Youth and Violence on Local Television News in California

Lori Dorfman, DrPH, Katie Woodruff, MPH, Vivian Chavez, MPH,and Lawrence Wallack, DrPH

American Journal of Public Health 1997;87:1311-11316


報告者:蔡 淑娟(保健社会教室) 
 
 

選定理由:

  法務省の調査によれば、最近の少年犯罪について1996年以降、少年の非行件数が徐々に増加し、殺人や殺人未遂事件ではナイフが多用されている傾向にあると報告されている。このように青少年の犯罪や暴力は米国だけではなく、日本でも無視のできない大きな社会問題となっている。そこで、われわれに大きな影響を与えているニュースメディアは、どのようにこれらの問題を扱っているのかに関心をもったので、この研究を選定した。
 
 

先行研究レビュー:

 
  • 米国では、Iyengar によれば、ネットワークの犯罪に関するニュースの89%が挿話的に報道されている。これは本研究の結果よりもやや高い頻度をしめしている。

  •  
  • 日本において、ニュースメディアがどのように暴力問題を扱うかについては、いまだに研究されておらず、今後、学校保健や公衆衛生の分野で研究されることを期待している。

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    要約:

     
    1. 目的(Introduction)
    2. ローカルニュースはどういうふうに暴力を描くのかを調査する。詳細的にはこの暴力は青少年を含めている。もし、ニュースメディアの役割が政策の事項の作成や社会的な争論を立案することであるとすれば、青少年と暴力がローカルニュースで、どのように描かれるのか、そして、とくに公衆衛生の視点からどういうふうに話題にされているかを明らかにする。

     
     
    1. 方法(Method)
    2. 青少年問題に関する話題が最も多く報道されている9月19〜25日の一週間、そして、ハロウィーンの前後(10月29日〜11月2日)の5日間、計12日間、1993年にカルフォルニアで放送されたニュースを選び、ビデオに録画した。この収録された214時間の放送内容の分析を行っている。
      青少年や暴力、或いは両者に関する話題が全部で1791件あり、それらは公衆衛生の視点から報道されたかをコード化し、分析を行っている。

     
     
    1. 結果(Result)
    2. 収録された214時間のニュースの中に8021件の話題が含まれている。広告放送26%、ニュース53%、スポーツ10%、天気予報7%、そして未来の難題4%である。
       

      <話題の内容>
       

      8021件のうちに、6230件(70%)は青少年や暴力に関係がなかったが、暴力は最も頻繁に出る単独なトピックである(図1)。項目については、三つのカテゴリーに分けられ、検討している。すなわち、1)青少年と暴力の両方に関する話題、2)暴力のみに関する話題、3)青少年のみに関する話題である。その内容は、
       

      1)青少年と暴力:表1に示すように、青少年と暴力に関するニュースは全部で783件であり、その大多数(70%)は犯罪や裁判の結果に注目されている。また、子どもや青少年が暴力の犠牲者であるものはこの783件に60%、逆に犯罪者であるものが40%を占めている。犠牲者、犯罪者ともに青少年であるものは130件(17%)である。

      2)暴力のみ:青少年に関係なく暴力のみに関連する話題が372件である。これも犯罪と審判が最も多く占められていることが特徴である。(表2)

      3)青少年のみ:このカテゴリーに最も大きいグループは高校スポーツ、学校の議論の話題等を含めた学校争論である。(表3)
       

      <構成:挿話的と主題的>

      それぞれの青少年、暴力、或いは両者に関係する事件を主としてフォーカスした報道は挿話的に、比較的に大きな社会を背景とした他の問題を含めた報道は主題的にコード化された。結果としては挿話的報道が主題的報道より5倍も多い頻度であった。
      なお、詳述な公衆衛生的な骨組をもつ報道はただ一つしかなかった。

     
     
    1. 考察(Discussion)

    2.  

      <Limitations>

      これらの結果から今回の調査は限界があることが分かった。分析を行ったサンプルはわずか12日間のニュース内容であり、また、データはカルフォルニアしか含まないローカルニュースに限られている。
      ほんの短い間に事件は発生するか、発生しないかが限られ、調査の限界があると言える。また、ローカルニュースは全国ニュースよりも多く報道されているが、この研究では全国の全体像を調べられずに、観衆はどのようなニュースが好ましいか、どのような内容が信じられるかを調査した。 
       

      <Youth-and-Violence Stories in Perspective>

      調査したニュース報道の84%は暴力の発生背景を無視した。この結果はネットワークニュースの研究に一致している。筆者らは暴力の予防を扱う公衆衛生機関で、暴力の記事が記載されている公衆衛生の刊行物がたくさんあることを期待している。ところが、より広範囲に暴力を報道するために、記者らには援助が必要と言える。
      カルフォルニアのデータによれば、1980年以来犯罪が減少していることを示しているが、暴力犯罪、すなわち殺人、レイプ、暴行、強盗はむしろ増加している傾向にある。その主な理由は若い世代が暴力犯罪の主役であることにあろう。
      カルフォルニアで、多くの暴力犯罪は青少年により犯されているとは言え、ほとんどの青少年は罪を犯していないというのも事実である。それにもかかわらず、多くのローカルニュースは暴力を報道する際に、青少年が暴力の犠牲者なのか犯罪者なのかを強調しすぎる。この点について、さらに検討すべきであろう。

      <Recommendations>

      ローカルニュースは暴力に至るまでの病因的なプロセスを無視する報道がほとんどである。我々の国のほとんどのニュースソースが社会的状況から孤立した形で暴力犯罪の筋を報道しつづけるとすれば、暴力に対する公衆衛生の面からの解決のための広範囲に渡るサポートの機会を狭めていくことになるだろう。
       

    学校保健への寄与:

    子ども、青少年たちが社会犯罪の主役になりつつある今日、生徒の非行・暴力を防止することが学校保健の今後の大きな課題であろう。

    問題を解決するにあたって、その問題の実状を知ることが重要だと考えられ、また、生徒に大きい影響を与えるメディアが本当に青少年の暴力に直接関係しているのかを探究することも問題解決に役に立つのではないかと思われる。
     

    私見(コメント):

    この研究はカルフォルニアのローカルニュースについてしか調べていないため、調査結果はカルフォルニアの現状しか反映できないと言える。他の地域の現状や課題も見い出すことが期待される。従って、このような調査を行う際には、他の地域のデータとよく比較した上で分析すれば、より信憑の高い研究になるのではないかと思う。

    また、調査期間が短い点については、考察でも言及されたように調査の限界があるように感ずる。ある年のある期間のデータだけでは、その地域で発生している事件の特徴をつかみにくいため、一年間に渡り、事件がよく発生する時期、あるいは発生しない時期を見分けて検討し、どの期間のニュース内容を分析するかを決めたほうがいいと思う。

     
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