徳田研究室の研究課題

1.シロアリ木材分解システムの解明

木材などの植物細胞壁は、主にセル ロースやヘミセルロースと呼ばれる多糖類とリグニンと呼ばれるポリフェノール化合物とから構成されている。通常、これら植物細胞壁の主成分は微生物によっ て分解を受けるが、シロアリ類をはじめとするごく一部の食材性昆虫はこれらを食物として利用しており、宿主昆虫と消化管内共生微生物との相互作用によって 消化管内に効率のよい分解系を構築している。我々はこの仕組みについて研究を進めており、この分解系に関与する様々な加水分解酵素の由来と働きについて研 究を進め、食材性昆虫による植物細胞壁分解系全体像の解明を目指している。さらに、昆虫による植物細胞壁分解系に関わる諸現象(宿主昆虫の生態系、共生微 生物の機能や獲得様式など)についても、積極的に研究を推進している。

2.シロアリ消化系を利用した効率的なセルロース系バイオマス分解系の構築

近年、原油価格の上昇が連日報道されている。このような化石燃料によるCO2増加は地球温暖化の主要因と考えられ、また一方では、あと45年程度で石油は枯渇するとも言われている。このような化石燃料依存体質と、CO2排出量増加の抑制を目指して、近年、植物から作られるバイオ燃料の開発が盛んに進められている。

シロアリは、食べた木材などに含まれるセルロース分の実に74〜99%を分解していると考えられている。セルロースを分解すればブドウ糖となり、エタノール の原料とすることができる。そこで、私たちの研究室は、理化学研究所、農業生物資源研究所、東京大学と共同で、シロアリ消化システムを応用した「バイオエ ネルギー生産のためのシロアリ共生系高度利用技術の基盤的研究」を進めている。


平成19年度「新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業」 新規採択課題について(外部リンク)