AIDS Education in Tanzania :Promoting Risk
Reduction among Primary School Children
Klepp KI.,Phd, MPH, Nadeki SS.,et al.
American Journal of Public Health 87:1931-1936,1997
発表者:都築 中(環境保健学教室)
対象論文選定理由:
エイズ教育という単語は最近よく聞くが小学生とエイズ教育という組み合わせに、まともに性教育を学校で受けた記憶のない私はショックを受け、どのようなものか知りたくてこの論文を選定した。
先行研究レビュー:
最近の幾つかの研究は学校でのエイズ予防教育は正しい知識の修得、危険行為に対する態度の変容、性交開始年齢の引き上げ等を挙げているが、ほとんどの研究が先進国の中・高校生に関するものであり、また大部分のエイズ予防研究は方法論的欠陥を持っている。途上国の学校内でのエイズ教育研究に関して少なくとも3つの論文が報告されている。全ての報告がエイズに対する正しい知識、態度や行動に関し肯定的な結果がでている。タンザニアではほとんどの子どもが小学校には通うがその15%以下しか中学校に進まない。最近の調査ではかなりの割合で性行動の経験のある子どもがみられている。このようにタンザニアでは明らかに小学生もエイズ予防の重要なターゲットである。このような状況下1992年以下のプログラム、調査がタンザニアでおこなわれた。
要約:
(目的)
タンザニアの子ども達のHIV感染危険性の低下や、AIDS患者に対する許容力や接し方の改善を意図した教育プログラムの効果を計る。
(対象)
最初の調査と12カ月の追跡調査を含む試行が無作為に選ばれた地域で行われた。タンザニアのアルサ、キリマンジャロ地方の公立小学校が都市部、郊外、農村地区の3地域に階層化されそれぞれの地区から無作為に介入群(6校)、非介入群(12校)に指定して試行に参加した1063人の6年生(平均13.6歳)のうち814人が追跡調査に参加した。
(方法)
教育教育プログラムはNgao(shield)と呼ばれタンザニアの健康教育担当者が本論文の著者らと開発した。
教材はそれぞれの地域の具体的な価値観や規範によって教師が内容を少し変えることができるように構成された。(地域により民族、文化が異なり独特の言語をもち、宗教に関しては都市と農村で大きく異なる。)
このプログラムの最終目標は小学生のエイズ感染の危険性を性交開始年齢の引き上げによって減少させることとエイズに関する偏見をなくすことによりエイズ感染の苦痛を軽減することであり具体的な目標が掲げられた。
介入群の6校から各教師2名、保健関係職1名が1週間のトレーニングワークショップのためにあつめられ終了後2〜3カ月プログラムが実行された。また非介入群にも改良されたNgaoが1994実施された。
調査は教師のいない教室内において、タンザニア人のプロジェクトスタッフが行った。
質問紙は、まずWHOの研究が適応され、健康教育担当者が選択肢の妥当性を検討しスワヒリ語に訳し、更に各地の教員や研究者によって再検討された。以上の事前研究(1991)の後、本研究使われる前に質問紙改訂された。
AIDS information;情報に対する経験頻度については過去1月でどのくらいAIDSについて耳にしたかで、AIDS
comunication;コミュニケーションの回数についても過去1月でどのくらいAIDSについて話したことがあるかで0回〜4回以上の4項目で答えた。AIDS
knowledge;知識についてはHIVの感染経路とAIDSに関する18の記述に正しい、間違い、わからないの3択で答えた。
統計解析はproc MIXED(Version 6.09,1993;SAS Institute Inc,Cary,NC)で自由度11のt検定をおこなった。
(結果)
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介入群と非介入群に社会学上の人口統計上に重要な差はみられなかった。(Table.1)
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ベースラインを経験した生徒のうち、249人がフォローアップに参加しなかった。うけなかった生徒は、非介入群、カトリック信者、エイズ知識の低かった者等に多かった。
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ベースラインで男子のほうが情報に接する機会が多く、性行動も活溌であることがわかった。(Table.2)
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ベースラインでは、介入・非介入群の間で各指標に関して有意な差は認められなかったが、12カ月後に各Ngaoの効果が認められる結果がでた。(Table.3)
(考察)
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本研究の結果より、明らかにこのエイズ教育プログラムは生徒のエイズに関する正しい知識の向上に貢献した。また、学校の外でも地域社会全体がこの問題に取り組む姿勢がみられはじめ、地域に対しての啓蒙活動にもなり得た。
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タンザニアではエイズ患者が急激に増えており、それに伴いそれぞれの家庭内で患者の世話をすることが増えている。このプログラムはエイズに対する偏見を取り除く事にも役立っている。
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非介入群も、後日同様にしてプログラムが行われた。
(結論)
対象地区の教員や保健医療従事者を、タンザニアの小学生に対するHIV・エイズ教育のために訓練することは可能であり、効果が認められた。
本研究の長所・短所・問題点と私見:
本研究ではプログラム開始12カ月後の効果は確かめられているが、長期にわたってのフォローアップがなされていない。
このプログラムや調査が行えたのは、対象地域はエイズ蔓延地でありエイズ感染が身近なものであったことによると思われる。この方法をそのまま他の地域に適応させるのは無理があると思われる。
学校保健への付与:
異なる対象地域の初等教育機関でのエイズ教育を行う際に、本研究の長所・短所を利用してプログラムを作成・実行できる。
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