30日短評5冊 25日『ザ・ファシリテ−ター』 20日『OLたちの「レジスタンス」』 | |
| 27日道田さんと会う 24日かぜひいた 15日出張日記 |
9月も終わりかあ。もう少ししたら授業も始まるわけで(その前に授業準備もそろそろ始めないといけないわけで)、そうすると、一日中自分がやりたい/やるべきと思う/やれる仕事だけができるのも、あと数日か。
今月よかったのは、『「静かに!」を言わない授業』(なるほど学び合いではそういうことがおきているのか)と、『ザ・ファシリテ−ター』(なるほどそういう障害の中をそういうふうにファシリテートするのか)あたりか。
先ほど研究室に道田(みちだ)さんが来られた。親兄弟親戚以外の道田さんにお会いするのは,生まれて初めてか2度目ぐらいである。
道田さんは東大の海洋研究所の先生。今,沖縄で海洋学会が開かれているので来られたのだ。お会いしたことはなかったが,数年前,同姓ということで,メールのやり取りをしたことがあった。今回,うちの大学に来る機会ができたというので会いに来られたのだ。
昨日の夜は,歴史に詳しい父に電話して,父が把握している道田の名前の由来を確認した。「続日本記」に出てくるとか,「新撰姓氏録」に出てくる,なんてことをである。当時は京都にいたらしい。父の推測では,天草・島原の乱のあと,人の少なくなった天草に京都から移住してきたのではないか,ということだった(本家の家系図では元禄までさかのぼれるらしい)。
今日は道田さんにそういう話をしたりしたわけだが,しかし,名前の話なんで,数十分もすれば尽きてしまう。あとの時間は,ご専門の話,研究所の話,学会の話,院生の話,その他の四方山話をしていた。久々に異分野の人と話をしたので,とても面白かった。
そのうち,うちの妻から連絡が来たので,大学まで来させ,大学の近くにある「道田橋」にお連れして記念写真を撮り,学会の評議会がある場所まで送ってお別れした。
昨日からいろいろ準備して臨んだだけに,なんだか一大イベントが終わったという感じだった。
ファシリテーターについての本だが、これはいい本だった。とある会社で若くしてセンター長になった女性が、ファシリテーターの力を借りながら、また自らもファシリテータ的なリーダーとして振舞いながら、人と人との相互作用を活発にし、創造的なアウトプットを引き出すさまが、小説仕立てで描かれているのである。
ファシリテーションの本というと一般に、こうすればうまくいく、とか、こうすればうまくいった、という話が中心になりがちであるが、本書では、リーダーに対して抵抗感を持っているメンバーを相手に、抵抗を受けながらも次第に受け入れられていく様子、なんてのが描かれており、実際的な感じがした。なおそれは前半の話で、中盤では会社幹部を対象にファシリテーションをやろうとして失敗し、後半では、日産でいうところの「クロス・ファンクショナル・チーム」を作り、一進一退を繰り返しながらも、次第にファシリテーションを実を結び始める、というような内容になっている。
ファシリテーションを魔法の杖として、こうすれば必ずうまくいく、みたいな描き方ではなく、このような相手にはこのような攻め方を試みる、うまくいかなければ別の方法をとる。それでうまくいく場合もあるし、いかない場合もある、という現実でもありそうな場面が多数描かれているのが本書のよい点だと思う。ファシリテーション関係の本のいくつか読んだあとに読むととてもよいのではないかと思った。
一箇所、なるほどと思ったところを引用しておこう。
組織は、形成(フォーミング)された後、すぐに機能(パーフォーミング)しはじめるのではなく、その前に、ストーミング(混乱・対立)があり、ノーミング(統一)が進んではじめて機能しはじめる(p.214)
もちろんこれ以外にも、実用的な知恵が随所に描かれており、実際に何かをファシリテートしている最中にも読むと、役に立つ感じである。
土曜日の午後から今朝まで微熱続き。
出張の疲れだろうか。
妻も同時にひいたので、せっかくの3連休、どこにも行っていないのだが、子どもたちは二人で、ごっこ遊びなんかをしながら、楽しそうに遊んでいる(けんかもしてるけど)。
OLとサラリーマン(総合職男性)がどのようなかかわり方をしているのかについて、インタビューを中心とした社会学的手法で明らかにした本。本書は筆者の博士論文(シカゴ大学)を基にしており、インタビュー対象は100人に及ぶ。それだけでなく、考察がかなり学術的な匂いを匂わせている。といっても、随所で先行研究が引用されているところぐらいで、それ以外は、インタビューが元になっているということもあり、読みにくいということはない。
結論からいうとOLは、出世競争から除外されており、男性と女性を不平等に扱うシステムにいるがゆえに、権限がないとともに責任もない。しかし日本の会社の仕事はある部分OLに強く依存している。そのため、それを逆手に取ったパワーゲームを行うことができる。それは、感情を隠さない言動をするとか、個人的な好みで仕事を選ぶとか、仕事をしないとかである。それは、「OLにとって、男性優位の組織の中で少しでも自身に有利な状況を引き出す「手段」なのだ」(p.176)と筆者は論じる。ただしそうすうることは、伝統的な性役割を再生産することになるし、また、ある種の女性観(感情的とか非論理的とか公私混同とか)を強調することにもなる。
本書で採用されている調査方法でどこまで一般化できるのか疑問が残る点があるものの、OLとサラリーマンのパワーゲームの一つの描き方として、まあ面白くはある本であった。
今日は移動日。あったことのメモ書きを。
・昨日は台風で午後から飛行機が欠航した。今日はどうなることかと思ったけど、30分遅れで無事に飛んでくれた。ただし、こういうときは前日に乗れなかった人が空港に来るので、ものすごい混雑だった(急遽、手荷物は預けないことにしたので、混雑は回避できたけど)。台風って飛行機が飛ぶ飛ばないだけでなく、翌日、空港が混雑することを念頭に行動すべきだな。
・空港に向かうモノレールで、とある同僚と一緒になった。3人いる子どものうちの一人だけを連れて、二人で東京に遊びに行くのだという。行く先も、上野動物園と博物館ぐらいで、あまり決めていないそうだ。子どもを連れてそうやって気軽に旅行するのもいいなあ、と思った。
・宿泊は浅草。ためしに、普段の外食の倍ぐらいの値段のとんかつ屋に入ってみたが、2倍のうまさではなかった(というか、普通じゃないの?と思った)。残念。やっぱりこういうときはちゃんとリサーチすべきか。
・夜8時前、浅草寺に行ってみたら、ライトアップされており、観光客もたくさんいた。しばし観光客気分。寺の横では、アカペラ5人組がライブをやっていた。
・明日から、40分(+徒歩10分)かけて学会へ。先ほどプログラムをみていたら、だんだん楽しみになってきた(それまでは、あんまり楽しみではなかったわけだが)。