読書と日々の記録2008.9下

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■読書記録:  24日『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』 18日『「超」英語法』
■日々記録:  24日連休 18日児童生徒科学作品展

■今月の読書生活

2008/09/30(火)

 夏休みのせいか,10冊読めた(新書が中心だけど)。本当はもう少し読もうと思えば読めたのだが,他にやりたいこともあり,10冊でやめにしておいた。このページを始めたころ(9年前)ほど読書に貪欲ではなくなっているなあ。まあそれもいいか。

 今月よかったのは,『「超」英語法』(さっそく参考にしている)と『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』か。

『薬害エイズ「無罪判決」、どうしてですか?』(櫻井よしこ他 2001 中公新書ラクレ ISBN: 9784121500311 \700)

 薬害エイズの刑事訴訟で安部氏の無罪を受けて出された本。ジャーナリスト,弁護士,医師,法律家が専門的な立場から論じており,けっこう内容は難しい。そんな中で,一番最後に書かれている弁護士清水氏の論考だけは,素人にも理解できる内容である上に,問題の本質がズバリと論じられており,非常に興味深かった(ここだけは2ページに1箇所は付箋を貼っている)。論考のタイトルは「専門家の責任」。被告がどの部分が専門家でどの部分が素人なのかについて論じ,筆者は「彼らのしていたことは治療ではなく,商売だった」(p.220)と結論づけている。要はそういうことなんだよな,と納得した。

『つっこみ力』(パオロ・マッツァリーノ 2007 ちくま新書 ISBN: 9784480063472 \735)

 メディアリテラシー,論理力,批判力などは「相手や周囲を不快に」し,「永久に付加価値を」(p.62)生まない。それよりは愛と勇気とお笑いのある「つっこみ力」が必要なのではないか,というようなことを論じている本。『反社会学講座』的なものを期待した人には今ひとつだったかもしれないが,私には面白かった(漫談風で)。筆者が最後に論じている「赤の他人や個人とじかに関わりあおうとする気持ちを持ち続ける」(p.218)ことの必要性にもとてもうなずけるものがあるし(要するにデータをあれこれいじくり回すのではなく,ということだろう)。ただ,じゃあつっこみ力って具体的にはどんなもので,どのようにしたら発揮できるのかは今ひとつ分からなかったのが残念ではあるのだが。

『英語耳─発音ができるとリスニングができる』(松澤喜好 2004 アスキー ISBN: 9784756145277 ¥1,890)

 近所の図書館で借りてみた。CDもついていて,順を追って学習できるようになっているが,それはざっと眺めただけにして,最後の章にある「生の英語を使った学習法」だけ,(きちんとやったわけではないが)少し参考にしてみた。参考にしたというのは,英語の歌(カーペンターズやビートルズ)をリスニングのトレーニングに利用する,というものである。筆者のやり方をやると300回聞かないといけないのでちょっと大変なのだが,その考え方(100%聞き取れる状態を体験する)というのはナルホドと思った。

『ひとりでは生きられないのも芸のうち』(内田樹 2008 文藝春秋 ISBN: 9784163696904 \1400)

 筆者のブログから編集して作られたエッセイ本。まあ面白いし,なかなか鋭いなあと思うところもいくつもある。が,「どのような問題についても「正解」があり,それを読者諸君は知らぬであろうが,「朝日」は知っているという話型に二位する不快感が限度を超えた」(p.135)と朝日新聞を批判しているところは,ちょっと気になった。朝日新聞がどのような書き方をしているか,最近読んでいないのでそちらの方は分からないのだが,筆者自身,そのように表現できる語り口をしていると思うからである。といっても私にとってはそれは別に不快というわけではなく,だいたいは面白く,ときどき違和感を感じる,という程度でしかないが。

『教師教育改革のゆくえ―現状・課題・提言』(東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター編 2006 創風社 ISBN: 9784883521203 \1,800)

 本書は「最先端の教員養成カリキュラム改革についての情報発信」(p.3)などを目的とした本のはずなのだが,残念ながら,あまり具体的なことはわからなかった。ここ15年ぐらいの学校教育改革や教員養成教育の変化については多少は分かったのだが。具体的な事例ではなく理論的考察中心という印象である。

『食の世界にいま何がおきているか』(中村靖彦 2002 岩波新書 ISBN: 9784004308171 \740)

 2002年当時,食の世界に何がおきていたかについて書かれたルポ。メジャーなところではBSE騒動(3章割かれている),遺伝子組み換え食品の増加,クローン牛,サプリメントブーム,などが扱われている。それ以外にも,工場(のようなところ)で育てられる野菜や魚の話もあり,ちょっと面白かった。全体的にはちょぼちょぼな感じだったけど(まあそれは私の興味のあり方の問題である)。

■『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』(若松義人 2007 PHP新書 ISBN: 9784569690643 \720)

2008/09/24(水)

 これは面白かった。本書に書かれているのは,失敗をよしとし,常に改善することが風土となった組織のあり方についてだ。以下に一例を挙げる。

 こんなところか。これらは,ある組織で何かを変えようというときに,非常に役立ちそうな考えばかりであった。

連休

2008/09/24(水)

 9月は,連休やら飛び石連休がある。休みがあるのはまあうれしいが,しかししなければならないことが減るわけではないから,あってもなくても変わらないかなあ,とも思う。

 連休になると,確実に体重が増える。徒歩通勤分がないからである。往復30分でも,あるのとないのとでは全然違う(それに加え,うちにいるとつい菓子をつまんでしまう,という問題点が大きい)。

 とかなんとか言っている間に,もう1週間で後期がスタートしてしまうわけだが...

■『「超」英語法』(野口悠紀雄 2004 講談社 ISBN: 9784062122665 \1,575)

2008/09/18(木)

 近所の図書館で借りてみた。良書だった(今は文庫も出ているようだ)。それは,英語教育の専門家とか英語学校関連の人ではなく,英語のユーザーの視点に立った,従来あまり論じられていない観点からの議論がなされているからである。たとえば,次のような指摘がなされている。

 筆者の他の本(「超」シリーズ)と同じく,根本的なアイディアはシンプルである(だいたい上のものでその多くをカバーしているのではないだろうか)。しかしそれが,大胆でありながら本質を突いている。リスニングの訓練だけでいい,なんてちょっとびっくりしたが,その理由がきわめて説得的に語られている。そのうえ,それを支えるさまざまな話題がが豊富に盛り込まれているため,一気に読み終わった。そして深く納得した。

 上記の話から帰結される筆者のやり方の具体として,「私は英語を使う機会がある場合には,その1週間前から英語のニュースを聞くようにしていた。」(p.52-53)なんていうのがあるが,その考え方が根本原理から来ているのが分かるのでその効用も納得しやすいし,具体的なので,自分でも明日からできそうである。つくづく筆者はすごいなあと思った次第である。

児童生徒科学作品展

2008/09/18(木)

 地区の「児童生徒科学作品展」が開かれており、下の娘(8歳0ヶ月)の作品が出品されているというので,日曜日に見に行った。これに行くのは2年ぶり2度目である。

 うちの娘の作品は,4月から飼いはじめたネコの観察+調べ学習のまとめ。写真もちりばめてあるので,「科学作品」であると同時に,なんだかいい記念になりそうだ。

 うちの娘たちは,同学年の子の作品は知り合いのをざっと見ただけで,一つ上の学年の作品を見ていた。来年何をするか,参考にするそうである。

 上の娘が目をつけたのは,近所に咲いているお花調べ。こういうの,1年ぐらいかけてやると面白いかもしれない。下の娘が目をつけたのは,「いろいろなもので10円玉を磨く」。酢とか醤油とかタバスコとかで磨いてみて,どれがきれいになるかをみるのである。なるほど,これなら1日か2日でできそうで,下の娘向きだ。

 ちなみに,10円玉を磨くネタは,複数の学年で複数出品されていた。元ネタ(子ども向け雑誌とか)があるんだろうか?


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