琉球大学農学部 森林保護学研究室 研究内容

(3)オキナワジイの材質腐朽

 材質腐朽とは、樹木の材の部分(材木として使われる、死んだ木部)が微生物によって分解される現象です。沖縄本島北部のいわゆる「ヤンバルの森」の中心的な樹木がオキナワジイ(通称イタジイ)Castanopsis cuspidata var. lutchuensisです。このイタジイの直径20〜30cmの木の幹に、天然記念物のキツツキ・ノグチゲラが好んで巣を作ります。いま、沖縄ではダムの乱開発が進んでおり、ノグチゲラの営巣地がせばめられることから、せめて残された森林でノグチゲラの営巣環境を改善しようという取り組みが建設省(当時)によって進められています。そのなかで、ノグチゲラは内部が腐朽したオキナワジイを選んで巣をつくることが分かってきました。そこで、どのような条件で生きたオキナワジイの木の材が腐朽するのか、私たちは依託を受けて人工的に腐朽菌を接種して調べる取り組みを行いました。結果的には、健全なイタジイの心材に心材腐朽菌を接種しても、短期間に広範囲の材質腐朽を形成させることは困難でした。

 この研究を契機に、沖縄本島北部の大保ダム建設に関連して、ノグチゲラの生育環境保全にかんする検討を行う検討委員会の委員を務めています。沖縄本島北部のダム事業と生態系保全に関連して、具体的情報に基づくご意見をお持ちの方はぜひお知らせ下さい。

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