読書と日々の記録

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■読書記録: 31日短評1冊 24日『自己プロデュ−ス力』 18日『世界一やさしい問題解決の授業』
■日々記録: 31日新しい授業 24日台風で 18日授業開始で体重減少

■今月の読書生活

2009/10/31(土)

 先月は久々にいっぱい本が読めたのに,今月はさっぱりだった。授業が始まったこともあるが,それ以外にも気がかりなことややらないといけないことが大小たくさんあり,手にいっぱい持ったものをポロポロこぼしながら歩いているような感じがする。はやくいろんなあれやこれやが落ち着くといいなあ。

 今月よかったのは,『落語論』『自己プロデュ−ス力』。他の本も悪くなかった,というか良かった部類に入るのだが。

『イチロー 262のメッセージ』(『夢をつかむイチロー262のメッセージ』編集委員会 2005 ぴあ ISBN: 9784835615127 \1,000)

 2004年にイチローが,メジャーリーグでの年間記録である262本のヒットを打ったことを記念して,メジャーリーグにおけるイチローの言葉を262個集めた本。思考に関わるものを書いておくと:「なにかをしようとしたとき,失敗を恐れないで,やってください。失敗して負けてしまったら,その理由を考えて反省してください。かならず,将来の役に立つと思います。」(小学生に向かって言った言葉)(p.33),「考える労力を惜しむと,前に進むことを止めてしまうことになります。」,「ぼくは,次に起こることは何か,いま何をすればいいのか,いつも考えます。ムダというか,生かされないことの方が多いんですけどね。これからもムダなことをたくさん考えて,そこからあたらしい何かが見えてきたらうれしいです」(p.42),「ムダなことを考えて,ムダなことをしないと,伸びません。」(p.59),「結局,見破られてアウトにされたとしても,起こり得るプレイではないかもしれないことまで可能性を考えられることと,考えないで止まってしまうこととは,ぜんぜん意味が違うと思います。」(p.115)。もちろん彼が重視しているのは「考えること」だけではない。「感じること」もとても重視されているのだが,それを生かすのが,こういう「考えること」なのだろうと思った。

新しい授業

2009/10/31(土)

 4月から新専修の所属になり,10月から新しい授業を始めた。授業は,附属小学校に授業を見に行って,休み時間に子どもたちとふれあって子どもを知り,授業を1時間見せてもらって授業記録を書き,附属小の先生の授業から学ぼう,というものである。

 初回がオリエンテーション,2回目が早速授業見学,3回目はその見学の振り返りを行った。

 振り返りは,グループごとに授業記録をまとめ,その授業から何が学べるかを話し合い,前回の反省をして次回のめあて(とくに子どもとの関わり方)を考えよう,という内容をやった。

 新専修にうつってうれしいのは,こういう授業を思う存分できること。3回目の授業の時も,学生たちが前週に見た授業について熱く(たぶん)語り合い,考えあっているのをみて,思わず顔がニヤけてしまった。ああ,こんな授業ができるなんて,という喜びでである。

 この授業を通して,学生たちの,授業を見る目(書く力)や学ぶ力が少しでも高まるといいなあと思っている。

■『自己プロデュ−ス力』(島田紳助 2009 ヨシモトブックス ISBN: 9784847018190 ¥879)

2009/10/24(土)

 島田紳助が,吉本総合芸能学院で研修生相手に行った,「努力の仕方」についての特別講義。彼は漫才で一世を風靡したわけだが,その裏では実にきちんと考え,努力して自己プロデュースしてきたことがわかる。

 それはたとえば,教科書作りからはじめたとか(面白い漫才を録音し,文字起こししておもしろさを分析した)。自分の持っているモノやそのときの時代の流れ,周りにいる人を考え,自分の立ち位置を決めたとか(オール巨人にはモノマネでも正統派漫才でも勝てないから,自分をヒール役と規定し,またそれまでにない間合いの漫才を作った)。今,彼はテレビで活躍していて,すごい物知りに見えるけど,実は本や新聞はほとんど読んでいない。でも自分が扱わないといけない分野で一カ所だけ深い知識を持っているところを見せて,「何でも知っている」と思わせているのだとか。

 本書で感動したのは,単なる技術論的な話になっているのではないところ。こういう世界は厳しい世界なので,伸助の特別講義を聞いた研修生のほとんどは無名のまま消えていくことを伸助は知っているし,それを講義のなかでも遠慮せず述べている。しかし,ここで学んだ努力の仕方は,別の世界でも生きるよ,と研修生を励ましているのである。

誰でも頑張って「5の努力」をすれば,「5の筋力」を得ることができます。/それを得ることができたら,この世界がダメでも,他の世界で絶対に成功できます。/なぜか。この世界が駄目だったら,次に見つけた新しい世界に「5」をかける。それが駄目だったら,また次に見つけた新しい世界に「5」をかける。/そうやっていったら,そのうちにちゃんと自分に合う世界が見つかって,成功するんです。(p.103)

 まったくその通りで,漫才以外の世界であっても,その努力の方法論として,ここで伸助が紹介している体験談は役立つだろう。あるいは伸助の方法論ではなくても,他の人の体験談や伝記から,今の自分に必要な努力の仕方を学ぶことはできるだろう。その意味で,大学生などにも読ませたい,すごくいい本だった。

台風で

2009/10/24(土)

 台風がフィリピンと沖縄の間に停滞している。沖縄本島が暴風域に入る可能性はなさそうだが(昨日の夜の時点では、26日に少しその可能性があった)。

 実は今日と明日に学科行事で離島に行ってくる予定だったのだが、この分では帰りの船が出ない可能性もあり、そうなるとしばらく帰れなくなるかも、ということで、行くのは取りやめになった。

 仕事もいろいろとたまっていたので、ちょっと助かるといえば助かるのだが、しかし新しい学科に移動してからはじめての行事で楽しみにしていたので、残念でもある(まあでも台風には勝てないからしょうがないよね。それに私は乗り物には弱いので、ゆれる船はいやだなあと思っていたところでもあるし)。

■『世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく』(渡辺健介 2007 ダイヤモンド社 ISBN13: 9784478000496 \1,260)

2009/10/18(日)
〜漠然とした大きな問題を小さな問題に分解しよう〜

 再読。前に読んだときは,さほど強い印象はなかったのだが,本書がアマゾンの「ビジネス・経済・キャリア > 経営学・キャリア・MBA > ロジカル・シンキング」という部門で上位に来ていたので,再読してみた。

 最近私は,ビジネス系のロジカル・シンキングものをいくつか読んでいるので,その観点から見たとき,本書は非常によい本だった。それは,挙げだしたらいろいろあって複雑になりがちなロジカル・シンキングを,ごく少数のツールに絞り,しかも中高生にでも分かるように,架空の例を通して具体的に分かりやすく教えている点である。

 本書で扱っているのは,タイトルにもあるように「問題解決」である。本書では問題解決を,「「現状を正確に理解し」「問題の原因を見極め」「効果的な打ち手まで考え抜き」「実行する」こと」(p.19)と捉えており,それぞれのステップが円滑に進むよう,ロジカル・シンキングのツールが導入されている。

 ここでいう「現状の正確な理解」とは,問題の存在を認識することだろうと思うのだが,本書にはきちんとは書かれていない。

 問題解決プロセスの中核をなす「原因推定」と「解決策」については,いわゆるロジック・ツリーの使い方が紹介されており,それを通して「原因としてありえるものを洗い出」したり「打ち手のアイディアを幅広く洗い出」(p.34)したりしている。ロジック・ツリーは本書では分かりやすく「分解の木」と命名されている。これを使うなかで,MECEとフレームワーク思考が軽く紹介されている。これらを通して筆者が述べているのは,「漠然とした問題や,途方にくれそうな大きな問題でも,じっくり原因を見極め,小さな問題に分解し,一つずつ解いていけばいいのです」(p.23)というメッセージである。全くその通りだと思う。

 洗い出された打ち手は,「効果の高さ」と「実行のしやすさ」でマトリックスを作って,どれを優先的に実行するか,決めている(別のページでは「自分の価値観に合わないもの」も除外していたりする)。最後に,絞り込んだ実行プランを根拠として「問題が解決可能」という結論を導くための仮説を立てているが,その筋道を整理するために「仮説の木」というのを紹介している。仮説の木には「並列型」と「解説型」(あるいは「三段論法」)があるのだが,これらは要するに「帰納」と「演繹」である。

 ということで本書では,中学生でも分かりやすい形で問題解決を紹介するなかで,ビジネス系ロジカル・シンキング(あるいはクリシン)のツールを丁寧に紹介している,悪くない本だということがわかった。

授業開始で体重減少

2009/10/18(日)

 授業が始まった。ちょうど金曜日で一巡した。

 一巡したとたん、それまでなかなか減らなかった体重が1kg減り、前期の平均体重に戻った。

 それって、うれしいことではあるのだが、講義ってどんだけ体力使うんだろう、とも思った。後期も無事に乗り切れるんだろうか、ちょっと心配になってきた(今日は風邪気味で微熱も出たし...)。


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