V. 陸上環境への影響も懸念される

(1)森林

辺野古・大浦湾一帯の後背地の森林は、亜熱帯要素、温帯要素が併存する貴重な森林帯で、美林が各所に見られる。今までも台風による潮風害があったが、2,900mの防波堤を建設した場合など、工法によっては、気中塩分による被害は一層強まるものと予測される。また、航空機騒音などによる鳥類など動物相への影響も懸念される。

(2)マングローブ

マングローブはそれ自体貴重な自然生態系であるとともに、消波・防風など防災機能をもち、また稚魚のすみか(満潮時)や餌の供給源となっている。青潮、油流出などが生じた場合、大浦湾に現存するマングローブにおいて、底生生物やカニ、魚類などは死滅が不可避であり、生態系が破壊されることによってマングローブ林の衰退が懸念される。海洋汚染が大規模な場合には、東村慶佐次の国指定天然記念物のヤエヤマヒルギ林(沖縄本島最大の面積かつ分布の北限)にも影響が及ぶことが危惧される。

(3)畑作

 辺野古地区の8万坪(約25ha)の土地改良事業区では、菊(電照栽培)、野菜、果物などの生産があり、これが地場産業として地元住民の重要な収入源となっている。これらの作物はいずれも潮害に弱く、大規模な防波堤の構築によって潮害を受けた場合、甚大な被害を被るものと予想される。

(4)畜産

 周辺地域では肉牛、種牛の成育が行われており、騒音、排気ガスなどの影響を受けることが懸念される。他地方の基地周辺では、乳牛が乳を出さない、爆音に驚いて牛が暴走するなどの事態も起きている。

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