TABLE 1 批判的思考カリキュラムの目標(Ennis, 1987の上位レベルの記述のみを抜粋)

  • A.態度

    1. 命題や問題を探す
    2. 理由を探す
    3. 情報を集めようとする
    4. 信頼できる情報源を使う
    5. 全体の状況を考慮に入れる
    6. 中心点から離れない
    7. 基本的な関心を忘れない
    8. 他の選択肢を探す
    9. オープンマインドでいる
      自分もののとは違う視点を真剣に検討する/自分が受け入れない前提から推論する(受け入れないことを推論に影響させない)/証拠と理由が不十分なときは判断を差し控える
    10. 証拠と理由が十分であれば、その立場に立つ
    11. 主題が許す限りの正確さを求める
    12. 複雑な全体を秩序だって扱う
    13. 自分が持っている批判的思考技能を使う
    14. 他人の感性、知識レベル、洗練さの程度に敏感である

  • B.能力

      <最初に明らかにすること>
    1. 問題に焦点を当てる
      問題の同定・形成/判断のための基準の同定・形成/状況を念頭に置く
    2. 議論を分析する
      結論の同定/述べられている理由の同定/述べられていない理由の同定/類似点と相違点を見る/不適切な情報の同定・取り扱い/議論の構造を見る/まとめる
    3. 明らかにするための、または挑戦するための質問をし、答える。例えば:
      なぜ?/主要な論点は何?/〜はどういう意味?/例えばどんな例がある?/例えばどんなものは例にならない?(似ているけれども)/このケースにはどう適用される?/このように考えることでどんな違いがある?/事実は何?/あなたの言いたいことはこんなこと?/もう少し説明して下さい
      <基本的サポート>
    4. 情報源の信頼性を評価する。規準としては:
      専門的知識/利害の葛藤がない/複数の情報源で一致している/評判/きちんとした手続きを踏んでいる/評判を重視することの問題点/理由を与える能力/注意深いか
    5. 観察し、その結果を判断する。規準としては:
      推論が混じっていない/観察と報告の時間間隔が短い/他の人ではなく観察した人が報告している(伝聞ではなく)/記録を使っている/裏付け/裏付けの可能性/最新技術が利用可能なら、それを使っている/観察者が信頼性について満足しているか(報告者が別の人ならその人も)
      <推論>
    6. 演繹的推論を行い、判断する
      クラス論理/条件論理/命題を解釈する上での留意点
    7. 帰納的推論を行い、判断する
      一般化/何かを説明する結論と仮説を考える
    8. 価値判断を行い、判断する
      背景事実/結果/受け入れ可能な原理のprima facie適用/他の可能性を考える/バランス、重みづけ、そして決定
      <更に明確化する>
    9. 用語を定義し、定義を判断する。3つの次元:
      形式/方略の定義/内容
    10. 仮定を明らかにする
      述べられていない理由/必要な仮定:議論の再構成
      <戦略>
    11. 行動を決める
      問題を定義する/可能な解を判断するための基準を選ぶ/他の解を考える/どうすべきかをとりあえず決める/全体の状況を概観し、考慮に入れて決める/モニタリング
    12. 他人と相互作用する
      まちがった議論に対処する/論理的方略/修飾辞的方略/立場を口頭あるいは紙の上で明確にする