青少年は、両親からの独立、友人との共通の興味の表現、不安の感情処理方法として薬物使用を認知している。その中でも、アルコールは精神促進物質として最も頻繁に使われている。
・アルコール中毒や過度にふけっている青少年は、犯罪、学校での問題、事故、低い精神社会的適応といった深刻な社会・精神的な結果に瀕している。
アルコール乱用の重要なリスク要因として、仲間からのプレッシャーを含めたいくつかの社会的プレッシャーがあげられている。青少年期では、仲間からの影響が最も浸透性のあるリスク要因である。
・仲間の影響を強調することより、友人関係の交渉、特に仲間からの圧力を扱うことを重要視する介入努力へと移り変わった。
アルコール、たばこ、他の薬物等の申し出に抵抗するスキルを若者に教えることが、1970年代後半以来若者の薬物乱用プログラムの主な目的である。Evansの社会的免疫理論(social inoculation theory)を基にした喫煙に関するモデルで、拒絶スキル/ソーシャルスキルの効果が示されている。
介入が作用しているかどうか、なぜ作用しているのかを調査することに関して様々な結果が考えられるが、比較的ほとんど注目されていないものに、拒絶スキルを学ぶことがあげられる。経験上の考慮が、介入、拒絶スキル、そして飲酒行為間の相関関係を調べるためにほとんど向けられていない。
*この論文では、介入、拒絶スキル、アルコール乱用間の相関関係を調査する(Figure1)。2つめの目的は、予防プログラム、拒絶スキル、そして学年の機能としてのアルコール乱用間の相関関係を決定する。
いかに拒絶スキルを測定するのかが、この調査において重要な問題である。特に、予防カリキュラムにて、拒絶スキルの強い強調があれば、拒絶スキルに関する質問を答える生徒は特に社会的望ましさの影響をうけやすい。
・ロールプレイを通しての観察アセスメントを用いる。
*この研究では、
(a)予防プログラムの参加とロールプレイを通して測定された拒絶スキルの相関関係を調べる
(b)拒絶スキルと短期・長期間のアルコール乱用の相関関係を調べる
(c)拒絶スキルがアルコール乱用に関する予防プログラムの影響を仲介する程度を定める
(d)これらの関係が学年によって変化するのかどうかを決定する
アルコール乱用予防研究(AMPS)の中学生サンプルからデータを収集。
・南東ミシガン35の学校から6年生(1990年当時)の165クラスを10年生まで追跡調査。
・年に一度、春期に1時間の調査を実施。
・3704人の生徒が対象であり、統制群と治療群に分類(平均保存率は8年生77%、10年生69%)。
・6年生、7年生、8年生の時に拒絶スキル観察アセスメントに参加したおよそ400人に焦点を当てた。
・6年生のとき、全体の約15%の生徒を拒絶スキルアセスメントの参加するためにランダムに選び、7・8年生のときのアセスメント参加者は、 6年生ときの参加者の中から再び選ばれた(3回のアセスメントに参加し たのは194名だった)。また、サンプルを増やすために生徒がランダムに選ばれ加えられた。参加者の60%は統制群であり、そのうち男生徒は51%であった。
AMPSカリキュラムの目的は、青少年期のアルコール乱用の増加率を減少させることである。AMPSは、仲間からの圧力に抵抗するためのソーシャルスキルを教えることによりアルコール乱用率を減らすことを試みた。また、仲間からの圧力に対する青少年期の敏感さを減らし、若者が典型的に抱いている仲間のアルコール使用の誇張した規範をただすことも試みている。
Measures
・6年生、7年生、8年生、そして10年生の時に測定。
・12ヶ月以内に飲酒に関する9つの問題経験があったかどうかを生徒のセルフ・レポートに基づいて調べる。
・回答は0点から3点に得点化された(6年生.73、7年生.77、8年生.81、10年生.77)。
・評価者は見かけが多少若く、各年8時間のトレーニングを受けた大学生で、彼らには生徒の実験状況を教えていない。
・評価者は、生徒が望まないビールを申し出るシナリオのロールプレイをする。生徒には、学校が終わるまでそのロールプレイについて他の生徒と話し合わないよう伝えておく。
・拒絶スキルアセスメントを含む5つの項目は、「いかに説得できる拒絶スキルを持っているか」、「実生活、ボディーランゲッジ、アイコンタクト、そして声において、そのスキルがどれくらい機能しているか」を評価者の感覚で測定するものである。
・スキル尺度は1点(全然ない)から4点(とても)に得点化された(6年生.94、7年生.94、8年生.91)。
相関と回帰分析を行った。
・予防プログラム、拒絶スキル、そしてアルコール乱用間の相関関係を調べるために相関分析を行った。
・拒絶スキルを通して、カリキュラムがアルコール乱用に影響するかどうかを決定するためにBaronとKennyによる仲介回帰分析を行った。
Correlational Analyses
Table1に相関分析の結果を示した。
拒絶スキルは6年生、7年生、8年生でカリキュラムをうけていることと有意であった。
・カリキュラムは拒絶スキルを増加することに貢献していた
カリキュラムを受けた生徒は、7年生と8年生においてより低いアルコール乱用の傾向(p<.054)を示していた(6年生にはみられなかった)。
・拒絶スキルとアルコール乱用は、明らかに否定的に関係していた
7年生での拒絶スキルは、10年生のときのアルコール乱用と否定的に有意に関係していた。さらに、10年生のアルコール乱用と8年生の拒絶スキルは否定的に関係している傾向(p<.06)があった。
・拒絶スキルはいくらかの長期的影響を持っていることを暗示している
Mediational Analyses
介入モデル(Figure1)を検証するために2つの組み合わせ(学年内介入、長期的介入)の回帰分析を行った。
介入モデルの3つの段階すべて実施するために、最初の2つの調査は有意にならなければならない。
1.カリキュラム参加と拒絶スキル間の関係を確立するために、拒絶スキルをカリキュラムに回帰分析を行った。
2.カリキュラム参加とアルコール乱用間の関係を確立するために、アルコール乱用をカリキュラムに回帰分析を行った。
・7年生は有意、8年生は有意傾向であった
3.拒絶スキルがアルコール乱用のカリキュラムの効果に介入したかどうかを決定するために、アルコール乱用をカリキュラムとアルコール乱用に 回帰分析を行った。
・6年生でなく7年生と8年生で、拒絶スキルが学年内のアルコール依存におけるカリキュラムの効果に介入したことを示した(Table2)。
・拒絶スキルはアルコール乱用の重大な前兆になることを示した。
6年生、7年生、8年生の拒絶スキルと10年生のアルコール乱用を検証する介入モデルを調べるために、さらに介入回帰分析を行った。
・3つの学年で2つの段階で有為でないことが示された。
・6年生、7年生、8年生の拒絶スキルは、10年生のアルコール乱用におけるカリキュラムの効果に介入しなかった。
・拒絶スキル訓練は、中学低学年生や高校生よりも、中学高学年生により発達的に適している。
・予防に関する文献において、ブースターセッションがしばしば推薦されている。この発見は、このブースターが拒絶スキル訓練の効果を強化するために8年生から10年生が最も適していることを示しているだろう。
*この研究は、
・学校に通う年齢の子どもたちにおいて、アルコール乱用に焦点を当てた予防プログラムは首尾良く拒絶スキルを教えることができる
・よりよい拒絶スキルは、少なくとも7、8年生において、実際に低いアルコール乱用の前兆であることを示している。
・AMPSの同様なやり方において、拒絶スキルを教える予防プログラムは、奨励されるべきである。しかし、十分に大きなサンプルにおいて、長期的に拒絶スキルを調査できないことを含め、この研究には限界がある。