーは裕福な家庭に飼われている元気な子猫です。彼は周りから素晴らしい猫だと言われ,自身満々で,世界を見てやろうと外へと出て行きます。世界は彼が知っていたよりも広く,さまざまなものにおびえ逃げ出します。途方にくれたアレキサンダーを救ったのは,空飛び猫の一人。そしてまた空飛び猫もアレキサンダーによって救われるのです。
 私はこの話から,少年期から青年期への成長を感じました。小さな世界で自分が小さな存在だと知ったアレキサンダー。そして本当の意味で彼は強く素晴らしい猫となっていきます。この本は絵本ですが,大人になって読んでもとてもおもしろいと思います。

(教育学部・1年・女子)

『花渡る海』(吉村昭 中公文庫 \680 1988/08)

 この本は,この夏,親戚から勧められたものです。江戸末期の話で,久蔵という男の水主となり,漂流し,極寒のシベリアに漂着し,死の危険に何度もさらされながらも何とか帰郷する半生を描いたものです。その際,西洋式種痘法を覚えて久蔵は帰郷しますが,結局,当時の役人の理解不足から発痘の花を咲かすことなく終わってしまいます。この本では,今,身近で感じられていないため忘れかけてしまっていた「生きることの難しさ」と「それでも生きていこうとする人間の心理」が感じられます。また,仲間の死や一人取り残される孤独感や絶望,そして喜びなど久蔵の揺れ動く心がさまざまな状況を通して表現されています。自然の厳しさや人の暖かさ,その他にも,この本を通して読むと自分を置き換えることでさらに多くのことを感じることができるはずです。人の心というのは,時代を超えてさまざまな共通点を見出せる幅広いテーマであるように思えました。

(法文学部・1年・男子)

『言葉のない世界に生きた男』(スーザン・シャラー 晶文社 \2,330 1993/06)

 耳が不自由で27歳まで言葉を知らなかったメキシコの青年イルディフォンソ。作者である手話通訳者のスーザンは,コミュニティ・カレッジの新しいキャンパスに通訳で呼ばれた。そのとき聾者クラスでイルディフォンソに出会う。言葉の概念さえ持たないイルディフォンソにスーザンは,何度も自分の伝えたいことを理解してもらおうと工夫した。献身的な努力が実り,ついにイルディフォンソは手話で自分を表現し始める。27年間言葉を知らずに暮らしてきたイルディフォンソの生活,言葉を知らないとはどういうことなのかを考えさせられる興味深い本だった。

(教育学部・1年・女子)

『きけわだつみのこえ』(日本戦没学生記念会 岩波文庫 \800)

 この本は,太平洋戦争の最中に,学徒兵として戦死していった学生たちの家族への手紙,日記などの手記を集めたものである。酷薄な状況の中での出会いや別れ,家族,そして自分の死について考えながら死んでいった学徒兵達。現在の私とほぼ同じ年齢であるはずなのに,この違いはなんだろうと考えさせられる。知性,感性,精神までも,私は当時の彼らに劣っている。時代は変わり,今は知ろうと思えば何でも勉強できるにもかかわらずだ。彼らと比べ,私も含め,現在の学生は,なんとのほほんと生きているのだろうと思わずにいられない。

(法文学部・1年・女子)

『話を聞かない男、地図が読めない女』(アラン・ピーズ+バーバラ・ピーズ 角川書店主婦の友社 \1,600 2000/09)

 この本は男女の脳の構造を生物学的に分析し,普段何気なく起こる男女間の問題がなぜ起こるのか,またどのようにしたらその問題をうまく回避したり,解決したりすることができるのかが,生物系の人間でなくても読みやすく,わかりやすく書かれている。例えば,男は手紙を書きながら電話をするなど一度に2つ以上の行動をすることが非常に苦手である。それに対して女はというと,手紙を書きながら電話をするなど当たり前のように行い,すごい人では,手紙を書きながら電話をし,さらにテレビを見ていたりもする。なぜ同じ人間であるのに男女間ではこのような違いが生まれるのだろうか? それは脳に違いがあるからである。脳は左脳と右脳によってなりたっているが,その左脳と右脳をつないでいる部分で脳梁と呼ばれるところがある。男ではその脳梁が細く,女では男に比べだいぶ太いのである。つまり男の脳においては左脳と右脳のつながりが弱く,一度にいろいろな動作をすることができないのである。逆に女の脳はつながりが強いため一度にいろいろな動作をすることができるのである。
 この本に,上に示したような同じ人間であっても男女間では違いが多いということがいろいろなパターンを用いて書かれている。この本を読むことで少しは異性の人間の見方が変わるかもしれないので,興味のある人は読んでみて下さい。

(理学部・1年・男子)

『ハッピーバースデー』(青木和雄 金の星社 \1,200 1999/09)

 この作品は,読み進めていくうちに,涙が溢れ出る本であった。本を読み始めたら,時間さえあれば一気に読み上げる私が,この作品では,読むのを途中で止めるほどであった。「お前,生まれてこなきゃよかったよな」 そんな言葉を11歳の誕生日に主人公のあすかは,家族から言われる。このひと言から,あすかはショックで声が出なくなってしまう。祖父母からの愛と自然の中で,親の虐待から声を失ったあすかは立ち直る。その後も,いろいろな苦しみがあすかに迫るのだが,その苦しみを乗り越えていくことで,一歩一歩,あすかは強くなっていく。あすかと,兄の直人の,強く生きる姿勢に,「命」というもの,「生きる」ということを強く考えさせられる作品である。

(法文学部・1年・女子)

『はてしない物語(上・下)』(ミハエル・エンデ 岩波少年文庫 \720+\800 2000/05)

 映画「ネバーエンディングストーリー」の原作です。読者が物語の中に実際に入り込んでいくという設定の不思議な本です。いじめられっ子の主人公,セバスチアンが古本屋で一冊の本に出会う。物語の登場人物アトレーユもセバスチアンと同じような年で,二人はネバーランドを救う旅に出ます。二人がさまざまな魔物や敵,なによりも自分と戦いながら物語は進んでいきます。そのさまざまな敵や魔物が人生の何かを象徴しているようで,私はこの本を読んで,自分のあり方をかなり考えさせられました。

(法文学部・2年・男子)

『そしてぼくは銃口を向けた』(飯塚真紀子 草思社 \1,600 2000/10)

 この本を知ったのはある雑誌に紹介されていたのがきっかけでした。アメリカでは学校での銃撃事件が多発し,アメリカだけでなく世界中がこの事実に驚き,恐怖を感じました。この本はその事件の犯人である少年が,この事件について語ったものを編集したものです。
 この本を読んでいくうちに最近日本でキーワードのように使われるようになった「17歳の犯罪」を考えずにはいられなくなりました。世界の先進国では少年犯罪が大きな問題となっています。各国,各事件によってそれぞれ背景は当然異なりますが,共通して何か社会のひずみのようなものがあるような気がします。少年達の周りには親またそれに代わる大人たちのあたたかい愛情,彼らの本当の意味での「家」がないように感じます。
 親の強い愛情,自分をそして他人を大切に思うことを教える教育の大切さを私は今,痛切に感じています。そして,私を大切に思って育ててくれた両親に感謝しています。

(法文学部・1年・女子)

『鉄道員(ぽっぽや)』(浅田次郎 集英社文庫 \476 2000/03)

 ご存知,高倉健主演で大ヒットとなった映画「鉄道員」の原作。幌舞線の廃線が決まり,二十数年間幌舞駅の駅長を勤めてきた乙松も,3月限りで退職することが決まった。本社への再就職が決まった同僚の仙次は,乙松を説得するために,正月1人で幌舞駅を訪ねる。その日,乙松は1人の少女を駅で見かける。見知らぬ少女とのやり取りの中で,乙松は,1人娘が亡くなった日も最愛の妻が亡くなった日も,1人駅で旗を振りつづけていたことを思いだす。そして乙松はこの見知らぬ少女の正体に気づいていく・・・。
 私は、友だちから勧められ,原作を先に読んだが,乙松の生き方,そしてあまりに悲しすぎる結末に感動し,ビデオも借りた。この本を通して,人に流されず,自分を貫き通していく鉄道員の心を感じてほしい。先に映画を見た人にも一度は読んでほしい。また,後ろにかかれている短編小説も,これからの人生を考えさせられるので,お勧めである。

(法文学部・1年・男子)

『からだことば』(立川昭二 早川書房 \1,700 2000/06)

 身体にはいろいろな部位があり,それにまつわる言葉がたくさんあります。筆者は,今の若い人から「からだことば」が急速に消えつつあると言っています。私も確かに「骨が折れる」「手が出る」など聞いたりして,意味は知っているけど,実際は使ったことがない言葉が多くあるなと気づかされました。
 私がこの本に興味を持った理由は,「腹が立つ」はおなかで「頭にくる」は頭で怒る。では,「むかつく」は,体のどこで怒るのか?という見出しにひかれたからです。
 以前は,怒ったとき「腹が立つ」「頭にくる」などという言葉が使われていましたが,私も,今の若い人ほとんどがこの言葉を使っていないと思います。その代わりに今では「むかつく」「キレる」という言葉をよく見聞きします。
 このように「からだことば」が少なくなってきた日本人の体の中は,どのような反応がおこっているのか? 一度読んでみてください。とてもおもしろい角度から見た本だなと思いました。

(教育学部・1年・男子)

『精神と物質』(立花隆・利根川進 文春文庫 \500 1993/10)

 僕がこの本を勧めるのは,この本が僕にサイエンティストになるという夢を与えてくれたからである。この著者の1人,利根川進は1962年にノーベル生理学医学賞を受賞した科学者で,もともと僕自身は生物学に興味を持っていたが,この本を読むのを境にライフ・サイエンスに興味を持ち,サイエンティストになりたいと思うようになった。内容は主に「抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明」と,ちょっと聞くと難しそうだが,この本は1988年8月から1990年1月まで文藝春秋に連載されたもので,専門的な知識がなくても読めるので,生物の神秘に興味のある人はぜひ一度は読んでもらいたい。

(理学部・1年・男子)

『子どもの心と発達』(園原太郎 岩波新書 \534 1979/03)

 この本は今回の講義の内容にもピッタリだと思います。講義の資料にも出てきたピアジェの意見も取り上げ,それに対して疑問を投げかけてあったり,子どもがどんな節目を通って自己を獲得し,社会化していくのか詳しく書かれています。そして子どもの発達と教育のかかわりについてなど,現在の子どもの考え方や大人たちのそれに対する思いなどを知るのにとても役立ちます。一度読んでみると,自分の考えに深みが増す一冊だと思います。

(教育学部・1年・女子)

『カードミステリー』(ヨースタイン・ゴルデル 徳間書店 \1,500 1996/03)

 あの『ソフィーの世界』を書いた著者による本。『ソフィーの世界』の前作である。やはり哲学チックなのではあるが,難しい話はなく,楽しく読める。少年が父親と一緒に母親をむかえにノルウェーからギリシャへ行くたびのとちゅう,こびとからもらった豆本を読みながら進んでいく話。一冊の本で2つの世界が楽しめるお得な本です。人生を考えさせられたり,ファンタジー感を味わったり,ミステリーもありつつで一気に読めることでしょう。

(法文学部・2年・女子)

『モリー先生との火曜日』(ミッチ・アルボム 日本放送出版協会 \1,600 1998/09)

 作者ミッチ・アルボムの大学時代の恩師モリー先生の話。モリーはALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病に冒されていて,もう長くは生きられない。彼は死というものをみにくいものではないとし,人生に求めるものは「精一杯人間らしくすること」。ミッチとモリーのやり取りをみるだけではなくて,自分はどう生きているのだろうか,どう生きていきたいのだろうかと考えることができます。この本のテーマは「人生の意味」です。自分を見つめなおすことができる本だと思います。

(理学部・2年・男子)

『窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子 講談社文庫 \533 1984/04)

 黒柳徹子さんの子供時代を書いた本で,一風変わった小学校に転入したトットちゃんと,おもしろ校長先生やクラスメートとのエピソードや,両親やペットの犬とのやりとりが綴られている。これは児童書なのだが,私は高校生のときに初めて読んで,トットちゃんの奇抜な考え方やその両親の対応などにとてもおもしろいと感動しました。心がほのぼの温まる良い本です。絶対,心の急速に大人も読むと良いと思います。

(理学部・3年・女子)

『自助論』(サミュエル・スマイルズ 三笠書房 \495 1988/03)

 書名の通り私はこの本を「自らを助ける本(論)」と思っている。内容は歴史的人物の人生,考え方,あるいは名言(ことわざ)も多く取り上げながら,”生き方”について述べており,副題は「人生を最高に生き抜く知恵」とされている。これを読むことで自分を見つめなおし,さらに今の生き方や後の人生,また自分のみでなく人間関係や社会との関わりについても考える機会を与えてくれる。悩んでいるときは道を開いてくれる。しかし問題の解決法を与えるのでなく,どうすればより良いかを考えさせる本だと思う。

(法文学部・4年・女子)

『「孫子」を読む』(浅野裕一 講談社現代新書 \660 1993/09)

 絶対に勝ちたい,勝たなくてはならない!!! そう思ったことはないだろうか? そういう状況を体験したことはないだろうか? その時あなたはどうすべきだと考えるだろうか? 「孫子」は言わずと知れた兵書であり,本書はそれを解りやすく解説したものである。「孫子」にあるすべての言葉は勝利のためにある。ただただ勝利をテーマに掘り下げていく。負けなきゃいいや,のご都合主義者の私は戦慄を覚えるほどである。テーマがわかりづらく何を言いたいのかはっきりしないぬるい本にばかり接してきた人がこの本を読んだらショックを受けるかもしれない。
 戦争をいかに勝つかについて書かれた本というと拒絶反応を示す人もいるかもしれないが,そういう人も「孫子」を知るべきである。「孫子」は,戦争を戦闘行為だけに限定してとらえない,それどころか力と力で激突する戦闘行為はおろかであるとさえ言っている。戦争は人民の命と財産の巨大な浪費,勝算の十分な検討,やめ方こそ戦争最大の課題,戦争とは,敵をだますことである,などと書かれており,これが2300年以上も前の古典なのかと驚かずにはいられない。医者が病気を研究するのは病原菌を愛してやまないからではない。健康を実現するためにはどうしても病気について知らなくてはならないのだ。同様に平和について考えるには,戦争についても知らなくてはならない。永きに渡り読み継がれ,戦争の本質を語りつづけてきた本書はきっとその助けとなるはずである。
 また,ガチガチの兵書として接するのではなく,「環境に働きかけて自分に有利な状況をつくりだす方法が書いてある本」といったぐらいのきもちで読んでも楽しいのがこの本の良いところである。 ,

(法文学部・2年・男子)

『赤毛のアン』(ルーシ・モード・モントゴメリ 集英社文庫など \800)

 わたしのお勧めの本は,カナダの女流作家であるルーシー・モード・モントゴメリが書いた『赤毛のアン』です。日本においてこの作品の名はTV「世界名作劇場」シリーズのアニメの影響で知れ渡っていますが,作品の内容自体は児童文学書としてしか認識していない人が多く,とても残念です。
 この物語は,カナダのプリンス・エドワード島を舞台に,孤児のアン・シャーリーがひょんなことからマシュー&マリラ・クスバート兄弟に引き取られるところから始まり,さまざまなハプニングを起こしつつ,周囲の人々に見守られながら少女から大人になっていく成長過程を描いた作品です。いわば,『ハックルベリー・フィンの大冒険』の女の子版ともいえます。邦題ではピンときませんが,アンが「グリンゲーブルスのアン」としてアイデンティティを確立していく過程がガール・パワーを感じさせ,とてもキュートです。私はこの作品を通して自分の,そして現代の若者のアイデンティティに強くひかれ,この授業(心理学関係)に興味を持ちました。このトピックに関連する参考書やエピソードなどがありましたら,教えてください。

(法文学部・4年・女子)

 


 

■1999年度後期「人間関係論」受講生のお勧め35冊)

ピアニシモ今夜、すべてのバーで五体不満足心に夢灯るちょっといい話ぼくは勉強ができない心の絵本空海秘伝ゾマホンのほん24人のビリー・ミリガン涙が乾くまで友情・初恋インザ・ミソスープローレンジャーとトント天国で殴り合う告知私の「こころの日曜日」青い鳥の住む島ドクタークレピーとプリンセスカノコの元気のでる音楽療法ニュースキャスターたちの24時間サンタクロースっているんでしょうか?つるつるの壷ことばの道草しあわせの風景ブラック・ティー吉本ばななの小説いつでも会えるワイルド・スワンムツゴロウの青春記シーラという子ウソとホントの戦争論悪魔の弁護人かぎりなくやさしい花々影絵ソロモンの指輪KYOKOアルジャーノンに花束を


『ピアニシモ』(辻 仁成 集英社)

この本には、孤独な世界に生きる少年の静かな葛藤が描かれている。主人公の小年、透は想像の中でつくりあげた自分の分身「ヒカル」だけを友とし、周囲に心を閉ざし、自分だけの世界で生きていた。仕事人間の父親の自殺にもショックなど受けず、犯罪を犯していく透の姿は、本の中だけの人物ではなく実在するのではないかという気がした。少年少女犯罪の増加の背景には、透のように孤独に追いやられている人たちの影が見え隠れする。ずっと自分の世界に閉じこもっていた透が、伝言ダイヤルで知り合った「サキ」という少女との交流を通し、傷つきながらも他人と触れ合う勇気を得て、孤独から抜け出そうとしていく。この本は、家族関係を含め、今、社会で問題になっていることに改めて関心を抱き、深刻に考えさせられる本である。

(1年・教育学部・女子)

『今夜、すべてのバーで』(中島らも 講談社)

最初にこの本を見つけたときは、何かおしゃれな感じのする、恋愛小説か何かだと思った。だが読んでいくと、アルコールにやられ、アルコール中毒になっていく過程、そしてそれを克服していく?(病院を退院して、バーで牛乳を飲むところまでしか書かれていない)過程が書かれている。この本で、気に入ったくだりがあったので紹介しておく。『「教養」とは学歴のことではなく、「1人で時間をつぶせる技術」のことである』と、書かれていた。どういう状況でこの文が出てきたのかはじっくり考えながら読んでみてください。(平成4年 第13回吉川英治文学新人賞受賞)

(4年・法文学部・男子)

『五体不満足』(乙武洋匡 講談社)

 この『五体不満足』という本は、一度は読んでいただきたい本です。この本の著者「乙武洋匡」さんは、両手両足がなく電動車椅子で走り続けている早大生です。先天性四肢切断という障害を、単なる「身体的特徴」と考え、「自分にしかできないこと」=「心のバリアフリー」に少しでも貢献しようとしています。この本を読むと、本当にやさしい気持ちが湧いてきます。そして、前向きに生きていこうとすごく励まされ、元気づけられます。自分の考え方が変わる一冊です。

(1年・理学部・女子)

『心に夢灯るちょっといい話』(鈴木八洲伸 小学館 \950)

 この本は、日替わりで毎日車内に花を飾っているタクシー運転手である著者と乗客とのやりとりを書いたものです。著者と乗客の「一期一会集」であるとも言えます。普通、タクシーの運転手と乗客との間の会話はほとんどないし、自分から話したいと思うおともほとんどないと思うけど、車内に花があるだけで、みんな心が和み、いろんな話をしてくれるのだそうです。落ち込んだときや人間関係で疲れたときなどに読むと、あたたかい気分になれて、元気がでます。「人間ていいものだな」と感じることのできる本です。

(1年・教育学部・女子)

『ぼくは勉強ができない』(山田詠美 新潮文庫 \400)

主人公の時田秀実は、あまり勉強のできない男子高校生です。しかし母親や年上の恋人、クラスメイトなど、たくさんの素敵な女性の影響を受け、また、進路に悩み、友人関係で悩み、異性のことで悩みながら、素敵な男性へと成長していきます。また彼は、大人の理不尽なやり方をものすごく嫌い、一見、大人になるのを拒んでいるかのようにさえ見えます。そういった青年期の葛藤を私は彼の視点を通して味わうことができました。彼の目を通して、その青春を追体験することをお勧めします。

(1年・理学部・男子)

『心の絵本 ところであなたは…?』(詩・絵/やなせたかし 三心堂出版社 \1000)

「あっアンパンマンをかいた人だ」と思い本屋さんで立ち読みして、そのまま買いました。これは詩集で、詩の全部一番最後の言葉が「ところであなたは…?」と問いかけになっています。この詩は作者が普段何気に思っていることや考えていることをすなおに書いてあります。だから作者は私たちに答えを求めているのだと思います。詩なので簡単に読めますが、こんなふうに問いかけられると、作者はこう思っているが、自分はどう思っているのだろうとちょっと考えてしまいます。この本を読むと、自分をちょっとだけ見つめ直すことができるかもしれません。

(1年・医学部・女子)

『空海秘伝』(寺林 峻 東洋経済新報社)

この本は、空海の幼少期から死ぬまでが描かれている本です。最初私は、題名からミステリーを期待して読んだのですが、内容は空海の成長を書いてあるだけでした。しかし読み進めるうちに、自分の信じようとする道と周囲が自分に期待する道との違いに戸惑い苦悩する場面があり、将来の道を模索している自分に重なってとても共感することができました。また、空海を支えてくれた人たちの言葉も奥が深く考えさせられることが多かったです。

(1年・法文学部・男子)

『ゾマホンのほん』(ゾマホン・ルフィン 河出書房新社)

この本は著者のゾマホン・ルフィンさんが彼の故郷であるベナンに学校を作るための資金集めとして出版された本です。内容は著者が言いたいことをただ書くだけのエッセーなのですが、繰り返し出てくる「人生甘くない」という言葉に何度もドキッとさせられました。この本を読めば、日本の学生である私達がいかに甘えているかがきっとわかるはずです。彼の考えに共感できなくても、そういう考えの人もいるということをぜひ知ってほしいです。またページのはしっこに、ある質問に対する彼の答えが載っているのですが、たまに出てくる彼のユニークな発言は、きっとみなさんを楽しませてくれると思います。−−「ゾマホンさんは銭湯が好きだそうですね?」「こんなに熱い水の中にずっと浸っているのは、私のカラダにとっていいことだよ。」

(1年・教育学部・女子)

『24人のビリー・ミリガン』(ダニエル・キイス 早川書房)

この本は、レイプという重罪を犯したにも関わらず、多重人格という精神障害を理由に無罪(米国初)となった26歳の青年のことが書かれています。読みはじめたときは、この青年のことを「何て奴だ」と思っていたけれども、最後まで読んで、なぜ青年がこのような多重人格になったかを知ると、涙がぽろぽろとこぼれて、無罪になったことをうれしく思ってしまった。世の中には、こんなにかわいそうな人がいるんだ、自分は幸せなんだなぁと思いました。みなさんも、この本を読んでください。多重人格になった理由を知ったとき、みなさんもきっと涙が自然と出てきてしまうと思います。

(1年・農学部・女子)

『涙が乾くまで 〜逆境の心理学』(神宮寺 祥 世界文化社)

どんなにしあわせそうに生きている人の人生でも逆境が全くないということはありえない。だからといって逆境を目の敵にして、避けようとばかりしていたら、いつもビクビクしながら生きなければならない。この本には、逆境を恐れずに、逆境をのりきるための100のヒントがかかれている。私たちは逆境というものをマイナスの体験と考えやすく、誰でもそれを避けて通ろうとする。そしていざ逆境に立たされると「なぜ私だけ・・・」「しょうがない。運命だから」とそこから自分で抜け出ようとせず、ただ時間がすぎるのをただ待つだけだったが、この本を読んで逆境が、人生にとって必要で貴重なものを学ぶ機会だと考えられるようになった。

(1年・教育学部・女子)

『友情・初恋』(武者小路実篤 集英社文庫)

 2つの話の中で「友情」について書きたい。主人公が一目惚れした女性を得るべく奮闘する話ではあるが、そこに友情がからんでいる。それで「友情」という題なのだろう。「友情」で描かれているのは、恋である。はっきり言えばセックスのからまない幻想(?!)としての恋である、と思った。「うわぁ、大正9年に書かれた作品なのに、なんでこんなに主人公の気持ちがわかっちゃうんだろう」「昔も今も幻想としての恋の形は変わんねえな」と思った。お茶をすすりつつ、ひなたぼっこをしながら片手に持つ本で、ニヤニヤしながら読むとしたら、この本がいい。あー、ニヤニヤしたー。

(1年・工学部・男子)

『インザ・ミソスープ』(村上龍 幻冬社文庫)

 「インザ・ミソスープ」とは、20歳の日本の青年ケンジがアメリカ人の正体不明の中年男性フランクと、年末の12月29日から大晦日までの3日間を東京で共に過ごした間の出来事を描いている。フランクと一緒にすごすうちにケンジは、フランクの不気味さに気づく。「目から人間的な表情が消えた」り、「フランクの一万円札に血が乾いた痕」がついていたりしていて、ケンジは、その日に新聞で見た「手足と首を切断されて殺された歌舞伎町のゴミ収集場に捨てられていた女子高生」の殺人犯だとフランクを疑う。どんどん正体を現すフランクと、それから逃れようとするケンジの様子が上手く書かれていて、リアルな表現に吐き気もするが、読み始めたらとまらないおもしろさがあるのでおすすめです。

(1年・教育学部・女子)

『ローレンジャーとトント天国で殴り合う』(シャーマン・アクレシー 東京創元社)

 最初に言っておくと、これはインディアン小説であるが、一般に想像するインディアンの神秘的なイメージで読むと面喰うだろう。これは著者の言葉である。「たくさんのインディアンの作家が(その生活について)方位や大地の恵からワシの羽のようなナンセンスを描いている。我々はそんな生活はしていない。保留地(リザベーション)で我々が直面しているのは、ウラニウムの汚染、アル中、自殺なんだ。我々は他の人々とどう用に、仕事か食べること、政治腐敗に悩んでるんだ。」

(2年・法文学部・女子)

『告知』(熊沢健一 マガジンハウス)

 外科医である作者が自ら実践した妻へのガン告知と末期医療の話である。作者の妻がガンになったことでこれまで家や子どものことなど気にもとめていなかった作者が、妻の医療を通していい父親になっていく。特に作者が妻にガンを告知した後からは涙が止まらない。

(1年・教育学部・男子)

『私の「こころの日曜日」 虹色の小さな物語』(菅野泰造編 法研 \1300)

この本は「私のこころの日曜日」というテーマで、一般の方々から寄せられた原稿から選び抜かれた100編を掲載したものです。私はこの本を友達から借りて読みました。自分自身のこころを休める方法や、リフレッシュする方法などが書かれていて、読んでいて、私の心まで和やかになります。この本は、心温まる内容のものが多いので、忙しくて疲れている人やストレスがたまっているかな、というような人にお勧めです。私も、私なりのこころの日曜日を見つけ、いつでも穏やかな気持ちでいられるようになりたい。みなさんもぜひ、自分のこころの日曜日を探してみてはいかがでしょうか。たまには身体だけでなく、こころも休ませてあげないとね。

(1年・法文学部・女子)

『青い鳥の住む島』(崎山克彦 新潮社)

 この本の前作は『何もなくて豊かな島』という本で、これはその続きの本です。著者崎山さんが、フィリピンのセブ島沖にある周囲2kmの小さな島”カオハガン島”と運命的に出会い、退職金をはたいて島を買ってしまう。以後、その南の島に移住し、島の住民と家族のように暮らしていく。一方、近代化の波が打ち寄せてくる中で、カオハガン島の自然を美しく保ち、島の人たちの暮らしを守り、向上させていくために、協力し合い、試行錯誤していく様子がいろいろなエピソードで描かれています。私の島に住もうという夢をより強くした2冊です。読み終わったあとにはっと何かに気づかされ、自然に共感できると思います。本当に読んで価値観の変わるすばらしい本です。買って損なし!!

(1年・理学部・女子)

『ドクタークレピーとプリンセスカノコの元気のでる音楽療法 −音楽療法へのご招待』(呉竹英一・浅野庚子 ドレミ音楽出版社 \1500)

 この本は私がこれまでに目にしてきた音楽療法関連の本で、一番わかりやすいものです。内容は、音楽療法について何も知らない学生に対して、ドクタークレピーとプリンセスカノコが話しかけるという物語風(使用されているデータ・資料は実際のものです)に展開するという構成をとっています。「音楽療法に興味はあるが、何も知らない」という人には、お勧めです。

(1年・教育学部・男子)

『ニュースキャスターたちの24時間』(嶌信彦 講談社+α文庫 \780)

 私はある程度マスコミの世界に興味がある。特に、著者がテレビで話をしているのを聞いて、わかりやすいなぁと感心していた。この本は、ニュースを伝える側の、番組開始までのいきさつ、そこで関わっている人たちの思惑や苦悩、報道に対する政治圧力などを、舞台裏から見つづけてきた著者が紹介し、問題点を指摘している。ニュースをただなんとなく見るのではなく、報道が本当に伝えたいことが何であるかを見極めることが大切だと思った。

(1年・理学部・男子)

『サンタクロースっているんでしょうか?』(中村妙子 偕成社 \800)

誰でも、幼い頃に、サンタクロースの存在を信じ、クリスマスの朝、プレゼントが枕もとにおいてあるのを楽しみにしていたと思います。ところが成長するにつれて、「サンタからの贈り物」から「両親におねだりしてもらうプレゼント」に変わっていき、今では、「サンタクロース」の名前やその存在さえも忘れたりしていませんか?? この本はそんな人に読んでほしいです。幼い少女からの質問「サンタクロースっているんでしょうか?」にやさしく答えたアメリカの新聞記者の社説を訳したものです。
 あなた、「サンタクロース」っていると思いますか? ちなみに、私はいると思っています!!

(1年・理学部・女子)

『つるつるの壷』(町田康 講談社)

 この本の著者、町田氏は1996年に『くっすん大黒』という作品で芥川賞候補となり、ドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞を受賞している。内容は、平たく言うと「ダメ人間の話」であり、こんな作品を受賞候補者に入れるとは、やるな芥川賞、とちょっと見直してしまったことがあった。そんな「ダメ人間」のエッセイ集がこの本なのである。96年の受賞の際の言葉や出来事を記したものも含めてある。一読の価値アリ、とお勧めできるほどの本ではない。読んでみて、「何だこのだらしない男は」と腹を立てる人もいれば、「さっぱり訳がわからん、こいつは何を言ってるんだ」と首をひねる人もいれば、「深い!」とうなる人もいるだろう。ちなみに私は腹がよじれるほど大笑いしながら読んだ。この本の前に出た『へらへらぼっちゃん』というエッセイ集も面白い。

(1年・教育学部・女子)

『ことばの道草』(岩波書店辞典編集部 岩波新書)

 この本は著者たちが「広辞苑」改訂に携わる中で日々感じてきた、「語源をたずねるとことばが身近になる」「語義の変化を知ると、言葉の豊かさを実感する」という感情を読者と友にしたいという思いから書かれたものである。内容はいろいろな語の意味を書いているだけだが、普通の辞書と違い、その言葉のできた背景や著者の感想などが一緒に書かれていてとても面白い本である。なかには「なんでこんなものまで」と思うものまであって、今までの言葉の印象を変えられる本である。この本を読むと言葉の面白さや本当の意味などをすぐに覚えられるだろう。近年ことばの使い方がおかしくなってきている日本なのでこの本を読んで言葉のおもしろさや重要性を再確認してほしい。

(1年・農学部・女子)

『しあわせの風景』(石田ゆり子 角川書店)

 この本は、女優の石田ゆり子が書いたエッセイ集です。当時、僕は石田ゆり子のファンだったという理由だけでこの本を選んだのです。ところが読んでみると、ただのエッセイ集とは違い、この本のテーマでもある「幸せは身近に眠っている」の通り、毎日、同じでつまらないなぁと思っていた僕にとってはとっても共感できたり、こんな考え方もあるんだなぁと思えた、とても素晴らしい内容の本でした。この本を読むと、とても気持ちが前向きになり、ふとした毎日にも、いろいろと感動はあるものだなぁと思えます。本はあまり読まない僕でも、2回は軽く読みました。気持ちが沈みがちな人はぜひ読んでみてください。

(1年・教育学部・男子)

『ブラック・ティー』(山本文緒 角川書店 \440)

 短編集なのですが、全てに共通のテーマがあり、それは「罪」です。知らず知らずのうちに犯しているささいな罪。例えば、人に物を借りて長い間返し忘れているとか、小さな嘘や誰かが置き忘れていった花束を持ち帰ってしまう……など。そういったなにげなく犯してしまう罪の残す罪悪感が妙に自分自身の胸の奥にチクリとささります。誰もが一度はした事があるような軽い罪なのですが、共感を憶えるだけでは終わらせない何かがこの本にはあります。私にとっては、自分を見つめるきっかけになりました。この本を読み終えた瞬間、きっと誰もが何かを考えずにいられなくなるでしょう。小さな罪の重さを初めて知りました。

(1年・医学部・女子)

吉本ばななの小説

 私のおすすめする本は、吉本ばななの小説だ。『キッチン』『悲しい予感』『N.P』『TSUGUMI』これらの本は、最後まで読んだからといって人生や考え方が変わるわけではない。すごく涙が出るわけでもない。ただ単に「すごい」のだ。私には考えられない程現実ばなれしている。主人公の家族が恋人が過去も未来も。そして主人公の感情や風景の描写がものすごくいいのだ。もちろん構成もだ。人生と向き合いたい人にはすすめられないが、ただ物語を楽しみたい人にはぜひ読んでもらいたい。

(1年・法文学部・女子)

『いつでも会える』(菊田まりこ 学習研究社 \950)

 この本は絵本なんですが、なんだか、少し悲しいお話です。ミキちゃんの犬シロは、いつも、ミキちゃんといっしょで、とっても仲よしでした。だけど、ある日、ミキちゃんが死んでしまいます。それからのシロの心のお話です。絵本で、とっても字が少ないんですけど、なんだか、シロの気持ちがつたわってきて、泣けてきます。すぐ読めて、感動もあじわえていいですよ。

(1年・教育学部・女子)

『ワイルド・スワン』(ユン・チアン 講談社文庫)

 これは、日本軍による満州の支配、国民党と共産党による内戦、文化大革命など、激動の中国を生きぬいた3世代の女性の記録であり、ノンフィクションである。これまでヴェールに包まれていた当時の中国の実態が明らかになり、英雄だと親しまれている毛沢東の非情さ、狡猾さが浮き彫りにされる。残虐な拷問や、非人道的な数々の仕打ちに目を覆いたくなる部分もあるが、著者の家族は夢と希望と誇りを捨てずにたくましく生きぬいていく。「毛主席の言葉が1ページごとに載っていない本は全て焼き払われる」など、バカバカしくも思えるようなことに、当時の中国の人々は翻弄されつづけたのである。そんな状況の中、たくましく生きぬいた著者をはじめとする中国の人々は、尊敬に値すると思う。生ぬるい空気の中育ってきた私達だからこそ、この本を読んで、「生きる」ことの意味を学び、その大切さを感じてほしい。

(2年・法文学部・女子)

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『ムツゴロウの青春記』(畑正憲 文芸春秋)

 TVなどでおなじみのムツゴロウさんこと畑正憲氏の自伝である。この本を読むまで、私はTVの中でのムツゴロウさんのイメージしか持っておらず、特に好きでも嫌いでもない存在であったが、本を読んで非常に好きになった。中学2年のときにムツゴロウ氏は初めてラブレターを渡す。その相手が後の奥さんになるわけだが、二人の恋の育っていく様子がいい。中学、高校、大学進学と、ムツゴロウさんの父親のことなどを交えながら話は進む。
 私は彼の受験勉強に対する考えが興味深かった。高校2年の終わりには受験準備は完了し、高3の時はスポーツするために学校へ行っている。様々なことを自分なりの考えで把握し、人間も動物であることを忘れていない。ムツゴロウさんの生き方は素晴らしい。この本を読むと、なぜか私は自由を取り戻したような感覚になる。

(1年・理学部・女子)

『シーラという子』(トリィ・ヘイデン 早川書房 \1800)

 この本は、作者が受け持ったクラス(自閉症や強迫神経症の子どもたちのクラス)の生徒シーラの話だ。シーラと作者の毎日のように繰り返される戦いのような授業(?)。辛抱強くシーラに接する作者にだんだんと心を開いていくシーラ。作者の精神的な疲れやシーラのかかえた問題などがただの本の中の話ではなく、自分自身も疲れたり、暗くなったりするほど近く感じた。世界には、いろんな問題をかかえた子どもが、たくさんたくさんいるんだよなと実感させられた。

(1年・教育学部・女子)

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『ウソとホントの戦争論』(高嶋伸欣 学習の友社)

小林よしのり氏の著作で、非常に人気のマンガ「戦争論」を読んで、共感を覚えた人は少なくないと思う。しかし、小林氏がこの本で展開している論に重大な欠落があることをご存知だろうか。物事を一方的に評価してはいけないといいながら、自分自身がその過ちに陥っていることにお気づきになっただろうか。この「ウソとホントの戦争論」という本は、その点をズバリ指摘してくれる。しかし、この本は単なる批判本ではない。社会の出来事を様々な視点から分析する大切さを教えてくれるのである。一読の価値は十分ある。

(1年・法文学部・男子)

『悪魔の弁護人』(アンドリュー・ニーダーマン ソニー・マガジン社 \1800)

この本は映画化もされていて大ヒットになりました。私はタイトルにひきつけられて読み始めたのですが、ミステリアスで自分の頭の中でそのシーンが広がるような本です。人間の心の中にある、野心が見事に表されていると感じました。富、名声、贅沢といった誘惑に負けてしまう姿はひとごととは思えません。そんな人間に悪魔がしのびよる。やがてストーリーは意外な方向に進んでいき、衝撃的なラストへとつづきます。先へ先へと読みたくなる、そんな一冊です。

(2年・法文学部・女子)

『かぎりなくやさしい花々』(星野富弘 偕成社 \906)

 この本は、私が小学生の頃に、おばにすすめられて読んだ本です。小学生にも読むことのできる、簡単なやさしい文章でしたが、その頃の私には、とても深いもののように思えました。今でも、大切にもちつづけて読んでいますが、まだ、著者の苦しみや悲しみ、そして喜びなどの感情のすべてを理解しきってはいないのではないかと思います。これからも読みつづけていきたい本です。
 内容:著者、星野富弘が不慮の事故により全身マヒになってからの、闘病生活や、家族の様子、様々な人たちとの出会いなどを通し、”生”の意味をやさしくわかりやすいように書いてある一冊。普段、私達があたりまえに動かしている体が、突然動かなくなったら、どうなるのか、生きていることの重要さをあらためて認識させてくれる内容である。それと同時に、著者の生き方に深く感動し、見習っていきたいと思える本であった。

(1年・医学部・女子)

『影絵 −ある少年の愛と性の物語』(渡辺淳一 中公文庫 \560)

 もとは医学小説で有名だった渡辺淳一。数年前には「失楽園」で一世を博した。その彼が書いた本。男性なら「ああ、わかるわかる。いいぞ渡辺!」と思ってしまうくらい、男性の心の動きをよく表している。主人公は5歳の頃から登場。その人物が成長するにしたがって変わりゆく性への態度や知識、経験が自伝的に書かれている。「少年」と「男性」の2部構成になっているところもまたにくい一冊。女性が読むと「なんと!男ってこうなん!?」と驚かれることは必至(だと思う)。

(1年・法文学部・男子)

『ソロモンの指輪 −動物行動学入門』(コンラート・ローレンツ ハヤカワ書房 \580)

 「動物行動学」というと、何だか難しいような感じがしますが、全くそんなことはありません。生物学者の著者が、いかにうまく動物とつきあってゆくか、著者自身の体験をもとに、面白おかしく書かれています。動物の種類も、鳥、魚、昆虫、犬、馬、猿と様々です。特に、コクマルガラスに求愛された話や、オウムを呼び戻す為に街中で奇声を上げた話、カラスの攻撃を避ける為に仮装して、庭の外に人だかりができてしまった話などが、非常に面白いです。小学校の頃から、もう4〜5回読みましたが、何度読んでも読み飽きません。挿絵も全て著者自身が描いており、絶対、一読の価値あり!です(ローレンツ博士は、刷り込み現象を提唱した人です)。

(1年・教育学部・女子)

『KYOKO』(村上龍 集英社文庫 \500)

 誰かに「面白い本ない?」と聞かれたときは、いつも『KYOKO』をおしえてあげている。『KYOKO』は今まで読んだ本の中で一番涙が出た本だから。基地の町で育ったキョウコが黒人米兵ホセから、ダンスを習い、十三年後ホセに会うためにキョウコは1人NYへ行く。ただ「ありがとう」を言うために。目次にはキョウコがその旅で出会った人々の名前が書かれている。そしてその章ごとに、その人たちの言葉でキョウコが語られている。この本をもっとたくさんの人が読んでいっぱい感動してくれたらすごく嬉しい。きっとみんな村上龍が好きになると思う。

(1年・工学部・女子)

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『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス 早川書房 ダニエル・キイス文庫 \760)

 これは私が中1ぐらいの時、TVでみたお芝居がきっかけで読んだものである。主人公のチャーリー・ゴードンは32歳になっても幼児並の知能しか持っていなかったがある手術をきっかけに超高知能となる。しかしそれは実験の一環で、長くは続かないのであった。低い知能から高い知能へ、そしてまた低い知能へ。その間にある恐れや不安、喜びと悲しみ。それらをゴードンの日記形式で書いたものである。ずっと「頭のよい」ことにあこがれていたゴードンだったが、高い知能を手に入れたかわりに周りの人が冷たくなったり、今までわからなくて幸せだった世間の暗い部分がわかってしまったりと、決して良いことばかりではなかった所がとても衝撃的だった。科学とヒューマニズムの矛盾を指摘しているように思う。アルジャーノンとは彼の競争相手だった実験ネズミのことである。果たしてゴードンは”頭”が良いのと悪いのとどちらが彼にとって幸せだったのだろうか。深く考えさせられる一冊である。

(1年・教育学部・女子)


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