読書と日々の記録2009.01上

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■読書記録: 12日『トヨタ「イタリアの奇跡」』 6日『見えないアメリカ』
■日々記録: 12日かぜ 6日キートップが外れる

■『トヨタ「イタリアの奇跡」』(山内英子 2003 中公新書ラクレ ISBN: 9784121501028 \756)

2009/01/12(月)

 イタリアトヨタについて書かれた初めての本らしい。イタリアトヨタの奇跡とは,連戦連勝で急成長しているということであり,日本人が4人しかいない現地法人会社でありながらトヨタイズムが短期間で浸透しており,ローマ人が一生懸命働いている,チームワークを尊んでいるというイタリアではありえないようなことが起きている会社のようである。

 ではそれはいかにして可能になったか。残念ながら本書は,そのことのみを中心に書かれた本ではなく,イタリアトヨタの雰囲気,社員食堂,社長の人となり,新社屋のこと,ローマのことなど,単なるイタリアとイタリアトヨタ紹介的な部分も多いため,その秘密が微にいり細にいりわかるわけではないが,一部の記述から多少のことはわかる。

 それは簡単に言うと,「社長は最初の1年は,いっしょに働く人たちの民族性や性格を徹底的に理解することに努めた。2年目からは,その理解のうえに,社員精神を短期間で集中的に改革していった」(p.97)ということのようである。このうちの「2年目」に関してはあまり詳しいことはわからないのだが,「1年目」については少し詳しく書かれていた。それによると,(新しく赴任した)社長は,イタリア人を理解し,会社を理解し,ディーラーを理解することを努めたようである。

 会社理解については,「社内で可能な限り多くの会議に出席して,みんなが何をやっているのか,イタリア人がどういうマインドをもっているのかを知ることに専念した。僕がどういう考えをもっているか話さずに,彼らのことを一生懸命理解しようとした」(p.74)と述べられている。ディーラー理解については,「イタリアトヨタをどう思っているのか。どういう評価をしているのか。トヨタに対する信頼はどの程度であるか。イタリアトヨタが発した方針をどこまで徹底してやってるのか。96年春から8月にかけて,イタリア全土を回りながら調査を続けた」(p.74)とある。

 これをみて思ったのは,ゴーンが日産に来て最初にやったことに似ている,ということである(『ゴーンが挑む7つの病』など)。もちろん,どちらかがどちらかをマネしたというのではないだろうが,ある組織を変えようとするときにまずやるべきことは要するにこういうことなのだろうな,と思った。

かぜ

2009/01/12(月)

 先週,かぜをひいた(もう治ったけど)。なかなか治らず,治りきるのに丸4日かかっている。

 ちょっと別用があって,最近,自分のWeb日記を読み返してたのだが,驚いたことに,似たパターンの風邪に昨年6月にかかっている。9月にも,「微熱がなかなか下がらない」風邪にかかっている。

 半年強で3回も,とちょっと驚いた(と同時に,そのことを忘れていたことにも驚いた...)。

 9月にも書いたけど,風邪が長引きやすくなっているようだ。何のせいかはわからないけど(トシ?)。これからはそのつもりで気をつけるようにしないとなあ(なんて書いたことを,3ヵ月後には忘れていそうだけど...)。

■『見えないアメリカ─保守とリベラルのあいだ』(渡辺将人 2008 講談社現代新書 ISBN: 9784062879491 \777)

2009/01/06(火)
久々に8度台の熱…

 アメリカの保守主義とリベラルについて書かれた本。我々が通常接する「アメリカ」は,特定の階層だったり特定の地域だったり特定のメディアだったりするため,多様なアメリカの一部でしかないことが多い。そのアメリカの多様性を知る一つの手がかりが「保守」と「リベラル」のようである。本書のおかげで,アメリカの多様性がかなり見えたような気がした。

 たとえば,『アメリカの反知性主義』などに,アメリカについて「知性(マインド)を軽んじる国民の風潮」と書かれていたりするのだが,それはどういうことなのだろうとずっと思っていた。保守とリベラルでいうならば,反知性主義が保守と親和的なようである。そのことはたとえば,(保守の人間は)「議論をせず相手の意見をただ拝聴する」(p.22)とか「反エリート主義が強い南部」(p.128)などと書かれている。なるほど,そういうことならよくわかる。私が(研究などを通して)触れてきたアメリカは,ごく一面だったということだ。

 ただしこの区別は固定的なものではなく,地域や階層との関係は時代によって変わっているようである。そもそもは,「自由主義一色のアメリカにおいては,富裕層の保守的な自由主義と,農民や労働者の民主的な自由主義者との対立が基本」(p.222)だった。そこに,民族アイデンティティ,地域性,ポピュリズム精神,信仰,メディアその他の要因が絡まり,保守とリベラルが単一の軸では表現できない多様性を持ちつつ変化している,というような感じのような。そのあたりのところはあまりきちんとは理解できてはいないが,本書は,自分が理解している「アメリカ」の姿を相対化する上でも有用な一冊だろうと思う。

キートップが外れる

2009/01/06(火)

 ネコが我が家に来て9ヶ月。かわいい半面,いろいろといたずらをしてくれる。それも実害を伴うヤツを。

 先日,部屋で寝転がってノートパソコンを打っていたら,彼が来た。よくネット上の動画で,「遊んでほしいためにパソコンを打っている人を邪魔するネコ」の動画がアップされていたりする。そういうシーンにならないかなあなんてちょっと期待した。最近はあまり実害をこうむるようないたずらがなかったので,油断したのだ。彼が乗ったのは,私のおなかの上。画面が見にくくはあるが,この季節,ネコが乗ってくれるとちょっと暖かかったりするので,乗るがままにさせてみた。

 すると彼は「ガッ」とキーボードに爪を立てた。見てみると,キートップが一つ,外れかかっている。久々にやられてしまった。思い起こせば実害は,ノートパソコンの電源コード,イヤホンのコード(2つ)ある。また新たに一機撃墜された,という感じだった。

 ネットで調べてみると,ノートパソコンのキートップはメーカーに送ったら全部取り替えるので数万円かかるとか書かれている。それ以外には,自力ではめた人の話もいくつかあったが,うちのは完全に外れたわけではなく,キーの右だけが浮いている状態なので,内部の様子が分からない。はめるのは簡単だけど,パンダグラフなるものを折ってしまったらもうだめ,なんてことも書かれている。

 そこでふと思い出したのは,うちの妻のノートパソコン。あれも前に彼にやられている。そういえばあれ,どうしたんだっけ,と妻に聞いてみた。すると「自力ではめた」とのこと。私も試してみたものの,なかなかはまらないし,怖くてあまり力を入れることができない。しばらく格闘した後,妻に任せてみた。すると,しばらくガチャガチャ(意外に強い力で)やっていたら,そのうちにパチン!とはまった。ホント,簡単だなあと思うのと同時に,怖いもの知らずは強いなあ,とも思った。だって私なら,あんなにガチャガチャできないよ,頭に「数万円」がよぎっちゃって。


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