読書と日々の記録2009.05上

[←1年前]  [←まえ]  [つぎ→] /  [目次] [索引] [選書] // [ホーム] []
このページについて
■読書記録: 12日『民主党のアメリカ共和党のアメリカ』 6日『あなたのTシャツはどこから来たのか?』
■日々記録: 12日呪文を唱える娘たち 6日今年の連休

■『民主党のアメリカ共和党のアメリカ』(冷泉彰彦 2008 日経プレミア(新書) ISBN: 9784532260156 \850)

2009/05/12(火)

 アメリカに見られる,共和党的な文化と民主党的な文化について書かれた本。アメリカというと,ある種のイメージをもって受け取りがちであるが,そこには異なる文化が存在することが本書でなんとなく見える。似たような本としては『見えないアメリカ』』があった。これは「保守」「リベラル」という対立軸でアメリカを分析していたが,本書では,もっとダイレクトに「民主党」「共和党」という視点でアメリカが読み解かれている。この対立軸は,独立戦争の時点ですでに,「パトリオット」vs「厭戦ノンポリ」という形で存在していたという。そして現在のアメリカの政治やら経済やらにおいては,この2つのカルチャーが相互補完しつつ複雑なシステムを作り上げているという。

 といっても,どういうものが民主党的,共和党的なのかは,十分に分かったとはいえないのだが,大雑把には,次のような記述があった。

過剰なまでの正義感と,自己肯定,そして「話せば分かる」という楽観性,つまり「信ずること」が民主党のDNAであるならば,共和党のDNAはその正反対である。彼等の核にある思想は「懐疑」だ。〔中略〕例えば,小さな政府を志向する姿勢には,強大な中央政府の権力や,徴税権の肥大によって個人の財産権が侵されることへの本能的な疑念がある。(pp.42-43)

 現時点での私の理解はこの程度でしかないのだが,ここで一つ気になるのは,私の研究テーマである批判的思考との関連である。本書の記述からすると,この考え方もどちらかの思想の影響を受けているに違いない。

 で,詳細は略すが,そういう観点から私は本書を読んでいた。しかしどちらということは明確には分からなかった。上に書かれている「懐疑」は批判的思考的だし,批判にさらすことで物事が良くなるという自由競争的な考え方は批判的思考と親和的なような感じもするが,しかし,上のような懐疑(疑念)はどちらかというと反エリート主義的な憎悪に基づくようで,彼等の信奉しているものをロジックで批判してもしょうがない,なんていう記述もあったりする。一方で民主党的なカルチャーの中にも批判的思考と親和的なものもあるような気がする。ということでどちらと結論付けることはできなかった。ひょっとしたら「批判的思考」自体も,両方のカルチャーが相互補完しつつ作られた複雑な部分を持っているのかもしれない,とちょっと思った。

呪文を唱える娘たち

2009/05/12(火)

 以前,空飛ぶ娘たちという日記を書いた。うちの娘が小3と小1のとき,スーパーで見つけた竹ぼうきにまたがって飛ぼうとした,という話である。あれから1年半。うちの娘も小5と小3になり,さすがにそういう非現実的なことは(少なくとも小5の娘は)しないだろうと思っていた。

 ところが。

 先日,満月だった。それを見て娘たちが,「あ,あれ,できるかもよ」とささやきあっていた。ちょうど車に乗ってうちについたところだった。彼女らは車を降り,駐車場で月に向かって何かをつぶやいていた。

 どうやら,童話『ぞくぞく村のおばけ』シリーズに出てくる話で,満月の夜に満月に向かって目をつぶり,「ブツクサブツクサ……」と呪文を唱えると,「ぞくぞく村」に行くことができるらしいのである。

 どの程度の思いでそれをやっていたのかはわからないが,二人とも,相当真剣な表情でやっていたことは間違いない(言い終わった後,ぞくぞく村に行けなかったのもとても残念そうだった)。小学校高学年(&中学年)といっても,まだまだカワイイもんだなあ,と思った次第である。

■『あなたのTシャツはどこから来たのか?─誰も書かなかったグローバリゼーションの真実』(ピエトラ・リボリ 2005/2007 東洋経済 ISBN: 9784492443392 \2,100)

2009/05/06(水)

 アメリカの経済学者が,フロリダで買ったTシャツの越し方と行く末(?)を追ったノンフィクション風経済学(?)の本。原料の綿はアメリカ産で,それがTシャツになるのは中国,アメリカで着古された後はアフリカなどの古着市場に出回る,というグローバルな一生をTシャツはたどるようである。

 こういう行程をたどるのにもそれぞれちゃんとした理由があり,その一部は市場原理的なものなのだが(アメリカは産官学が一体となったハイテクで綿の生産性が異様に高い),多くは保護政策的な非市場原理に支配されている(補助金,輸入割当など)。

 そこで筆者は,Tシャツの運命を決しているのは市場よりも政治であり,歴史であり,市場を避けるための創意工夫だと論じる。

 本書のある部分は本当にフィールドワーク的で興味深かったが,ある部分は歴史の話だったり,保護政策の話や統計であったりして,純粋なノンフィクションほどは楽しめなかったが,しかし「市場」という考え方を相対化する上ではなかなか有益な本だった。

今年の連休

2009/05/06(水)

 私はもう4,5ヶ月前から,なんだか仕事が立て込んでおり,週末,家族とゆっくり過ごすことはほとんどなかった。しかしそれが,3月に一つ片付き,4月末に一つ片付き,5月2日(土)に出勤して一つ片付けたので,数ヶ月ぶりにようやく身が軽くなった。おかげで,今年の連休は家族とゆっくり過ごせた。

 といっても大したことをしたわけではない。2,3,4日は上の娘(10歳10ヶ月)のバレエ教室があったので,その送迎をしたりした。4日午後からは,娘たちのお友だち一家が泊まりに来たので,それなりのお相手をした。5日は,その家族と,軽くビーチに遊びに行った。

 ビーチに行ったのはこの夏初めてなのだが,天気が良く,殺人的な暑さだった。気温はせいぜい25度というところだが,日差しが強く,痛いぐらいだった。案の定,この日の夜は腕が真っ赤になっていた(ビーチには1時間ぐらいしかいなかったはずだが)。これから,夏にビーチに行くときは午前11時前か午後3時以降にしないと,と強く思った。

 ビーチの後は,沖縄そばを食べ,ビーチ近くの公園で夕方前まで遊んだ。私と妻は,前夜に夜更かしをしたので,木陰でちょっと一眠り。先ほどのような暑さはなかったが,今度は始終風が吹いており,寒くなる一歩手前という感じだった。ちなみに今日は,うちでゆっくり過ごすということだったが,上の娘の要望で,二人で大学まで散歩してきた。構内をうろついたり,図書館が開いていたので,社会見学ということで中を覗いたりした。

 ということでようやく連休が終わる。明日から8月頭まで,今度はほぼノンストップの毎日か。ちょっと怖いような...


[←1年前]  [←まえ]  [つぎ→] /  [目次] [索引] [選書] // [ホーム] []