読書と日々の記録2008.12上

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■読書記録: 12日『国際人の英会話学習法』 6日『「会議ファシリテ−ション」の基本がイチから身につく本』
■日々記録: 12日先生にインタビュー 6日大学院で授業研究の授業

■『国際人の英会話学習法―フランス人もロシア人も中国人もこの方法で話せるようになった!』(S.ソレイシィ 2003 角川oneテーマ21 ISBN: 9784047041219 \667)

2008/12/12(金)

 町の図書館で借りてみた。

 日本人が英語が話せないのは,日本の英語学習の常識が間違っているからだという。それは,英語をパズルを解くようなものと考えることであり,英語を使うというよりも鑑賞するという態度であり,ネイティブ信仰である。その結果,シンプルでメジャーな表現ではなく,複雑でマイナーな表現ばかりを学んでしまう。複雑でマイナーな表現をいろいろと使い分けることを学ぶよりも,いろんなシチュエーションで使えるようなシンプルな表現を学ぶべきである,と述べる。それを筆者は「釣竿」と読んでいる。

 そのようなものとして本書の後半では,いろいろなシチュエーションで使える「May I have...?」という文型を具体的に学ぶようにできている。こういう表現を上手に使って,小さな部分が多少間違っていてもいいからスピーディにコミュニケーションが取れるのが大事なのだ,という。至極もっともである。

 ただし,本書で主に取り上げられるのは文型一つなので,次のステップに進むためには,別の本が必要そうだ(筆者の他の本かな?)。

 あと,さまざまな英語学習本を見る一つの観点として,パズル解きか?などの視点は,有用に感じた(パズル解き的だからすべてダメというわけではないが,そういう部分に深入りしないように活用したらいいのだろうけれども)。

先生にインタビュー

2008/12/12(金)

 最近,分野の異なる何人かの先生にインタビュー調査をしている。

 系統的に対象を選んで調査しているわけではないので,まあ紀要論文程度の内容ではあるが,インタビュー前には思いもしなかった話がけっこう聞けており,非常に興味深い。

 特に感じるのは,どの先生も一貫した方針と熱意をもって授業や学生指導をされている点。「(学生指導をする上での)キーワードはこれこれ」とか「ゼミ生に口をすっぱくして言っている」とか「ゼミ生に,こういう言い方は絶対にしないで,こういう言い方をする」とか「いつもこういうことを言っている」とか「こういうことを意識して指導している」などという話が,どの先生もでてくる。

 こういう話を聞くと,いつも「すごいなー」と思う。私は,そういうキーワードをもって指導しているんだろうか(あるかもしれないけど,漠然とあれかなあという気はするけど,人にこういうことを聞かれて,すっと出てくるかどうかは自信がない)。

■『「会議ファシリテ−ション」の基本がイチから身につく本─リ−ダ−シップも話術も不要!』(釘山健一 2008 すばる舎 ISBN: 9784883997039 \1,575)

2008/12/06(土)
〜「みなさん,どうしましょうか?」と問う〜

 筆者の本は『もっとすごい!非常識な会議』に次いで2冊目だが,本書も前著と同じく,「合意形成型会議」のやり方について書かれていた。前著を読んだときに私は,その考え方を会議よりもワークショップ型授業に応用できそうという観点から読んだが,本書は,素直に会議のやり方の本として読み,ここに書かれている方法はうまく導入すればとても有効そうだと感じた。

 本書に書かれているのは前著と同じく,「個人→グループ→全体」の順に話し合いをおこなう「合意形成サイクル」による会議のやり方であるが,本書では,「合意を図るには,できるだけたくさんの意見を引き出すこと」(p.22)であり,参加者の主体性を促す(ジャマしない)ための方法がたくさん紹介されていた。たとえば意見がある程度出てきたら,ファシリテータが「みなさん,今出された意見を整理するとどうなりますか?」(p.56)と問いかける。つまりファシリテータは,意見を整理するのではなく「整理させる」のが仕事であり,そのためには,我慢が必要であるという(時間や話し合いの進み具合によっては,ファシリテータがまとめても構わない)。

 これに限らず,「みなさん,どうしましょうか?」と問うことで,「大事な場面では,進行を参加者に決めさせる」(p.180)ことが重要で,そのことを忘れないために,筆者は,会議が始まる前に「みなさんどうしましょうか」と10回口ずさむことを薦めている。ばかばかしいようだが,慣れるまではこういうウォームアップは案外重要かもしれない。

 そのほかにも,発言や議論がややこしくなってきたら,「全員できちんと共有したいと思いますので,ホワイトボードに図を描きながら説明してくれませんか」(p.199)と指示する,なんていうやり方も紹介されている。こうすることは,議論が空中戦なることを防ぐのである。

 このように参加者の主体性と可能性を引き出すやり方は,問題解決にも,目標設定にも,企画立案にも使えるようである。さっそく使ってみたくなるようなアイディア満載の良書であった。

大学院で授業研究の授業

2008/12/06(土)

 毎週木曜日の夜は大学院の授業がある。受講生は現職の先生1名。

 これまで,思考力育成に関する実践ビデオを見たりしながら話をしていたのだが,一度は実践を持ってきてくださいね,と言っていたのが先日実現した。つまり,その先生の算数の授業のビデオを見ながらユンタクしたのだ。

 こういうこと,初めてやったのだが,これはなかなか面白かった。実際に自分が見なかった授業についてどれぐらい語れるかなあと思ったのだが,語るよりもまずは,子どもの反応を面白がったり,先生の指示の意図を聞いたりした。

 そのうちに,思考力育成に関係しそうなことが言ってみたり,それに対するコメントを聞いたり。

 ゆっくりやったので,まだ半分も見ていない。続きは来週なのだが,続きが楽しみだ。こういうことがお互いに有益なのであれば,「授業研究特論」みたいな授業を開講してもいいかも(現職教員限定で,自分の実践ビデオをもってきてもらう)。


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