読書と日々の記録2008.9上

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■読書記録: 12日『新しい学力テストを読み解く』 7日『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
■日々記録: 12日かぜ 7日教員免許更新講習 4日もう一回読みたい本

■『新しい学力テストを読み解く─PISA /TIMSS/全国学力・学習状況調査/教育課程実施状況調査の分析とその課題』(田中耕治編著 2008 日本標準 ISBN: 9784820803713 \2,940)

2008/09/12(金)

 サブタイトルどおり,PISA調査,TIMSS,全国学力テストなどについて,それが「何を測ろうとしているのか」「どのような結果だったのか」などについて,相互に比較しながら論じた本。各章が,国語,社会,算数・数学,理科,英語と教科別になっているので,教科別にテスト結果の相互比較などがなされている。

 PISA調査や学力テストについて論じた本や文章はいくつか見たが,本書のように,テスト相互の比較を通してそれぞれの特徴を浮き彫りにする,というような内容のものは,私が見た範囲にはなかった。こういう本がほしかったんだよなあ,と思った(もっとも論じ方にはちょっと読みにくい部分もあったのだが)。

 これによると,たとえば国語(読解力)に関して言うと,PISA調査の分析から,「日本の生徒は,著者(=他者)の考えを書くことが苦手」(p.61)とか,PISA調査と学力テストの問題の出し方の比較から,「両調査が想定する「自分の考え」観にはへだたりがある」(p.61)などと論じられている。

 また上記の教科以外に,PISA調査で測定されている「問題解決能力」について書かれていたり,ビネーとターマンの知能観の違いなどが論じられており,これらも興味深かった。

かぜ

2008/09/12(金)

 免許更新講習に行く前日ぐらいから,喉の調子がおかしくなり始め,宮古島から帰ってきてから熱が出た。

 微熱ではあったがなかなか下がらず,おかげで今週はあまり仕事ができなかった。

 そういえばこんな感じの風邪,6月にもひいた(そのときのほうが熱が高かったけど)。風邪をひきやすく,治りにくくなっているのかなあ。ちょっといやだなあ。

■『伝わる・揺さぶる!文章を書く』(山田ズーニー 2001 PHP新書 ISBN: 9784569617367 \693)

2008/09/07(日)

 著者の文章は,ネット上ではときどき読んでいたが(そして,面白い文章を書く人だなあと思っていたが),本で読んだのはこれが初めてだった。筆者は,真剣に物事に向かい合っている人だなあという印象だった。本書は文章の書き方の本で,筆者は,「自分の頭でものを考えること」,とくに「問いを立てること」を重視している。その意味では本書は,批判的思考の本(特にcritical writingの本)という感じの趣のある本だった。

 たとえば筆者は,読み手をおいてきぼりにしないためには,「2歩前提に引いて見る」ことを薦めている(ちょっと分かりにくい日本語だが,「二歩引いて,前提を考える」というような意味だろう)。これは具体的には,「自分の書いたものを,人が見たらどうか」と一歩引いて見るだけでなく,「さらにもう1歩引いて,自分があたりまえと思っていることを分からない人もいるのでは?と想像してみる」(p.191)のである。

 それ以外にも,「自分の思考停止ポイントを発見しよう」というアドバイスもある。それは,「その言葉が出るとだれも反論できなくなる」あまりにも正しい主義主張,トップの言葉,カリスマ性のある人の考え,自分の内面の正義,学識,データ,あるいは自分が連発する言葉などが挙げられている。

 以上はほんの一例だが(そして本書のすべてがcritical writingについて書かれているわけではないが),なかなか興味深い部分が少なからず含まれている本だった。

教員免許更新講習

2008/09/07(日)

 昨日,宮古島市で6時間の選択講習を行ってきた(学ぶ意欲の心理学)。受講生は23名だった。

 現職の先生はこういう場で具体的な指導法を知りたがっているようだが,私は小中高校の教員経験はないので分からない。具体的な指導のノウハウを持っているのは現職の先生方の方で,学問は,そういった具体的な知識を整理し,検証し,抽象化したものに過ぎない。

 そこでこの研修では,4コマ(1コマ90分)中,私が心理学の話をするのは1コマのみとし,あとは,先生方でそれを具体化したり,それをヒントに考えてもらったり,あるいはお互いが持っている実践的知識を交流してもらった。具体的な時間割としては,次のような感じである。

  1. 5人グループで経験の交流(うまく行った授業,うまく行かなかった授業を紹介し合う)
  2. 講義(学習動機の2要因モデル,ARCSモデル,オペラント条件づけ,スキーマ,自己決定の重要性,現状分析から始めよう)
  3. ピックアップされた4つの事例(お悩み)に,グループで回答を考える
  4. まとめ(最終レポート執筆)

 やってみた感想としては,まず,講義を90分で6テーマ(しかもときどきグループワークを挟む)というのはやはりきつかったし,それに対する受講生の質問や反応を聞く時間も取れなかったし。次回は多くても5テーマぐらいにして,1コマ目後半からやるといいかもしれない。

 3コマ目の「お悩み相談への回答を考える」時間は,有益だったようだ。とくにここで,グループを組み替え,校種の違う人が同じグループになるようにしたのだが,これはよかったようだ(小中学校の先生のやり方を高校の先生が学ぶとか,他校のやり方を知るとか。

 とまあ反省点はいろいろあるが,受講生はよかったと言ってくれたし(今まで受けた中で一番よかったと言ってくれた人もいた),私もいろいろと学べた楽しい研修会だった。特に今回は,いつもの大学の授業では1回しか扱わないテーマについて自分なりに掘り下げることができたのはとてもよかった。次の機会には方法をもう少し洗練させて,テーマは新しいテーマでやってみたいものである。

もう一回読みたい本

2008/09/04(木)

 この1年間のMIBを8冊選んだ。といっても最近は,これらの本をまったく読み返していない。これではいけない,でも読み返す気力はない,でもこの企画,せっかくだからやめたくない。ということで,ここで選んだ本から,次に読む本を探すことにした(同じ著者とか関連図書とか)。


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