Sexual and Fertility
Behaviors of American Females
Aged 15-19Years;
1985,1990,and1995
DennisP.hogan,PhD,Rongjun Sun,MA,and GretchenT.Cornwell,PhD
American Journal of PublicHealth sep.2000,Vo.l90,No.9
発表者:竹田 幸江(母性看護・助産学教室) 発表日:6月14日
【選定理由】
私は、学部の卒業研究で、中高生の性意識・性知識をテーマにしたことがある。しかし、他国の10代の性に関した動向などはあまり知らなかった。今回、アメリカの10代の女性を対象とした本文献にであい、興味を持ったため選定した。
【先行研究レビュー】
アメリカの10代妊娠と諸問題:
・アメリカでは、1960年代の初めから、10代の妊娠が増加しはじめ、年間110件にも達し(アメリカの人口は日本の約2倍)、大きな社会問題になった。それまで中絶を禁止していたアメリカでも、10代で妊娠、分娩する者の多くが未婚者であったため、ついに1974年に至り、人工妊娠中絶の合法化に踏み切った。その後のGuttmacherらの報告によると、1978年の1年間にアメリカ全土で行われた人工妊娠中絶件数は、114万件にも達した。しかも注目すべきことは、その中絶件数の32%が10代女子という点である。(石浜 淳美著 「10代の妊娠と中絶 -国際比較-」より)
・1960〜1992年まで、15〜19歳の未婚女性の分娩数は4倍となリ、この年代の未婚女性の出産率は3倍となった(Bachrachら)。1992年以降は、この傾向は逆転し、アメリカ合衆国における10代の分娩数及び出産率は緩やかに減少している(Venturaら)。この変化は、早い性交開始と初交時に多くが避妊具(特にコンドーム)を利用するためである(pccininoら)。
先行研究の不足点:
・先の研究では、黒人、白人、ヒスパニックといった全ての民俗の10代女性の行動変遷を示してはいたが、系統的な分析は行っておらず、若年女性の家族生活経験(family life experiences)が変化していることに関連付けて、10代の性行動やその結果についての動向を示したものはない。
・過去30年間は、アメリカの家族で、片親家族の数が目覚ましく増加し、1994年には全親子世帯の30%以上を片親家族で占めている(Bloom,Ranlingら)。
・シングルマザーは一般に、ある時期にシングルマザー世帯での生活を経験していたことが明かとなった(Wullら)。それは、子供を出産する時点でシングルマザーであった場合で、母親は後に再婚したり、後に離婚したりなどである。
【要約】
〈目的〉
15〜19歳のアメリカ女性の1985〜1995年にかけての、性行動の変化を特徴づけること、また、家族因子とこれらの変化との関係を示すことを目的とした。
〈対象〉
制度化されていない(non institutionalized)、15〜44歳の女性10,847人。
〈データ収集〉
・1995年の1月〜10月まで、対象者にインタビューを実施。
・疾病コントロール・改善のための保健統計に関する国立センター(NCHS)の、FamilyGrowthに関する国勢調査-5年周期-(NSFG)より構成。
・データーは、各参加者の性行動、避妊具の利用、妊娠可能かどうか、子供時代の生活状況、その他の人工統計学的、社会経済学的特徴を収集した。
〈データー分析〉
・研究構成:10代少女達の性行動の傾向を分析するために、15〜19歳の少女達を、1985年(1966〜1970年生まれ)、1990年(1971〜1975年生まれ)、1995年(1976〜1980年生まれ)の3グループに分けた。これらはSUDAANを用い、統計学的パッケージはNCHSをすすめた(15〜19歳の若年女性2760人を代表する4653人の対象事例)。
・統計学的モデル:初交年齢及び初回妊娠は、Weibull危険モデルを用い、初交時の避妊具使用と妊娠結果は、論理学的回帰モデルを用いて分析した。
・家族生活経験の測定:シングルマザー生活環境は、@リスク年齢(12歳)までシングルマザー世帯で住んでいた対象者の累積比率、A対象者の出生時の親の結婚歴、の2変数で測定した。親のスーパービジョンは、@親や代理親の存在、Aリスク年齢までの母親の雇用状況、の2変数で測定。家族の不安定さは、出生からリスク年齢までの家族構成数で測定した。
・人種/民族:黒人、ヒスパニック、白人の3カテゴリーで測定。
・家族の社会経済的状況:家族内の親や代理親の教育レベルの高さより測定。
・その他:教会加入者は、14歳までずっと、少なくとも月に1回以上教会に通う者。10代まで、メトロポリタンの同じ居住地に住んでいる者。で測定した。
〈結果〉
@1985〜1995年の、10代少女達の性行動は、早い時期での人生経験が強く関連していた(表1)。
・出生時に親が結婚していた10代の割合は、5%減少しており、親が結婚する代わりに同棲する可能性の増加が挙げられた。
・1つ以上の家族生活を経験した10代の割合は、32%〜43%に増加した。性行動リスク時期で、生物学的親の両方ともいて一緒に住む少女達は、1985年には66%であったのが、1995年では、54%と減少し、減少の半分は、シングルマザー世帯の増加で占め、片親や他の大人(義理の親等)で構成する家族の割合の増加に繋がっていた。
A家族生活経験は、10代の性行為に強く関連していた(表2)。
・親がより良い教育を受けていた10代の人々は、性交開始者が28%少ない傾向にあり、初交時の避妊具使用は52%と多い傾向にあった。また、性交により妊娠に至る割合も低かっ
・現在の家族構成をみると、生物学的両親のいる家族を持つ者よりも、その他の家族環境を持つ者の方が、少なくとも30%は性行動をとる者が多い。
B早い性交開始者の増加は、1970年代初めにうまれた10代少女間(1980年代後半〜1990年代初期で性行動をとる)でピークに達している。
C人種/民族では、黒人の性交開始率は、他より1/4ほど高くなっており、社会経済的なものや家族構成の違いが影響する。しかし、異なる民族集団の10代少女で、同じ家族構成や家族ライフスタイルを経験する少女達は、性行動とその結果が等しくあった。
〈考察〉
これらの結果は、1985年〜1995年での、アメリカ合衆国の10代女性の性行動の実際とその変遷を示したと言える。1985年で15〜19歳の45%が性行為をし、その半数が避妊具を利用していたが、1995年では、性交開始がわずかに早まり51%で、3/4以上が避妊具を利用する(ほとんどがコンドーム)結果となった。そして、彼女達の早い時期での家族生活経験の内容や回数が強く関連していると言える。両親が高等学校以上の教育を受けており、父母両親と共に住み、教会に加入する若年女性は、初交時期が遅く、避妊具使用も高い。この結果は、家族を起原として若年女性が発達する事を示し、10代少女の性行動の変遷を指揮するといえる。これらを踏まえ、公衆衛生プログラムと思春期教育プログラムの強化が、コンドーム使用の非宗教的増加に導くと考えられる。避妊教育での改善を続けることは、ますます有利とは言えないような家族構成が特徴付けられていく中で、アメリカの10代女性のリプロダクティブヘルスのために欠くことができないだろう。
【長所・短所・疑問】
・あらゆるビジョンに対し、信頼性が得られるように努力し、系統だてて説明を行っているところが良い。また、国家的統計資料をもとに行っているので比較的信頼できる結果が得られる。
・アメリカ若年女性の性行動に関する変遷を、表2つにシンプルにまとめているところが良い。
・表2の分析因子について、%ものせた方が表1と比較でき、分かりやすかったと思う。
・この研究の着眼点(目標)そのものが、経済社会的また家族生活経験等を取り入れるといった、いままでの不足点取り上げていて良いと思う。
・インタビューの方法もコンピューターを取り入れる等しているが、具体的にどのようにバイアスを取り除く努力をしたのか。
【学校保健への寄与・私見】
初交時期の低年齢化は日本でも起きており、アメリカと同様に、実質的な性教育の普及が必要である。現在の日本の性教育は、ほとんどが学校内で行われており、親も学校に教育を希望する傾向がある。しかし、アメリカで出た「家族生活経験」が10代にもたらす影響の大きさを考えると、離婚率が増加している日本でも、様々なスタイルの家族構成が生まれてくるのは必然的であり、若年女性が母性育成に不利な状況に立たされることは予測できる。互い任せにせず、現在の10代の傾向を把握し、親と学校が(あるいは地域住民が)ともに協力して性教育カリキュラムを作成・実施していく等の体制が必要である。私が研究で行った、自治会に協力を得たピア・エデュケーションも、有効な方法の一つではないかと感じた。