読書と日々の記録2008.12下

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■読書記録: 31日短評5冊 24日『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 18日『よくわかる教育評価』
■日々記録: 31日熱く語る友人 24日授業日のはずだけど... 18日発熱

■今月の読書生活

2008/12/31(水)

 今年1年に読んだ本は101冊。前年よりも1割減った昨年よりもさらに1割以上減り,読書記録開始以来最低記録を更新した。なんとか100冊を切らなくてよかったというか(そのことに今はじめて気づいたのだが)。そういえば,買って読み始めたけれども読み終えなかった本も多数ある。うーん,来年はどうなることやら...

 今月良かった本は,『「会議ファシリテ−ション」の基本がイチから身につく本』。未知の世界を知るという点では,『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』もまあまあだったかな。

『トヨタ式「改善」の進め方─最強の現場をつくり上げる!』(若松義人 2007 PHPビジネス新書 ISBN: 9784569691893 \840)

 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』が面白かったので買ってみた。本書の方は,まあボチボチだった(前著のほうが興味深かった)。本書で一箇所,興味深かったところを引用しておく。「改善の基本は「答えは自分で考える」だ。/人はつい,考えずに答えをほしがる。教える側,指導する側もつい「こうしなさい」と答えを教えたくなるものだ。だが,それでは知恵を出して働く人は育たない。」(p.164)。その「自分で考えた答え」に対してアドバイスするのだそうだ。当たり前とも言えるかもしれないが,実際にそれをきちんと行なうのはなかなか難しいだろうし,それがきちんと行えれば,確かに「最強の現場」が作れるかもしれない。そう思える指摘だ。

『自己表現力をつける (知のノウハウ)』(海保博之 1997 日本経済新聞社 ISBN: 9784532145309 \1,300)

 本書で扱われている自己表現とは,パフォーマンスとしての自己表現も,自分の癒しとしての自己表現も含み,芝刈り機で芝を刈っているものも含む,非常に幅広いものである。それらについて,ときどきは心理学的知見を援用しながら,筆者なりに自己表現の機能ややり方を分類整理して提示されている。自己表現するのは,相手に自分の知識や思考の結果を見せるためであるが,それだけでなく,「自分の思考をより豊潤にするため」(p.37)でもある。あるいは認知活動を外化することで,認知機能を補助することにもなるし,認知機能を活性化することにもなる(p.52)。当たり前ではあるが,こういったことを意識しておくことは大事だろうと思った。

『「向山型国語」を使いこなすワザ』(椿原正和 2004 明治図書 ISBN: 9784185201384 \2,163)

 向山洋一14番弟子,という人の著書。第一発問を中心に向山型国語の授業が簡単に分析されていたり,筆者なりの教材開発・実践例として3つの授業について述べられていたりする。その中にはたとえば,ある教材に対して筆者が作った100の発問,なんてのが載せられており,興味深かった。全体としては,よくも悪くもTOSSの授業という感じ。本書の中には,筆者の授業をみて他の先生が分析された文章も載っている。その中で,おそらくTOSSではない教員であろう人の,「疑問に思ったのは,やはり発問と指示が繰り返されすぎたのではないかということだった」(p.106)という意見があった。そうやって(練りに練られた)発問と指示を繰り返すことで,いわば子どもの目の前にえさをポンポンと置いて行き,どんどん食いつかせる中で「いつのまにかこんなところまで来てしまった」という状態を作るのがTOSSの授業についての私のイメージで,そこには長所も短所もあり,その短所部分がこの人は気になった,ということなのだろうと思う。

『「活用力」を育てる授業の考え方と実践─新学習指導要領対応』(安彦忠彦編 2008 図書文化 ISBN: 9784810085129 \1,680)

 指導要領の総則の改訂に携わった編者をはじめ,なかなか悪くない人選の本のように見えるのだが,あまり大きなインパクトはなかった。一人の著者のページ数が少ないからだろうか。後半は単なる実践事例集のようにしかみえなかったし(実践者にとっては有用な内容なのだろうが),また,従来の実践とどこが違うのかもよくわからなかったし。編者によると,平成20年1月の中教審最終答申では,「「活用型」の学習は,知識・技能の定着にも,思考力等の育成にも,ともに役立つものであるという点が強調されている」(p.5)そうである。「活用」って「習得」と対比される言葉だと思っていたのだが,この文章からすると,どうやらそう単純なものではないらしい。

『冷蔵庫で食品を腐らす日本人─日本の食文化激変の50年史』(魚柄仁之助 2007 ISBN: 9784022731593 朝日新書 \777)

 料亭の子に生まれ,本人の好奇心もあり,日本の食の移り変わりについて見つめてきた筆者による本。比較的短期間で高級な食材が大衆化し,大衆的だった食材が高級化するという「食の下克上」の話は非常に面白かった。食のことなんてあんまり真剣に考えたことがなかっただけに,なかなか悪くなかった。

熱く語る友人

2008/12/31(水)

 先日,友人が勤めているK大学附属小学校に行ってきた。もう仕事納めは済んだはずだが,話を聞かせてもらいに行ったのだ。

 聞いた話は,やはり興味深かった。私は附属といえばほとんどR大学附属小学校のことしかしらないのだが,一方で常識であったことが他方では常識でなかったり,ということがいろいろと発見できた。やはり複数の状況を知ることで自分の身の回りの状況を相対化することは重要だなあ,なんて思いながら。

 もう一つ興味深かったのは,高校時代の友人が教育について熱く熱く語っていたこと。あんまりそういう感じのヤツじゃないと思っていただけに,不思議な感じだった。

 もっとも,一緒にやっていた部活のときもそうだったが,自分が興味を持ったことについては熱く語るヤツだったわけで,そういう意味では変わっていないのかもしれないが。こういう話が聞けるのであれば,またの機会に続きを聞きたいし,さらに機会があれば他附属にも行ってみたいなあと思った。

■『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(北尾トロ 2003/2006 文春文庫 ISBN: 9784167679965 \629)

2008/12/24(水)

 雑誌の企画で筆者が裁判所を傍聴したルポ。軽〜く,いろんな意味で面白かった。一つは,裁判という場を通して「人生ドラマ」を知るという面白さである。筆者は本書執筆までに2年間裁判を傍聴しており,本書には20以上の裁判が収められている。そこには当然さまざまな人間ドラマが垣間見られるのである。

 二つ目は,「試合観戦」としての裁判とでも言おうか。たとえば「続いては被告人への質問。ここで老弁護士は,さきほどまでの抑えに抑えたテンションを一気に高めて勝負に出る」(p.200)なんていう書き方を筆者は随所でしている。裁判になるケース自体にさまざまなドラマが含まれているのに加え,裁判という場所そのものが,裁判官,検事,弁護士,被告,証人(,ときには傍聴人)といったさまざまな人間がそこでドラマを繰り広げる。プロレス観戦記的な筆者の筆致もあいまって,そういうドラマも本書では楽しめる。

 裁判というときちんと意見を出し合ってきちんと結論を出すというイメージがあるが(あるいは逆に,上ばかりを気にする裁判官によって保守的な結論ばかりが出されるというイメージも一方ではあるが),裁判も,人間がやっているきわめて人間くさい部分を含む営みで,そこに関わる人間のちょっとした違いによって大きな違いが生まれることもあるのだなあということが本書から感じられる。

 三つ目としては,傍聴人としての筆者の成長振りを楽しめる。はじめは右も左もわからず,裁判所で右往左往していた筆者が,次第に目が肥えてきたり,傍聴マニア仲間を見つけたり,自分なりの見方を見つけていくさまも,なかなか面白い。

 裁判というと非常に敷居が高いもののように感じるが,本書を読んでいると,傍聴してみようかな,という気になってくる。もっとも文庫版あとがきによると,「まあ,たいていはハズレだ。メモすら取る気になれない公判は非常に多い」(p.323)ということだそうだが。裁判員制度が始まろうとしているこの時期に,直接傍聴に行かないまでも,本書を通して擬似裁判所体験しておくのも悪くないかもしれない。

授業日のはずだけど...

2008/12/24(水)

 今日はクリスマスイブ。といっても大学はまだ授業期間である(明日まで。あさってから冬休み)。

 私は今日は授業はゼミがあるだけだったのだが,昼に生協近辺を歩いていると,異様に人が少ない。いつもはお昼休みだともっと人がウジャウジャいる感じなのに。

 みんな,自主休講しているのだろうか。それとも先生のほうが休講にしているのだろうか。

 まあ,小学校なんかも冬休みに入っているし,変な飛び石連休だし,休みたくなる気持ちも分からないでもない。でも私は,明日まで授業があるんだよなあ。心は半分休み気分なのだが,もうひと頑張りしますか。

■『よくわかる教育評価』(田中耕治編 2005 ミネルヴァ書房 ISBN: 9784623043330 \2,625)

2008/12/18(木)

 初学者向けの教育評価についての概説書。2ページ1トピック完結で書かれており,欄外に,関連項目へのリンクが書かれていたり,簡単な用語解説や文献紹介がある。教育評価って,きちんと勉強したことがなかったのだが,本書で少し概要がわかった。

 たとえば,1900年ごろに始まった絶対評価(絶対者を基準とする評価)が,戦後,相対評価となり,それらへの反省から個人内評価,到達度評価,目標準拠評価などが出てきた経緯がわかった。あるいは,真正の評価についても少しわかったし,パフォーマンス課題のつくりかたについても少しわかったし,関心・意欲・態度と,知識・理解や思考・判断との関係についても少しわかった。要するにこれらは,教育心理学を教えたり研究する上で微妙にひっかかっていた部分なわけで,そういう点がわかったことでかなりすっきりした。

 理解が進んだという点や,初心者にもわかりやすい柔らかい語り口で書かれている点は悪くなかったものの,本書で少し気になった点もあったので一応書いておく。一つは,評価の実際についてもっと詳しく知りたかったなあと思った。もちろん多少の例は挙げられているのだが,全くない項目もある。でももっと具体的かつ詳しく知りたい,と思うことは少なからずあり,ちょっと欲求不満であった。

 もう一つは,2ページ完結で,各項目が比較的独立的に書かれているため,最初から順番に読んでいけば積み上げ式にだんだん理解できるようにはなっていない点。例えば最初の項目(1章1節 心理測定)を読んでいると,教育測定運動については13章4節を参照せよ,正規分布については2章2節を参照せよと書かれていて,それらについては詳しくは書かれていない。そこでその項目に飛ぶと,そこではそこで,ナニナニについてはナニ章ナニ節を参照せよ,と書かれているため,どこかの時点でとりあえずここまでは理解できた,という感じにならないのである(これらの用語をすでに知っている人はいいだろうが)。だから読みながらずっと,十分には理解しきれない欲求不満がわずかにではあるがたまり続けていた。その点は少し残念であった。

発熱

2008/12/18(木)

 先週の木曜日,うちの妻が(珍しく)熱を出した。なので私が子どもの,お稽古事のお迎えに行ったり,晩飯を作ったりした。妻が治るのに,結局3日かかった。

 で治ったと思ったら,今度は下の娘が月曜日の朝から熱を出した。最高39度出たようである。なので妻は仕事を半分休んだ(近くなので半分は行ったようだが)。驚いたことに下の娘は,翌朝には平熱に戻っていた(39度も出たので,あと1日は休ませないと,と思っていたのだが)。さすが若いだけに(?)治りも早い。

 今のところ,私も上の娘も風邪にはかかっていない。しばらくは,次は自分かなあなんて恐れていたのだが,大丈夫そうだ(ただし熱はないものの,咳が2週間ぐらい前から頻繁に出る)。このまま何事もなく年末まで過ごせるといいのだが(そういえば昨年は帰省先で熱発したなあ)。


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