上記調査により明らかにされた海上基地建設の問題点について以下報告する。

I. 辺野古地域の生活環境の基本的な変質が不可避である

 山側のキャンプシュワブ(兵員2,800)、海側のヘリポート(兵員4,000)にはさまれて、1,500人足らずの住民生活は、従来とは質的に異なった生活環境を強いられることは避けられない。米軍による事件・事故は増加(倍増以上)し、航空機の離着陸や整備の騒音は増し、次世代を担う子ども達の情緒・教育を破壊するなど、「基地公害」の集中地点になることも危惧される。

 また、沖縄米軍(兵員29,000)の4分の1(海兵隊17,700の3分の1以上)が辺野古に集まるが、これは、基地負担の分散化の発想とも矛盾し、かえって基地強化への道を開くこととなる。したがって、埋め立て方式を含め、いかなる形にせよ、ヘリポート建設は住民の生活困難の増大を持ち込むことになろう。

II. 海上ヘリポートの建造物としての安全性についても大きな不安がある

(1) 沖縄は日本一の「台風銀座」であり、過去には最大瞬間風速は80m近くに達している。大型の台風に対する耐久性など、工法との関係を含めた不安がある。

(2)1911年には沖縄地方でM8.0の地震が記録され、津波も襲来している。兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)がM7.2であったことを考えると、安全性に対する不安が大きい。また、辺野古地域には、活断層の存在の疑いもある。

(3)津波は近隣での地震によるばかりでなく、過去にも日本近海(特に太平洋)に到来しており、大津波の場合には大きな被害が予想される。かつて沖縄周辺でも30m以上の波高の津波が襲来し、1万人以上の死者を出した記録もある(1771年、M7.4)。

(4)建造物の寿命としては40年間が考えられているが、今後40年間の諸条件の予測は、今日の科学水準では過去の事例を参考にする以外になく、「絶対安全」の基準はない。そして、浮体建造物としては世界に例を見ない巨大なものであり、軍事基地として世界最初のものだけに、その安全性は予測不可能である。

 なお、近年、油の流出、原発事故等で「予測を越えた事故」「あってはならない事故」が相次いでおり、「安全神話」に頼ることの危険が浮き彫りにされている。さらに、移設元の普天間基地の年間離発着回数は52,000回(1995年)にも及んでいる。これだけの離発着が海上へリポート基地で行われた場合の耐久性は予測困難であろう。

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