読書と日々の記録2006.06下

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■読書記録: 30日短評3冊 25日『効果10倍の〈教える〉技術』 20日『論文の教室』
■日々記録: 29日木曜日とか無線LANとか 24日京都 17日ミニミニ運動会

■今月の読書生活

2006/06/30(金)

 なんと恐ろしいことに,今月読んだ本はぜんぶで8冊。なんだか忙しい一ヶ月だった。

 今月よかった本は,『論文の教室』(なるほどアウトラインを育てるね)かなあ。

『日本的経営─その神話と現実』(尾高邦雄 1984 中公新書 ISBN: 4121007247 \693)

 1970年代、日本的経営はデメリットが目立つようになったそうだが、1980年代に入っても、日本的経営が礼賛されたりしていたようである(「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とか)。そこで、そのデメリットやメリットについて冷静に論じようとした本。内容的には、さほど目新しかったわけではない。ただ、最後に筆者が日本的経営のメリットを生かすよう、改革案を述べており、それはちょっと興味深かった。改革案の一番目は、集権的、硬直的なピラミッド型のビューロクラシー組織を、多数の流動的な小集団に作り変え、「それらの間の迅速緊密な連絡および協力のシステムからなる分権的、流動的な円形の民主的組織を形成」(p.176)することが挙げられている。これは、プロジェクト型というかワークショップ型組織の発想だと思う。そういうスタイルが、日本的経営のデメリットを抑制しメリットを伸ばす一助となることがわかった部分は、非常に興味深かった。

『北朝鮮を知りすぎた医者 脱北民支援記』(N. フォラツェン 2003 草思社 4794212070 \1600)

 北朝鮮から脱出して中国に潜伏している難民が、中国にある大使館に逃げ込むという事件が2002年から起きているが、筆者はその手助け(あるいは計画立案?)をしている人物らしい。彼が何を見聞きし、どんな体験をし、どんな活動をしてきたかが書かれている。北朝鮮の人の脱北を支援しようと考えたのは、かつて東ドイツから多数の難民が流出したことがドイツの再統一の発端になった、という歴史的経緯に倣ったものである。しかし、難民を支援するに当たって、韓国も中国も大きな壁になっているらしい(筆者はこの2国と北朝鮮から追放されている)。また、脱北者の中には北朝鮮の工作員が潜伏しており、そこから情報が漏れて計画がおじゃんになることもある。彼はどこの組織にも所属しておらず、メディアを味方にこの困難な戦いを行っているようである。本書を読むと、北朝鮮の脅威は、私がこれまでにイメージしていたものをはるかに凌駕しているもののように思える。筆者の願う方向に早く事態が動いてほしいものである。

『子どものリアリティ学校のバーチャリティ』(浜田寿美男 2005 岩波書店 ISBN: 4000263420 \2,100)

 2004年に起きた「佐世保小学生殺人事件」を中心に、現在の子どもを取り巻く状況について論じた本。そこには、家裁が出した加害者の決定要旨を読み解き直す、という部分もある。これには、加害者のホームページなども引用しながら、供述分析的な手法が用いられている。それ以外にも、子どもたちを取り巻く社会や学校についての論考も行われていrる。このあたりの話は、他の本で読んだものに近いような気もするが、しかし、筆者が学校の問題をどのように捉え、どうあるべきだとイメージしているのか、まだ私には十分理解できていないので、それなりに興味深く読んだ。

木曜日とか無線LANとか

2006/06/29(木)

 木曜日は忙しい。午前中は、午後からの教養科目の準備で、レポートを読み、評価し、評価を転記し、配布プリントの準備をし、ビデオなどの準備をしたら終わってしまう。3限は共通教育棟で授業、4限は教育学部に戻って、大学院の授業。大学院の授業は、受講生が一人なので、少しリラックスはできるのだが。

 5限は、このところ毎週、卒論指導が入っている。

 それが終わって、6限に、3限の授業で書かせた振り返りシートを100人分ぐらい読み、次回の授業準備を少しすると、もう7時になってしまう。ということで、授業関連のこと以外、何もできないのが木曜日である。はー疲れる。

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 うちでは、先日ノートパソコンを無線LANでつないだが、盲一台あるノートパソコンもつないで見た。1台目は、無線ルー他の子機を使ってつないだので比較的簡単だったが、2台目は、子機がないので、ノートに内蔵された無線LANを使ってみた。暗号の設定など、少し時間はかかったものの、つなぐことができた。おかげで今は、寝室で、ベッドに寝転がりながらインターネットにつないでいる。快適である。この快適さ、ちょっと危険な感じもするのだが。

■『効果10倍の〈教える〉技術─授業から企業研修まで』(吉田新一郎 2006 PHP新書 ISBN: 4569648460 \735)

2006/06/25(日)
〜講義でもイベントでもなく〜

 単なる講義ではなく、練習を行い、サポートを行い、フォローアップを行うことで、はるかに効果的に教えることが可能、と主張している本。要はワークショップスタイルの学びであり、企業研修的なものが主に念頭に置かれているようである。ワークショップスタイルの研修といっても、筆者は、ワークショップ型の研修を繰り返しているうちに、「イベント的な研修では、それがいかに価値あるものであっても、受講者に与えるインパクトはほとんど期待できない」(p.18)ことに気づいたという。

 そこで筆者は、イベント的なものではなく、上司も巻き込み、また研修後の学びを重視するような研修を考えるようになっているようである。後者のことに関しては、「研修の終わりが活動の始まり」と表現している。それは究極的には、継続的に学び続ける組織を作る、ということのようである。なるほど、そのとおりだとは思うものの、イベント的な研修の講師しかできないようなときは、どうすればいいのか(どうしようもないのか)、という気はしないでもない。

 実はそういうことに関しては、本書はあまり体系的な情報提供はされていないように感じる。本書には、「学びの質と量を左右する原則」とか「無駄を省くポイント」みたいなものは豊富に載せられているし、ヒントになりそうなアイディアもいくつもあるのだが、そういう原則やポイントを具体的な形にしたときに、全体としてはどのような形になるのか、なんていうところに関しては、今ひとつはっきり提示されていないように感じた。それはちょっと残念であった。

 といってもまったくないわけではない。115ページから紹介されている、「会議を効率化、活性化するための職場研修」では、どういう形で研修を組むか、その一連の流れが紹介されており、とても参考になった。まず自分たちの会議を振り返り、会議の自己診断シートをやってもらう。それをもとに、自分たちの切実な課題が何かを話し合ってもらい、対処法をみんなで考える。それを元に、これから開く可能性のある会議の議事進行表をグループごとに作り、どの案がよかったか、コンテストを行う、という具合である。なるほど確かに、実際の問題に近いような形での練習まで含められたワークショップで、単なるイベントとは違う効果がありそうである。こういう例をもっとたくさん載せてくれたらよかったのだけれど。ひょっとしたら、自分でこういう例を考えられるようになってから、改めて本書を読み返すと、得るものがたくさんあるかもしれない。

京都

2006/06/24(土)

  明日の研究会のために、京都入りしています。グーグルの路線検索の使い方を覚えたので、関空からここ(阪急烏丸駅近く)まで、何回も電車を乗り継いでたどりつきました。何回も乗り継ぐなんて、「通」みたいです(田舎にばかりいるとそんなことしないので)。これから、旅に出るのが楽しくなりそうです。

 といっても今朝はちょっとボーっとしていたのか、チェックインもせずに、搭乗口に行ってしまいましたけど(こんなの初めてです。寝不足だったんでしょうか)。

 ホテルはLANが各部屋に完備されていて、ケーブルを貸してくれるので、インターネットにつないでいます。こういうの,初体験ですが快適です。今から風呂に入って、パワーポイントの最終仕上げをしなければ。

■『論文の教室─レポ−トから卒論まで』(戸田山和久 2002 NHK出版 ISBN: 4140019549 \1,176)

2006/06/20(火)
〜問いを見つけ、育て、解決する〜

 レポートから卒論までに対応していることをうたった、(小)論文の書き方の本。この手の本はいくつか読んでいるので、あまり期待せずに読み始めたのだが、意外によかった。

 たとえば、読書には「問いを見つけるための読書」と「問いを解決するための読書」があるという。「問いを見つけるための読書」の場合は、まずその分野の新書を1冊読み、その分野の概要を知る。次に、同じ本でもいいし別の本でもいいのだが、もう一度(もう一冊)読みながら、問いを見つけるのである。問いのヒントとなる箇所は次の4つ。 「目から鱗」の箇所(メウロコ)、「激しく同意」する箇所(ハゲドウ)、「納得いかない」箇所(ナツイカ)、「激しく反発」する箇所(ハゲパツ)。読書には2種類あるという指摘といい、問いを見つけるための着眼点といい、メウロコであった。

 あるいは、筆者はアウトラインを作ることを重視している。たとえば、何か調べて書くタイプの論文の場合でも、まず最初にアウトラインを作れ、と筆者は言う(メウロコ)。そうすれば、何を調べるのかが明確になるという。アウトラインを作るためにも、先の「問いを見つけるための読書」は有効なのだが、そこで見つけた大きな問いを小さくて具体的な問いに派生させるためにはどうしたらよいかも、筆者は具体的に教えてくれている(RPG法とビリヤード法)。特にビリヤード法は、一般的な問いのリストをもとに、いかにさまざまな問いを立てるかを具体化したやり方であり、ハゲドウであった。というか、私は論文を書くときにアウトラインを作ったことがない。しかし本書を読む限り、アウトラインを作ることはとても有効にみえる。ぜひ一度試してみようと思った。

 アウトラインを実際の文章に変えて行くやり方も、具体的に示されている。概要を書くと、まずキーワードを並べ、項目レベルのアウトライン(項目アウトライン)をつくる。次は、そこにある問いや主張を補強するように膨らませ、さらに各項目を文の形にする(文アウトライン)。とくにここまでの作業は重要のようで、筆者は、(文)「アウトラインを作るところまでで、論文を書く時間ぜんたいの三分の一は使いたいところ」(p.104)と述べている。さらに各文をトピックセンテンスとしたパラグラフを書き、そのパラグラフを充実させつつ、情報収集を行ってさらに補強する、ということを繰り返すわけである。それにも具体例が挙げてあり、痒いところに手が届く本になっている。

 その他にも本書は、論証や反論のテクニック、わかりやすい文章の書き方、論文を書く上での決まりごとなども書かれており、本当に論文を書く上で必要なことが網羅されている。これまで私は、論文を書く上での考え方を論じた本や、わかりやすい文章の書き方を論じた本は見たことがある。しかし両方の内容を網羅し、しかもコンパクトにまとめつつも具体例も挙げている本は、初めてかもしれない。

ミニミニ運動会

2006/06/17(土)

 今日は午後から、上の娘(8歳0ヶ月)の学年の行事、ミニミニ運動会があった。妻は研究会に出席のため、私が二人の娘を連れて小学校の体育館へ。  受付で、「親子リレー、走りますか?」と聞かれる。一瞬、腰のことが気にはなったものの、親子競技なら、そんなに真剣に走ることもないだろうし、ちょっとぐらいなら走れないことはないだろうし、上の娘と一緒に競技に参加するのも悪くないかも、と思い、軽い気持ちで「ハイ」と返事した。

 ところが。

 上の娘、順番が一番前になっていた。何でも学級委員なので、同級生たちを並ばせる役目を仰せつかっており、一番前なのだという。親子リレーは女子の先頭から。途中ならばそれなりに走ればいいかと思っていたが、先頭なので、そういうわけにもいかなくなった。

 そのうえ。

 土曜日の行事なので、参加者数はクラスごとで違っている。うちのクラスは少なかったらしく、先頭の2親子は、2回走らされてしまった。

 ということで、予定以上にたくさん、かつ一生懸命走ってしまいました。腰も心配したほどではなかったし、上の娘と一緒に走ることもできたし、オジサンもまだまだやれるかも、と思ってしまいました(2年後、下の娘のときに同じような行事があったら、同じようにできる自信はないけど...)


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