性に対する価値観の変化と多様化、男女の人間関係の変化、性の商品化、享楽的性情報の氾濫、妊娠中絶に対する意識の変化、避妊実施の高率化といった開放的、快楽主義的な性風潮の中で育ってきた若者の性意識や行動は開放的、積極的となり、その結果10代の妊娠中絶やHIV感染者が増大する傾向にあると推測される。そこで大学生の性交経験者の性交観、性交欲求とアダルトビデオ視聴経験との関連性を明らかにすることを試みる。
北海道教育大から鹿児島大の9大学(8地域)の1回生から4回生を対象として調査を実施した。回答者数は、男子2483名、女子2384名でうち男子1125名(45.3%)女子1113名(46.7%)に性交経験があり無回答者は、男子38名(1.5%)、女子42名(1.8%)である。
調査の内容
調査方法及び調査期間
個々人に直接主旨を説明し調査用紙を手渡した。用紙の回収はプライバシー保護のために解答用紙を両面シール付き封筒に封入し回収場所に投函してもらうように指示した。回答は無記名とした。1993年12月に実施した。回収資料は、SPSSパッケージによる統計処理をし、χ2検定による有意差検定をおこなった。
表1、図1に示されているように性交経験のある者(あり群)とない者(なし群)がそれぞれ交際の限度を性交までと回答した者は男子のあり群82.2%に対しなし群55.6%、女子のあり群76.5%に対しなし群38.2% となっている。しかしなし群では男子は56%の過半数となっているのに対し女子は38%の回答率となっている。両群間に男子、女子いずれも有意差(p<0.001)が認められた。
男女のあり群、なし群の両群とも処女、童貞観についてこだわらないと回答した者が最も高率となっている(表2)。性交経験と処女、童貞観との関連において有意差(p<0.001)が認められた。
性交経験の有無と婚前性交観との関連(表3、図2)についてみると経験の有無に関わらず婚前性交を賛成と答えた者が男女とも最も高率を示している。また性交経験者においては、婚前性交を男女とも肯定的にとらえているが、非性交経験者の男女間には婚前性交に対する意識に若干の差異がみられた。性交経験の有無と婚前性交観との関連において男女とも両群間に有意差(p<0.001)が認められた。
性交経験の有無と結婚相手の処女・童貞観との関連(表4、図3)についてみると経験の有無に関わらず男女とも処女、童貞観についてこだわらないと回答した者が最も高率を示している。性交経験の有無と結婚相手の処女・童貞観との関連において男女それぞれ有意差(p<0.001)が認められた。
性交経験の有無と性交欲との関連(表5、図4)性交経験あり群は性交欲求があると回答した者がなし群に比して高率を示し、女子においてその差が顕著である。
女子では、性交経験者は、非性交経験者の2.5倍の視聴率となっている。性交経験のあり群はなし群に比し、アダルトビデオ視聴経験率が高く、性交経験の有無とアダルトビデオ視聴との関連において、男女それぞれに有意差(p<0.001)が認められた。
表7のように男子は性交経験がなくても性交欲求がある場合に、アダルトビデオを視聴するという関連が高い。女子は性交欲求はないが性交経験のある者は視聴経験が高率を示している。また、この交経験の有無と性交欲求の有無によるタイプ、経験・ 欲求型、欲求型、経験型、経験・欲求なし型、の各4群間におけるアダルトビデオ視聴経験率との関連性において男子、女子ともそれぞれで有意差(p<0.001)が認められた。