電気基礎実験「CR回路」の予習について

2009年1月13日
原田繁実 先生作成
2012年10月8日 内容更新
岡田竜弥
(予習事項に用いるCRの値はこちら。グラフ作成においては,下記を参照すること。)

1 グラフを描く手順

  1. 指定されたC, Rの値に対する vC , vR を(5.11), (5.12)式により計算し,表にまとめる(注:テキストの印刷が若干読みにくいですが,eの指数の分子は1ではなくtです)。計算を表計算アプリケーション(Microsoft Excelなど)やプログラムではなく、電卓等で行なう場合は下記の条件を用いる。

    表 1 計算に使用する値(コンピュータ以外で計算の場合)
    条件
    ステップ電圧の大きさ Vm 1[V]
    時刻 t 0〜10msec
    電圧を計算する時間間隔(t≦2CR) CR/5
    電圧を計算する時間間隔(2CR<t≦5CR) CR/2
    電圧を計算する時間間隔(5CR<t) 1msec

    例として, C=1μF, R=1kΩの場合を考える。この場合, CR=1μF×1kΩ=1msecである。まず, t≦2CR(=2msec)についてはCR/5(=0.2msec)毎に電圧を計算する。つづいて, 2CR<t≦5CR(=5msec)についてはCR/2(=0.5msec)毎に電圧を計算する。最後に5CR<t≦10msecについて1msec毎に電圧を計算する。

    この例においては以下のような表が完成するはずである。

    表 2 電圧計算結果の表の例1 (C=1μF, R=1kΩ, CR=1msec)
    時刻t[msec] コンデンサ電圧[V] 抵抗電圧[V]
    0.00 0.000 1.000
    0.20 0.181 0.819
    0.40 0.330 0.670
    0.60 0.451 0.549
    0.80 0.551 0.449
    1.00 0.632 0.368
    1.20 0.699 0.301
    1.40 0.753 0.247
    1.60 0.798 0.202
    1.80 0.835 0.165
    2.00 0.865 0.135
    2.50 0.918 0.082
    3.00 0.950 0.050
    3.50 0.970 0.030
    4.00 0.982 0.018
    4.50 0.989 0.011
    5.00 0.993 0.007
    6.00 0.998 0.003
    7.00 0.999 0.001
    8.00 1.000 0.000
    9.00 1.000 0.000
    10.00 1.000 0.000

    つづいて,別の例としてC=2μF, R=5kΩの場合を考える。この場合は, CR=2μF×5kΩ=10msecである。まず, t≦2CR(=20msec)についてはCR/5(=2msec)毎に電圧を計算する。必要なtの範囲は0〜10msecまでのため,結局, 0msecから2msec毎に10msecまでの範囲の電圧を計算することになる。

    先程の例とは異なり,この場合は2CR<t≦5CRの範囲や5CR<tの範囲は10msecを過ぎているため計算する必要はない。

    この例での計算結果を以下に示す。

    表 3 電圧計算結果の表の例2 (C=2μF, R=5kΩ, CR=10msec)
    時刻t[msec] コンデンサ電圧[V] 抵抗電圧[V]
    0.00 0.000 1.000
    2.00 0.181 0.819
    4.00 0.330 0.670
    6.00 0.451 0.549
    8.00 0.551 0.449
    10.00 0.632 0.368

    以上のような表を指定されたC, Rの値について作成し,実験ノートに記入する。

    もし,コンピュータで計算する場合には以下の条件を用いること。

    表 4 計算に使用する値(コンピュータで計算の場合)
    条件
    ステップ電圧の大きさ Vm 1[V]
    時刻 t 0〜10msec
    電圧を計算する時間間隔 CR/5

    コンピュータの表計算アプリケーションなどで計算した結果は実験ノートに貼付けておくこと。

  2. A4グラフ用紙に軸を描く。なお,このグラフはコンピュータで描画したものは予習事項としては認めない。必ず手書きのグラフを作成すること。ここで電圧は1cmが0.1Vに相当し,時刻は1cmが0.5msecに相当するようにする。また,図の標題や軸の名称等を記入し、下図のようなものを完成させる。
    図 1 グラフの描き方(軸等の記入)
  3. つづいて、印加電圧(式(5.10)で Vm =1[V])を黒の破線で描く。
  4. つづいて、コンデンサ電圧 vC を赤の実線で描く。このためには、まず手順1で計算した点をグラフ用紙に鉛筆で軽く打つ(プログラムや表計算アプリケーションで計算した場合には多数の点があるが、全ての点を打つ必要はなく、曲線を描くのに必要な程度の数の点で十分である)。次に曲線定規を用いて鉛筆で薄く曲線を描く。もし、点と点の間隔が離れていて曲線を描くのが難しければ、新たに計算を行い間に点を追加して描くこと。鉛筆でうまく曲線が描けたら、曲線定規を下書きの曲線に沿ってあて、赤のペンで曲線を描く。
  5. 同様の手順で抵抗電圧 vR を青の実線で描く。
  6. 最後にどの曲線が何を示すかを図中に明記する。以上の手順を実行すると、下図のようなグラフが得られるはずである(なお、図中のコンデンサ電圧と抵抗電圧の形はわざとめちゃくちゃな曲線として描いていある)。
    図 2 完成したグラフ
  7. グラフが完成したら用紙の裏側に学籍番号と氏名を鉛筆で記入しておくこと。

2 CRの値

当該グループの学生で表に学籍番号がないものは岡田( 工2-419 / tokada _at_ tec.u-ryukyu.ac.jp )まで連絡すること。

CRの値はこちらのページ

3 原理の要約

予習事項としての原理の要約はこの実験では特に必要ないが、もし原理を要約する場合にはレポートの「原理」にて使用できるように作成しておくこと(コンピュータでレポートを作成する予定の場合はコンピュータで作成しておく、手書きでレポートを作成する予定の場合はレポート用紙にまとめておく)。

原理を要約するにあたり、微分方程式の導出過程は必要ないので、前提条件(回路図、変数の意味など)と結果として得られたCR回路の方程式を記述すれば良い。ただし、式だけを書くのではなく、文章も書くこと。